マンションの理事を経験して身に沁みてそう感じました。でも、みんな自分が無知だなんて思いたくない。それなりに普通の人間だと思って生きている。
そこにつけ込まれるのですね。
スーパーの店先なら、品物を手に取って他の店の商品と比較することができる。家に持ち帰って食べてみてまずかったら次は買わない。自己責任でそうすることができます。
ところが、マンションの管理、修繕工事ということになると、金額が跳ね上がりますから他との比較が難しい。
どうしたってそばにいる「専門家」を頼るしかない。そうするとまずは管理会社の担当者という、こっちの懐具合をよく知っている人によりかかることになる。その時、相手が悪意だと泥棒に金庫番をさせることになる。言葉が過ぎる?と思われるかもしれませんが、そういう体験をずうっとしてきたのです。
「マンション」。翻訳すれば「個人の大邸宅」です。日本での実態はそれをシェアしたハウスにみんなで住んでいるに過ぎないのですが、住人はともすれば上から目線になりがちです。それがまたつけ込まれる理由になっているのです。
マンション管理市場(管理費、修繕費を合わせた金額)は7000億円といわれています。
これは、実際の体験では明らかにバブルですね。管理会社の言いなりで膨れ上がっている。適正な金額に是正していけばサクッと2000億円は削れるでしょう。
全国600万棟のマンション。1500万人の人々がそこに暮らしていて、どんどん高齢化が進む。その時代にこの金額は貴重です。
この本は、それを所有者の元に取りもどす知恵を書いています。
また、管理会社が「所有者の財産、安心・安全を守る」という本来の責務を自覚するきっかけになればという思いで上梓しました。
それも、やはり所有者のほんの少し「賢くなろう」とする一歩から始まるのですが・・・
著者:しぶたに修