第7回
大規模電磁界数値解析手法に関する研究シンポジウム
(LSCEM2024)
目的:
回転機やMRIなど電気機器・電子デバイスの開発設計,携帯電話や医療機器における生体電磁環境問題など,電磁場解析の需要が高まっています.特に,有限要素法やFDTD法を用いた数値シミュレーションが学術研究や設計現場において活用されています.本シンポジウムは,計算電磁気学の学術研究や産業応用を推進することを目的とし,高性能計算,電気機器解析,計算科学など様々な分野の研究者が集まり,将来に向けて計算電磁気学に関連する解決すべき諸問題について討論するものです.
本シンポジウムは,科研費研究「電磁場・固体連成解析のハイケーパビリティ計算を実現する数値計算法」(研究代表者:荻野正雄),および科研費研究「超音波スピーカの音場設計に向けた波動音響―流体並列連成計算に基づく非線形音響解析」(研究代表者:武居周)の研究成果報告を兼ねています.
日時:
2024年3月8日(金)-9日(土)
会場:
石垣市市民保健部 健康福祉センター 第2研修室(沖縄県石垣市登野城1357-1)
(オンライン参加も可能,事前に実行委員会へご連絡ください)
参加費:
無料
プログラム:
3月8日(金)
セッション1 座長:桝井晃基(大阪大学)
10:00-10:50 「高電圧感電時の人体内部の電流密度-熱伝導-構造連成解析の基礎検討」
野村政宗(秋田工業高等専門学校)
10:50-11:40 「FullWave電磁界解析の悪収束性改善に向けた取組み」
武居周(宮崎大学)
FullWave電磁界解析において,反復法の収束性が悪い.その理由は,行列には不定性は見られないものの,その固有値がゼロ付近に集中することであり,波長が低解像度で近似されている場合,および節点が高密度となる場合などに悪収束性が顕著となる.本研究では,悪収束性を改善するためのいくつかの改善方法を紹介し,マイクロ波メスを使用した手術室内の電磁界解析など,大規模計算例を提示しながら,今後の展望について述べる.
昼休み
セッション2 座長:河合浩志(東洋大学)
13:00-13:50 「古典的領域分割法に基づくPhysics-Informed Neural Networks」
荻野正雄(大同大学)
近年,機械学習分野においてPhysics-Informed Neural Networks (PINN)と呼ばれる物理法則を考慮した学習手法が注目されている.PINNは偏微分方程式(PDE)の初期値境界値問題に対する誤差をもとに損失関数を構築してニューラルネットワークを学習させる方法であるが,その並列計算方法に従来のPDEソルバに対する研究成果が活用されることは少ない.そこで本研究は,2次元静磁場問題などで現れるポアソン方程式を対象に,Dirichlet-Neumann法など古典的領域分割法で定式化されたPDEに対するPINNの適用について検討した結果を報告する.
13:50-14:40 「油入変圧器内部異常の予兆推定」
鄭宏杰(東洋大学)
休憩
セッション3 座長:武居周(宮崎大学)
15:00-15:50 「多角形要素を用いた電磁場問題の数値計算とBDD法への応用」
田上大助(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)
近年, 要素分割の自由度が増すことから, 多角形要素を用いた数値計算手法が提案され, その数値解析も進んでいる. 本講演では, 多角形要素の電磁場問題の数値計算への適用について紹介する. またBDD法への応用についても紹介する.
15:50-16:40 「大規模メッシュ生成のための試み」
河合浩志(東洋大学)
大規模な3次元メッシュ生成を実現するため、メッシュ生成プロセスのコスト削減およびそのための並列化を進める必要がある。本研究では、ボクセル・4分木/8分木法とアドバンシングフロント法を組み合わせた方法に着目し、その並列化を試みる。
16:40- 「自由討論」
技術交流会:
日時:3月8日(金) 18:00-20:00
場所:島料理居酒屋あだん亭(沖縄県石垣市大川430 東 1F)
参加費:(TBD)
3月9日(土)
セッション4 座長:荻野正雄(大同大学)
10:00-10:50 「重なりのない領域分割解析におけるインターフェース問題の前処理の統一的正当化(構造解析の場合)」
金山寛(日本女子大学)
前回Stokes問題で示したことを課題にしていた構造解析でも示せることを確認する。
10:50-11:40 「大規模高周波電磁界解析のための効果的前処理手法」
村山敏夫(東京大学)
大規模高周波電磁界解析の収束性を向上させる前処理手法について最近の取り組みを紹介します。
昼休み
セッション5 座長:杉本振一郎(八戸工業大学)
13:00-13:50 「複素対称行列の非ゼロ要素位置に着目した反復法の並列化手法について」
桝井晃基(大阪大学)
IC分解前処理付きCOCG法の並列化手法としては,ブロックICCG法や代数的ブロック化多色順序付け(ABMC)法などが広く知られている.これらはいずれも行列全体に対して操作するため汎用的である一方,問題によっては収束性が極端に悪化する可能性がある.そこで,本研究では,係数行列の非ゼロ要素パターンに着目した並列化手法を実装し,性能を評価した.
13:50-14:40 「電磁場解析向けの反復法における前処理行列の虚部切り捨てによる有効性の調査」
上木脩生(大阪大学)
大規模電磁場解析向けの連立一次方程式の求解法として,ICCG法が広く知られている.
大規模電磁場解析における係数行列の非ゼロ要素は大部分の虚部が0となっているため,前処理行列も虚部の値は多くは0,もしくは実部に比べて小さい値となる.そこで,本研究では前処理行列の虚部を切り捨てた反復法における高速化や使用メモリ量について評価し,有効性を検討する.
休憩
セッション6 座長:田上大助(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)
15:00-15:50 「電磁界解析における積型反復法」
杉本振一郎(八戸工業大学)
100万自由度以上の電磁界解析において,積型反復法の効果を検証する.
15:50-16:40 「非対称線形方程式のための積型クリロフ部分空間法の組み合わせについて」
曽我部知広(名古屋大学 大学院工学研究科)
1997年にS.-L. Zhangにより提案された非対称線形方程式のための積型クリロフ部分空間法の枠組みは、CGS法、BiCGSTAB法、GPBiCG法を含んでおり、それらを組み合わせる方法が研究されている。本研究では、これまでにあまり注目されていなかったCGS法とGPBiCG法の組み合わせ方によっては良い収束を有する例が確認されたので報告する。
16:40- 「自由討論」
実行委員会:
田上大助(九州大学) ※ 実行委員長
杉本振一郎(八戸工業大学)
武居周(宮崎大学)
荻野正雄(大同大学)
問い合わせ先:
LSCEM2024実行委員会 田上大助