小学校国語科
物語「学びのつながり表」
~東京書籍編~
お知らせ
学びのつながり表の説明スライド
小学校6年間で、国語の「読む力」を積み上げていくためのつながりのある指導(系統的指導)を実現するために、一つのたたき台として、「読む力」を『学びのつながり表』にまとめました。
◎「学びのつながり表」とは
「ごんの気持ちを考えよう。」
私自身このような課題を子どもたちに発問したことがあります。振り返ってみると1時間の授業のなかで子どもたちに
どのような力が身に付いたのでしょうか。ごんの気持ちがわかっても、5年生で大造じいさんの気持ちがわかるのでしょ
うか。
授業では「ごんの気持ちの読み方がわかる」ことを目指すのが重要です。このことが分かれば、5年生で大造じいさ
んの気持ちを読み深めるときも、「気持ちの読み方」という「道具」を子どもたちは使うことができます。
この読む「道具」をまとめたものが「学びのつながり表」です。
◎どうして「学びのつながり表」が必要なのか?
国語科は学習内容が曖昧な教科です。子どもたちは日常生活の中で、さまざまな言語活動を行っています。読書経験が
豊富な子どもたちは、国語科で出会う文章も「なんとなく」読み深めることができます(授業者も同様です)。しかし、
読書経験は子どもによって差があり、「なんとなく」を自然に習得することを待つだけでは、不十分です。
この「なんとなく」を「読み方」として示したものが、「学びのつながり表」であり、すべての子どもたちに物語を「読む力」を保障するための手立てです。
しかし、「読み方」を覚えたり、使ったりすることが目的となってしまってはいけません。「読み方」を用いることで、作品をより豊かに理解でき、個性的で多様な読みができるようになることが重要です。
◎「学びのつながり表」の前提
前提として、この「学びのつながり表」は正解ではないことをご承知おきください。「学びのつながり表」は、
管理人が先行研究をもとに、現行学習指導要領や教科書の内容と照らし合わせたものです。
国語科の学習内容の明確化のひとつのたたき台として使っていただきたいのです。「学びのつながり表」に記
された国語の「読みの技術」の内容・順序・適した教材、学習用語の定義など、見直されるべき点は多数あると考えていま
す。実践者のみなさんの経験知を結集し、より目の前の子どもたちに合った最適解に近づけていくことが
必要です。
ぜひ、実際に使っていただき、目の前の子どもたちの姿から、最適な「学びのつながり表」を作っていきましょう。
◎「学びのつながり表」の分類について
文学的文章の「学びのつながり表」の分類は以下のようになっています。
○読み取り
文章から情報を正確に取り出すための読みの技術です。授業で課題にすると、正解を求める問いになります。
○読み深め
自分の考えを形成するための読みの技術です。授業で課題にすると、正解はなく納得解を求める問いになります。
○読み返し
作品の内容や書きぶりについて評価するための読みの技術です。授業で課題にすると、正解はなく納得解を求める問いになります。
具体的な問いの例を挙げると、
「読み取り」は、「登場人物はだれ?」「出来事は何があった?」
「読み深め」は、「中心人物が変わったこと(変容)は何でしょう。」「この物語の主題は何でしょう。」
「読み返し」は、「この物語は好きか嫌いか」「結末に納得できるかどうか」 などです。
授業者は、正解を求める問いなのか、納得解を求める問いなのか区別をして授業に臨む必要があります。
正解を求める問い(読み取り)ならば、ゴールは決まったもの(文章から読み取る情報)を目指します。
納得解を求める問い(読み深め、読み返し)ならば、ゴールはそれぞれの読みの深さをさらに深くすること、多様な読みができる
ことを目指します。
◎本サイトの使い方
○学びのつながり表
単元、授業を構想するときに、何をめあてに物語の「読みの技術」をまとめた表です。単元、授業を構想するときに、何をめあてにするのか選ぶ際に参考にできることを想定しています。ただし、必ず記された教材で示されている国語の力をすべて扱わなければならないわけではありません。子どもたちの実態によって学ぶ時期を早めたり遅らせたりする必要があります。また、発展的な読み方をしていた子どもがいたとき、高学年で扱うから棚上げするのではなく、それをチャンスととらえ、価値づけ、周りの子どもにも広げ、つなげることが重要です。
○教材別 国語の力 早見表
どの教材でどの「読みの技術」を扱うのか一目でわかるようにした表です。また、ある教材で付けた力が、のちに扱うどの教材の読みにつながっていくのかが確認できます。
○学習用語辞典
「学びのつながり表」で登場する学習用語の児童用の定義、詳しい説明、指導方法例、活用方法例などがまとめてあります。単元、授業を構想する際の参考にお使いください。また、教材分析をする際の教材を読む観点として使うこともできます。定義の中の赤文字で示された部分は、指導したときに付け加える内容です。
学習用語を児童に指導するときの定義、学習用語の詳しい説明、学習用語の指導方法、活用方法をまとめました。