回転機やMRIなど電気機器・電子デバイスの開発設計,携帯電話や医療機器における生体電磁環境問題など,電磁場解析の需要が高まっています.特に,有限要素法やFDTD法を用いた数値シミュレーションが学術研究や設計現場において活用されています.本シンポジウムは,計算電磁気学の学術研究や産業応用を推進することを目的とし,高性能計算,電気機器解析,計算科学など様々な分野の研究者が集まり,将来に向けて計算電磁気学に関連する解決すべき諸問題について討論するものです.
本シンポジウムは,科研費研究「電磁場・固体連成解析のハイケーパビリティ計算を実現する数値計算法」(研究代表者:荻野正雄),科研費研究「超音波スピーカの音場設計に向けた波動音響―流体並列連成計算に基づく非線形音響解析」(研究代表者:武居周),および科研費研究「大規模並列のための電磁界解析向け階層型領域分割法の収束性改善」(研究代表者:杉本振一郎)の研究成果報告を兼ねています.
2026年3月16日(月)~17日(火)
石川県政記念しいのき迎賓館・セミナールームB(石川県金沢市広坂2丁目1番1号)
(オンライン参加も可能)
無料
「開会の挨拶」荻野 正雄 (大同大学)
09:30 - 10:00 「高周波電磁界解析における悪条件問題に対する反復法の収束性改善」堂込 卓良 (宮崎大学)
有限要素法に基づく高周波電磁界解析において反復解法の過程で収束判定値を満たしているにもかかわらず非物理的な解を求めてしまう偽収束という現象を含め様々な要因による悪収束性が課題となっている。本研究ではいくつかの観点から高周波電磁界解析における悪条件問題について行列の条件数を調査し,反復ソルバに適用する収束判定値の決定を従来の経験則ではなく条件数に基づき定量的に検討する.
10:00 - 10:30 「高周波電磁界解析における前処理手法の検討」山田 大雅 (宮崎大学)
高周波電磁界解析において効率的な前処理手法の導入は,計算の高速化を目指すにあたり極めて重要な役割がある.本研究では,COCG法を用いた高周波電磁界解析に対して複数の前処理手法の有効性を検討する.
10:30 - 11:00「直交格子領域分割法を用いた高周波電磁界解析の収束性向上のための前処理手法の提案」村山 敏夫 (東京大学)
高周波電磁界解析における領域分割法は大規模な解析対象でも高速に収束させることが可能である。一方で、プリント基板などの極端に扁平な直交要素が含まれる場合に収束性が悪化することも知られている。本報告では、収束性が悪化する場合の原因を考察し、効果的な前処理方法について提案する。
11:00 - 11:30 「電気回路連成渦電流問題に対するEMD前処理の計算時間比較」比留間 真悟 (北海道大学)
電気回路連成渦電流問題において,不完全コレスキー分解を前処理とするICCG法は,反復回数の増加に伴い計算時間が長大化するという課題がある.これに対し,磁気ベクトルポテンシャルと電気スカラポテンシャルに異なる前処理を適用するEMD前処理は,計算時間の増加を抑制しつつ,反復回数を大幅に削減できる可能性がある.本研究では,異なる前処理設計に対する計算時間の比較を行い,計算リソースの観点から最適な前処理について検討した結果を報告する.
13:30 - 14:00 「ADVENTURE _FullWaveの機能拡張に向けた基礎検討」木場 龍聖 (宮崎大学)
高周波電磁界解析コード:ADVENTURE_FullWaveは、開放領域の解析に完全吸収境界(PML)を導入している。しかし、これは要素数が膨大となり計算コストが大きくなるという問題がある。また、高周波電磁界解析の解くべき係数行列は、特に大規模になると反復法の収束性が悪化することが知られている。そこで、本研究では、開放境界条件のひとつとしてインピーダンス境界を導入し、解くべき係数行列の次元数を下げ、また、前処理を導入することで、反復回数を削減することを目的とする。本報告ではその基礎検討として簡易モデルでの解析を行い、解析における計算コストの削減の見通しを立てる。
14:00 - 14:30 「パワエレ用磁気部品の周波数領域有限要素解析とその高速化」佐藤 佑樹 (青山学院大学)
近年、数百 kHz〜数 MHz の高周波で動作するパワーエレクトロニクス回路が開発される中で、回路内で使用される磁気部品の高周波特性がシステム全体の性能に影響を及ぼすようになっている。磁気部品の高周波特性はフルウェーブ電磁界解析によって評価することが可能であるが、その計算時間が大きなボトルネックとなっている。そこで本発表では、均質化有限要素法と回路解析を強連成させることで磁気部品の周波数特性解析を高速化した事例について報告する。
14:30 - 15:00 「境界積分方程式に基づく数値計算手法の電磁場解析への応用について」杉田 幸亮 (北海道大学)
電磁場解析に応用される様々な数値計算法の中で,いわゆる境界積分方程式(Boundary Integral Equation, BIE)が中心的な役割を担う手法があり,境界要素法(Boundary Element Method, BEM)やモーメント法(Method of Moments, MoM)として研究されている.本発表では,BIEを用いた数値計算法の電磁場解析への応用について,発表者の取り組みを含む最近の研究の進展を紹介する.
15:30 - 16:00 「大規模電磁場解析のためのメッシュ生成」河合 浩志 (東洋大学)
近年のスーパーコンピュータやGPUクラスタの高速化に伴い、大規模な高周波電磁場解析が可能となりつつある。本研究では、現在ボトルネックとなっているメッシュ生成工程の効率化・高速化をねらい、アドバンシングフロント法とメッシュ再分割とを組み合わせたプリント基板向けのメッシュ生成技法について検討を行った。
16:00 - 16:30 「高フレーム映像生成を用いた走運動下肢解析精度の改善と検証」鄭 宏杰 (東洋大学)
本研究では、低フレームレートの走運動映像に対し、高フレーム映像生成技術を適用し、下肢動作解析への有効性を検討した。走動作に特化した映像データを用いてモデルを調整し、生成映像を通じて姿勢情報の推定精度向上を確認した。これにより、詳細な動作把握が可能となり、スポーツ場面における効率的な計測や指導への応用可能性が示唆された。
16:30 - 16:50 「蓄電池モジュールの階層的制御の試み」藤井 秀樹 (東京大学)
再生可能エネルギーの普及やエネルギー安全保障の重要性,電力系統の安定化ニーズの増大などの理由により蓄電池の需要が拡大している.本研究では産業用蓄電池の階層的な内部構造に着目し,蓄電池モジュールの長寿命化を達成するような簡易的な出力制御のアルゴリズムの開発に取り組む.
16:50 - 17:20 「バーチャル物理リザバー計算」野津 裕史 (金沢大学)
物理現象を計算資源として活用する新規情報処理技術である物理リザバー計算の登場によって、物理系に新たな価値が生まれた。計算資源として有用かつ安価な物理系は貴重である。本講演では物理リザバー計算のフレームワークを概観したのち、数値シミュレーションを用いてバーチャルに物理リザバー計算を行った結果を紹介する。
日時:3月16日(月) 18:30-21:30(予定)
場所:(TBD)
参加費:(TBD)
09:30 - 10:00 「実問題の特性を考慮した複素反復法の開発」桝井 晃基 (大阪大学)
これまで,高周波電磁場解析などの悪条件問題に対し,そこで現れる複素対称線形方程式の求解の高速化に取り組んできた.今回は,実問題で現れる複素対称行列の特性を考慮した反復法について,ここ数年取り組んでいる内容を数値実験を通じて説明する.
10:00 - 10:30 「高周波電磁界解析に対する実部虚部分離型反復法」荻野 正雄 (大同大学)
高周波電磁界の有限要素解析は複素対称行列を係数とする連立一次方程式の求解に帰着し,反復解法としてはクリロフ部分空間法に属する共役直交共役勾配(COCG)法が標準である.その解きやすさはモデルや解析条件に依存するものの,一般的に正定値対称系に対する共役勾配法に比べて収束性は悪い.これまで反復法や前処理法に関する研究が行われてきているが,その多くはクリロフ部分空間法であった.本研究では,非エルミート系向けに開発されて,その後に複素対称系に拡張された実部虚部分離に基づく反復法について性能評価を行う.
10:30 - 11:00 「積型クリロフ部分空間法のハイブリッド型解法について」曽我部 知広 (名古屋大学)
ECCOMAS2024で発表した内容が論文になりましたので報告します。
11:00 - 11:30 「静磁場解析における菊地・福原の反復スキーム再見と渦電流問題への拡張」金山 寛 (日本女子大学)
菊地文雄氏の理論から出発した静磁場解析がやはりADVENTURE_Magneticの基礎になっていることを菊地・福原の反復スキームを見直すことによって示したい。渦電流問題への拡張は可能性を示すだけで実装は来年度以降になると思われる。
13:30 - 14:00 「Physics Informed Neural Networks を用いた磁場予測と形状最適化」佐々木 秀徳 (法政大学)
有限要素法を用いずに電磁界を高速に予測し,最適化計算を加速する手法として,ニューラルネットワークを用いた代理モデルが提案されている.しかし,これらの多くは教師あり学習に基づいており,学習用データの生成に多大な計算コストを要するという課題がある.そこで本研究では,物理法則を支配する偏微分方程式を損失関数として組み込む教師なし学習手法である Physics-Informed Neural Networks(PINNs)に着目し,磁場予測への適用について検討する.本稿では,PINNsによる磁場予測精度の評価結果を示すとともに,トポロジー最適化への拡張可能性について議論する.
14:00 - 14:30 「人体の火傷部位から感電部位逆推定に向けた「接触電流」-「熱」連成解析」野村 政宗 (秋田高専)
本研究では,将来的に火傷部位から感電部位を予測する逆解析手法開発に向けた接触電流-熱伝導連成解析(以後感電解析)コードの開発をオープンソースソフトウェア:ADVENTURE-Thermalの定常・非定常解析機能を用いて行う.本解析では,境界条件付与のために微小ボクセルで構築される解剖学的数値人体モデルの表面情報を抽出する必要がある.しかしながら,現状の数値人体モデルは皮膚-空気の境界において点接触・辺接触になる箇所があり,数値解析において必要となる表面情報の抽出が不可能となる.そこで本研究では点接触・辺接触なる箇所にボクセルを追加,面接触にし,数値人体モデルを修正するコードを開発した.その結果,増加するボクセルは1%以下に収まり,人体表面に自由に境界条件を付与することを可能にした.連成解析機能を追加したADVENTURE-Thermalで直立姿勢モデル・座位姿勢のモデル・しゃがみ姿勢のモデルで感電解析を行った結果を詳細に報告する。
14:30 - 15:00 「未定」田上 大助 (九州大学)
未定
15:00 - 15:30 「高周波電磁界解析に適用する反復法の悪収束性改善に向けた取組と展望」武居 周 (宮崎大学)
高周波電磁界解析は,解くべき方程式そのものに不定性はないものの,絶対値が非常に小さい特異値の存在により悪条件となる.この悪条件行列の,共役勾配法等の反復法による求解に向けたいくつかの取組と展望について述べる.
「閉会の挨拶」杉本 振一郎 (八戸工業大学)
荻野正雄(大同大学) ※ 実行委員長
野津裕史(金沢大学) ※ 現地実行委員長
武居周(宮崎大学)
田上大助(九州大学)
杉本振一郎(八戸工業大学)