第1回 わーくしょっぷ

学び合おうインクルーシブパーク

2023.7.26 Online

未来公園LABOは、遊具メーカーの日都産業株式会社が主催する、産官学民の垣根を越えて、遊び場の未来を考え、生み出し、発信していく研究会です。

都立府中の森公園にじいろ広場でのインクルーシブな遊び場体験を通じて、よかったこと、かなしかったこと、はっけんしたこと、へんかしたこと、関わったそれぞれの立場から、語り合い、耳を傾けてみましょう。私たちが求める遊び場って・・・どんなカタチ?

都立府中の森公園で5回、のべ56家族147人が参加した遊具体験会

優れたユニバーサルデザインの遊び場でも、車いすユーザーを見ることは稀。どうしたらみんなにもっと遊んでもらえるだろう?と考え、まずは体験してもらうこと、遊びに来るまでの障壁(バリア)を聞き、不安を取り除くこと、こつこつと積み重ね、多くの方に遊びに来てもらうことができました。参加者のほとんどは何らかの障壁があり、遊びたくても遊び場から足が遠のいていた方たちばかり。たくさんの不安があったと思いますが、勇気を出して遊びに来てくれたことに感謝いたします。

駐車場での誘導や、ぶらんこやすべり台などへの乗り移りの補助、車いすの移動、付き添い、一緒に乗って遊ぶといったサポートの中で、子どもたちが楽しめる遊びを探りながら遊んでもらいました。遊具体験イベントに参加された方は、どのような思いを抱いたのでしょうか・・・?

Q.今後、サポートスタッフがいない場合でも遊びに来れると思いますか?

約半数の方が、親子や友達同士で遊びに来れると回答され、体験会によってハードルが低くなる結果が見られた。半面、まだまだ遊びにくるのは難しいという方も多い。そこにはどんなバリアがあるのだろう?

「公園にいくのはほぼ初めてで不安だった。1回目、最初は緊張していて、終わりの頃にようやく笑顔がでてきた。2回目は最初から笑顔で、トランポリンする子を見てゲラゲラと笑って、過呼吸になるんじゃないかと心配になるくらい。もっと遊んで、いろんな笑顔をもっと引き出したいと思いました。」 

ーーー子どもにとっては、回を重ねるごとにできることが増え、楽しさも大きくなっていくようです。

「まだまだ元気いっぱいな子どもたちの中に一人で入るのは勇気がいる。障がいのある子が普通にいる公園になるといいな。」

「公園に行くと同年代の子たちと比べてしまって、親の方がつらい気持ちになってしまう。でも遊んでいる子どもが楽しい姿を見せてくれるので、インクルーシブな遊び場が広がって生活が豊かになる人が増えてほしいな。」

ーーー親にとっては、子どもの体が大きくなるにつれ、心の壁、精神的な負担が大きくなってしまうようです。

親として、そしてカメラマンとしても参加いただいたT・Hさんにも意見を伺いました。

「子どもの笑顔をひきだすためにどうしたらいいか考えて動きました。どんな遊びが好きか?苦手なことは何か?を聞く。子ども目線で一緒に遊びながら撮る。親と一緒に遊んでいるところを撮る。でもやっぱり、親が撮る笑顔にはかなわないなぁ。」

Q.遊具広場を利用して、周囲の人との交流はありましたか?

一般の方との関りは難しかったが、子ども同士では少し交流がしやすい傾向が見られた。子どもの笑顔を見て周りの人が「楽しそうだね」と話している光景も見られました。イベントとして、一般の方とも交流できる仕掛けがあると良いといった意見も寄せられました。

「障がいのある子が生まれてから、一気に孤独になった。話しかけるのにためらわれる人になってしまった。近所の公園でも何回か会うと会話が生まれるようになるので、繰り返し遊びに行けるインクルーシブ公園が近所に欲しいな。」

友達同士でサポートし合いながら遊んでいた様子を、周りの人が見てくれていて、友達がいないときに、ぶらんこを支えてくれた。

「ストレッチャーに乗っているので遊具で遊ぶのは大変だから遠慮していたけど、参加者のS・Aさんが熱烈サポートしてくれてトランポリンに乗りました。すごくいい笑顔の写真を撮ってもらえて嬉しかったです。遊具で遊ばなくても、その場にいるだけでも子どもは楽しかったと思うし、周りの人が見てくれたり、知ってくれることで、次に遊具を作るときはあの子も遊べるものを!と思ってくれたらうれしいです。」

どんなサポートが必要なんだろう?

「サポートの方が赤いジャンパーを着てくださっていたので、わかりやすかったです。」 ーーー直近の2回の体験会では、サポーターが真っ赤なnittoジャンパーやベストを着用したことが良かったと思います。

「公園に着いた途端すぐに案内に来てくださり一気に緊張が解けました。」「遊具で遊ぼうとすると、必ずスタッフさんが駆けつけてくれて介助や見守りをしてくれて本当に助かりました。」 ーーー遊び場へ到着した時や、遊具で遊ぼうとした時など、一番不安な時に、お声掛けが必要です。

「遅刻して行ったからか、誰が誰やら、誰がどこまでのサポートをしてくださるのか、誰に頼めばいいのか、よくわかりませんでした。」 ーーーなるべく心がけましたが、全ての方にはお声掛けが行き届かず、どうしようかと不安を与えてしまったこともありました。

・サポーターであることを伝えるわかりやすい「目印」

・言葉がわからない子にもウェルカムな気持ちを伝える「笑顔」

・挨拶や積極的なお声掛け、「コミュニケーション」

利用者も、サポーターも、みんなが笑顔で楽しめる。そんな場所に育てていきたいですね。

公園管理者としても、サポーターを育てていきたいと思い、学生さんに来てもらったり、地域のボランティアを検討しているが、障がいについての知識を学ぶ必要性や、どのくらいの研修が必要か、ケガしてしまった時の対応などなど、どこから手を付けていいかわからない。利用者の視点から、こんなサポーターが欲しいという要望はありますか?

公園の主にはならないで

研修は必要だと思うが、この公園はおらが仕切るみたいな感じ、「障がいの子がいるからいれてあげて!」とかいうのはやめたほうが良い。気持ちに寄り添える人が良い。

自己責任と感謝の気持ち

頭は保護者に支えてもらって、サポーターは少し足を支えるイメージ。利用する側もサポーターにすべてを任せるのではなく、事故ケガは自己責任で、手伝ってもらうという気持ちが大切。

未来に繋げていく

学生さんに来てもらうことで、未来を担う人たちがリードしてくれるといいですね。イベントでまずはサポートから始まり、健常の方と一緒に遊ぶ機会を作って、交流が深まっていくといいですね。

 

家族の笑顔と、遊び場への思い。

遊具体験会を通して、公園、遊び場に対して変化した思いを伺いました。素敵な笑顔の写真と共にご紹介します。

見えてきた、目指すべき姿

わーくしょっぷの中で出た声や、アンケートの中から聞こえたこと。インクルーシブな遊び場としてハード面の整備が進んでも、まだまだ遊びにいけない、いきづらい子たちがいます。その大きな理由は、一人では遊ばせることが難しい場面があるということもありますが、周りの人との違いを意識してしまう居づらさ、迷惑をかけてしまうんじゃないかという遠慮、さまざまな不安が生み出す「心の壁」です。

サポーターがいれば心の壁を低くすすることができるけど、それはあくまで通過点。そもそも、障がいのある子など多様な人たちがあたりまえのようにいて、自然と声掛けや助け合いが生まれる、そんな公園なら気兼ねなく遊びに行ける。そして私たちは、そのための第一歩を踏み出しています!本当にインクルーシブな環境を目指して、少しずつ変わっていくよう考え行動していきたいと思います。

 参加者のみなさま。ありがとうございました!子どもの環境を考え、人と人を繋げるスペシャリストたちです!今後とも未来公園LABOをよろしくお願いいたします!