TextAliveの中の人とお話ししてきました! 

作成日: 2023.03.15

こんにちは!新潟県にある長岡技術科学大学で活動しているミクノロジカル(以下、ミクロジ)です!

ミクロジのライブでは、背景動画にTextAlive[*1]を活用しています.TextAliveはブラウザ上で音楽に合わせた歌詞アニメーション(リリックビデオ)が簡単に作れるサービスです。


先日、TextAliveの中の人である、プロジェクトリーダーの加藤淳[*2]さんとお話する機会がありました。今回は許可をいただいてその内容を紹介したいと思います!

ミクロジ:TextAlive、便利に使わせていただいています。このサービスのビジネスモデルを教えていただけますか?

加藤さん:まず前提として、産総研は国の研究機関であり、TextAliveは技術デモであるということです。国の研究機関における研究活動の一環で、手軽に試していただけるよう一般公開しているものであり、商用サービスとして利益を上げているわけではありません。しばしば誤解されてしまうのですが、その点を理解していただけたらと思います。クリエータのみなさまの作品制作には自由に使っていただけますが、仮に商用目的で用いる場合には事前の相談が必須となります。

ミクロジ:そもそもTextAliveのプロジェクト発足にはどんな経緯があったのでしょうか?

加藤さん:これはいままでお話したことがなかったかもしれませんね。私が産総研に入所した当時、既にSongle[*3]が実装されていました。そこで研究されていた、音楽をもっと能動的に聴くためのさまざまな音楽理解技術を創作支援にも活かせないか、という発想のもと生まれたのがTextAliveです。実は最初のTextAliveはWebサービスではなくJavaアプリケーションだったんですよ。

ミクロジ:TextAliveのサービスがプラットフォーム化するにつれてメンテナンスなどのコストも上がってきているかと思うのですが、どのように対応されているのでしょうか?

加藤さん:現在TextAlive関係全般が私の管轄になっています。メンテナンスに関してはクラウドに移行して極力メンテナンスコストを下げるようにしています。

ミクロジ:開発環境においてご自身一人では厳しいと感じられたことはありますか?

加藤さん:日々感じています(汗)。TextAliveに限らず私が関わっているサービスの開発補助をしてくださるエンジニアの方は随時募集中です。また技術研修などでのコラボレーションも歓迎です。

ミクロジ:当サークルでもTextAliveを活用させていただいていますが、その背景にはメンバー不足をカバーするための工数削減があります。このようなお話は聞かれたりしますか?

加藤さん:特にミュージシャンの方からそのような声をいただきます。曲を作って公開する際に動画をつけないといけない、でも動画制作まで手が回らないという方がTextAliveを活用することで映像まで公開できたというケースが多いようです。また最近ではVR空間でのライブでTextAliveが用いられた事例もあります。TextAliveの映像は基本的にシンプルなのでミュージックビデオにする際にはイラストなどの追加要素も用いるケースが多いのですが、ミクロジさんでのライブも含めライブイベントではリリック以外に主役がいます。主役を盛り上げる、ちょうど舞台照明のような活用方法においてはTextAliveのシンプルな映像表現が生きる場所であるなと感じています。

ミクロジ:今後TextAliveなどに関する展望はありますでしょうか?

加藤さん:既にアーティストなどのライブでの応用事例もありますが、産総研のミッションとして技術の力で作ったものを社会実装するまでを考えるということがあります。それに加えてTextAliveサービスの成功の一部は、初音ミクカルチャーに拠っている部分が大きいと思っています。みなさん新しい技術を歓迎してくださいますので、それによって育まれた面があるんですよね。私個人としては初音ミクカルチャーの今後の発展に興味がありますし、TextAliveというサービスの完成度を挙げるだけでなくTextAlive App API[*4]を公開してリリックアプリという新しい芸術表現の一形態を提案したわけです。技術の力で音楽やエンタメなどの未来がどう面白くなるのかを研究者として見ていたいというのが一番強いモチベーションです 。



以上になります!文字通り普段は画面の向こうにいる方と今回お話しすることができ、その全てが直接学びになったといった感じです…!いつか機会があったら是非当サークルのライブをお見せしたいと思います!加藤さん、お忙しい中お時間をとっていただき本当にありがとうございました!!

[*1] ウェブ上に公開されている音楽に合わせて歌詞が動く歌詞アニメーションをブラウザ上で作れる制作支援サービス。レンダリングした動画はダウンロード可能。URL:https://textalive.jp/

[*2] TextAliveやSongle SyncなどHuman-Coumputer Interaction、特にPXの向上や創造性支援に関する研究に従事。ACM CHI Honorable Mention Award(2013、2015)やIPSJ/ACM Award(2021)など受賞多数。2014年 3月 東京大学大学院 博士課程(情報理工学)修了。同年より産業技術総合研究所研究員。2018年~ 主任研究員。ブログ:https://blog.junkato.jp/ja/
[*3] インターネット上の楽曲を登録でき、音楽理解技術による解析結果(サビ、メロディ、コード、ビート)を見ながら楽曲中のサビ区間や繰り返し区間へ頭出しして聴くことができるWeb音楽サービス。また解析の誤りは誰でも訂正可能。
URL:https://songle.jp/
[*4] 音楽に合わせてタイミングよく歌詞が動くWebアプリケーション(リリックアプリ)を開発できるJavaScript用のライブラリ。
トップページ:https://developer.textalive.jp