物理のための解析学
2024年4月から、物理のための解析学の授業をします!
2024年4月から1年かけて、理論物理学に用いられる基礎的な解析学(微積分・ベクトル解析・複素解析・フーリエ解析)を一通り解説する授業をします!以下で述べるように、数学的にも物理学的にもかなり盛り沢山な内容となっています。
授業概要
毎週土曜10時-12時@zoom
月4回(土曜が5回ある月は1回お休み)。
期間中はDiscordで連絡や資料・録画共有、質問対応など。Texで書いた資料を配布します。授業は板書で行います。
アフターケア
毎日いつでも、授業内容に関する質問はもちろん、一旦授業に関係ない質問もOK。普段の学習で困ったことや気になることがあれば、ぜひなんでも聞いてください。授業後内はもちろん授業後も質問対応の時間を作ります。
前提知識
原理的には特段何らかの知識が要求されることはない気がしますが、実際のところは高校の数学で学ぶような微積分計算などの経験があると良いと思われます。
微積分(4-6月)
ユークリッド空間上の関数を微分したり積分したりという操作は、理論物理学の中でも最も基本的な計算ツールです。
位相空間論(4月)
集合・位相空間論の基礎的な概念を、特にユークリッド空間を意識してミニマルにまとめて解説します。わかりやすさと、数学的な必要性が伝わることを目指します。
物理学を学ぶ上で必ずしも深入りする必要はないですが、この辺りは物理でも数学が必要になった際にスムーズです。
また、中間値の定理を通じてトポロジー(位相幾何学)的な意識も芽生えてくると思います。トポロジーについてもいくつかのトピックや物理との関連をお話しします。
微積分の基礎(5月)
多変数の微積分の基礎を解説します。物理に出てくる基本的な微分や積分、テイラー展開などが計算できるようになることを目指します。
線積分や面積分などのベクトル解析っぽい内容は7月に譲り、ここではデカルト座標や極座標でのよくある計算を紹介していきます。
微分方程式(6月)
運動方程式、マクスウェル方程式、アインシュタイン方程式、シュレディンガー方程式などみんな微分方程式です。
量子力学を代表として物理学のさまざまなところで現れる特殊関数も解説します。
その他にも微分方程式の面白いトピックを紹介する予定です。
ベクトル解析(7-9月)
理論物理学では、ユークリッド空間内の曲線や曲面に沿った微分・積分という操作も非常に重要です。それらを学ぶ過程で出会う概念は、ほとんどそのまま何らかの物理的な解釈をつけることができます。さらに、ベクトル解析から自然に微分幾何学へと話を膨らませていきます。電磁気学や量子力学、一般相対性理論へと生かされます。
div, rot, grad(7月)
ベクトル場の発散(div)、回転(rot)、勾配(grad) について、定義から応用まで解説します。これらの微分演算子は、物体に働く力や流体の動き、電磁場や重力場の理論など物理学の至る所で不可欠なものです。
ベクトルポテンシャルの存在などを絡めてポアンカレの補題についても話します。背景には代数トポロジーの考え方があります。
微分形式の話もします。
ストークスの定理(8月)
線積分、面積分、体積積分などを関係づける、ストークスの定理やガウスの定理について解説します。
これらの定理の応用も兼ねて、電磁気学や流体力学の概要も盛り込めたらと思っています。
余裕があれば場の解析力学についても話します。
曲線•曲面論(9月)
ユークリッド空間に埋め込まれた、曲線や曲面上の解析学について解説します。ここで扱う多様体や、共変微分・曲率のアイデアは、のちに一般相対性理論や電磁気学、ゲージ理論を学ぶ際に役に立ちます。
微分幾何学と位相幾何学(トポロジー)を結びつけるガウス・ボンネの定理と、その物理への応用も紹介します。
複素解析(10-12月)
多変数関数であっても、特に変数が2つの場合には、複素数の世界で考えることで見通しよく扱うことができます。単に理論が綺麗で興味深いだけでなく、計算道具としても非常に便利であることを見ていきます。
複素解析の基礎(10月)
流体力学などを例に取りながら、複素関数の基本的な定義や性質を解説します。リウヴィルの定理や代数学の基本定理などにも触れる予定です。
正則な座標変換というのは角度を保つ変換(等角写像)ですが、これは共形変換とも呼ばれ、共形場理論というクラスの場の理論が持つ著しい対称性でもあります。
留数定理(11月)
留数定理とは、閉曲線Cに沿った線積分は、Cの内部にある特異点の情報によって計算できるというツールです。
物理学にはさまざまな積分が現れますが、これらはしばしばアクロバティックな置換をしないと求まらなさそうに思えます。しかしこの留数定理を使うことで、これらの難しい積分が一挙に計算できるようになります。
トーラス(12月)
複素解析の面白い応用として、1次元の複素多様体であるリーマン面、特にトーラスについてその色々な性質と物理への応用を解説します。トーラスのモジュライや、モジュラー形式、テータ関数やその物理への応用などを扱います。
フーリエ解析(1-3月)
フーリエ解析の思想を標語的に言えば「周期関数は、三角関数の和で表せる」というものです。音や波、弦の振動から電磁波や重力波に至るまで、自然界にはありとあらゆる波や波動が満ち満ちており、フーリエ解析は自然にこれらを記述する道具として用いられます。また、様々な微分方程式を解く際にも非常に有用です。
フーリエ級数(1月)
ラフには"周期関数は三角関数の和で表すことができる"というのがフーリエ級数のアイデアです。このアイデアがいかに便利で、物理学においてどのように用いられているか、基本的なことを解説します。
フーリエ変換(2月)
周期がないような関数であっても、それを周期関数の極限だと思うことでフーリエ級数の手法を使うことができます。このフーリエ変換を用いて、より多くの関数に対しても三角関数による展開を試みます。
さまざまな応用(3月)
電磁気学や量子力学、場の量子論などを例にして、フーリエ変換を用いて様々な微分方程式を解いていきます。他分野(通信や数論など)への応用なども触れます。
価格と参加手続き
月額料金は学生9,500円、社会人14,000円です。
手続きは、右のボタンからDiscordに参加し、授業というチャンネルをご覧ください。
クレジットカード、銀行振込いずれにも対応しています。
手続きは、右のボタンからDiscordに参加し、授業というチャンネルをご覧ください。
クレジットカード、銀行振込いずれにも対応しています。
お問い合わせも右のボタンからお願いいたします。
Q and A
想定される質問とそれに対する回答を並べました。何か気になることがあればお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。
Q1: 数学的な厳密さは?
複雑になりすぎない・時間を圧迫しない範囲でなるべく厳密にやっていく予定でいますが、込み入った詳細な議論を適宜省略することはあり得ます。ただ、仮に詳細を飛ばす場合であっても「本来はここでどういう議論が必要か」と一言述べてから進んでいくようにしたいと思っています。数学徒の方であっても、「厳密性はあとで吟味するから、色々応用話を聞かせてくれ」というような考えであればこちらの方向性とも合致するのかな、と思います。
Q2: 物理の話もしてくれますか?
はい、もちろんです。話せるだけ話します。また、授業で話しきれないこともTexの資料にはたくさん載せようと思っています。物理だけでなく、幾何学や数論、数理生物学や通信などその他の分野の話も盛り込めるだけ盛り込んでいく予定です。僕も知らないことがたくさんあるので、頑張ります。
Q3: お支払い方法は?
A3: Stripeという外部の決済サービスを通じてクレジットカードでの自動サブスクリプションにのみ対応しています。月別の手動でのお支払いや、銀行振込や電子マネー等には対応していません
Q4: 受講期間中に質問はどのようにして行えますか?
A4: 参加者は専用のDiscordチャンネルでいつでも質問できます。また毎回授業中や授業後に質問の時間を設けます。演習問題を解いてみたのでフィードバックが欲しい、なども気軽に聞いてください。
特定商取引法に関する表記
あじさい出版の特定商取引法に関する表記に従います。