ミニシンポジウム

感覚からひろがる多様な社会性

正しく相手に伝わらない、思ったような反応が返ってこない。コミュニケーションがうまくいかないと、自分のことが嫌いなのかな、失礼なことしたかなと不安になりませんか?これまでの研究では、自閉スペクトラム症の方と定型発達の方の間のコミュニケーションの難しさを共感や心の理論など“他者の心を理解できる能力があるか”という視点で検討してきました。しかし、最近の研究では視覚や運動などの“情報処理の仕方”や何が好きかという“好み”も他者の心の理解やコミュニケーションに寄与することがわかってきました。本ミニシンポジウムでは、多様なコミュニケーションスタイルをもたらす感覚・運動特性や好みについて調べた研究をご紹介します。このような科学的知見が、伝わらない・理解できないを紐解き、お互いを理解するきっかけになればと考えています。

  1. 開催概要

開催日: 2022年2月17日 新型コロナウイルス感染拡大のため延期

時間: 14:00-16:00

場所: 新所沢公民館ホール

定員: 100名

申し込み: お申込みはこちらから

2. プログラム

14:00-14:10  企画趣旨 (岡本悠子)

14:10-14:30  定型発達者と自閉スペクトラム症者のコミュニケーションスタイルに関わる知覚の特徴 (金子彩子)

14:30-14:50  人と一緒が楽しい?一人が楽しい? (高橋徹)

14:50-15:00  休憩

15:00-15:20  動きを合わせて、心を合わせて (大須理英子)

15:20-15:40  The role of movement similarity in the communication of mental states(Bianca Schuster)

15:40-16:00  質疑応答 (井手正和)

3. 話題提供者

定型発達者と自閉スペクトラム症者のコミュニケーションスタイルに関わる知覚の特徴

国立障害者リハビリテーション

センター研究所 金子彩子


対人コミュニケーションを円滑に行うには、どのような知覚の処理が必要だろうか?本公演では、定型発達者と自閉スペクトラム症者のコミュニケーションの特徴に関連する、知覚的な背景について論じる。

人と一緒が楽しい?一人が楽しい?

早稲田大学 高橋徹




私たちは周りに合わせて振る舞うことがありますが、人と「一緒に」いるのが楽しいのか、「一人で」いるのが楽しいのかは、個人差があります。そのような個人差を測定しようとする実験課題を紹介し、メンタルヘルスとの関係を考えます。

動きを合わせて、心を合わせて

早稲田大学 大須理英子





合奏やダンスなど、みんなで協調的な動作をするとき、体の動きの協調度合いやお互いの関係性によって、脳の同期的活動も変化します。こころと体のインタラクションからコミュニケーションや社会性に関わる脳内メカニズムについて考察します。

The role of movement similarity in the communication of mental states

早稲田大学 Bianca Schuster

The ability to ascribe mental states, such as beliefs or desires, to oneself and other individuals forms an integral part of everyday social interaction. We will discuss what role our own movements and those of our interaction partners play in this process, as well as implications for people with atypical movements.

4. 司会・ファシリテーター

早稲田大学 岡本悠子

国立障害者リハビリテーション

センター研究所 井手正和

主催・共催: 早稲田大学高等研究所・よつばクラブ

科学研究費補助金: 高次視覚野発達による自閉症のサブグループ化と認知行動特性・初期兆候の探索