第1回大規模電磁界数値解析手法に関する研究シンポジウム(LSCEM2018)

目的:

回転機やMRIなど電気機器・電子デバイスの開発設計,携帯電話や医療機器における生体電磁環境問題など,電磁場解析の需要が高まっています.特に,FDTD法や有限要素法を用いた数値シミュレーションが学術研究や設計現場において活用されています.本シンポジウムは,計算電磁気学の学術研究や産業応用を推進することを目的とし,高性能計算,電気機器解析,計算科学など様々な分野の研究者が集まり,将来に向けて計算電磁気学に関連する解決すべき諸問題について討論するものです.


また,本シンポジウムは,科研費研究「電磁場解析のエクストリームスケール・コンピューティングを実現する高速数値解法開発」(研究代表者:荻野正雄)並びに科研費研究「並列連成解析手法による高精度な温熱療法シミュレーションの実現」(研究代表者:武居周)の研究成果報告を兼ねています.

日時:

2018年3月17日(土)〜18日(日)

会場:

原鶴温泉・泰泉閣 会議室「筑紫」 (福岡県朝倉市杷木志波20 )

参加費:

無料

プログラム:

3月17日(土)

10:00~10:10 「開会の挨拶」 荻野正雄(名古屋大学)


セッション1 座長: 杉本振一郎(諏訪東京理科大学)

10:10~10:40 「反復型部分構造法の多階層化に関する検討」荻野正雄(名古屋大学)

反復型部分構造法は領域分割数の増加に伴って反復回数が増加するため,超大規模問題解析を効率化するためには,領域分割数を抑えつつ,比較的大規模な部分領域問題を解く必要がある.本発表では,反復型部分構造法の多階層化について述べる.


10:40~11:20 「領域分割法に現れるSchur補元の逆行列表現とその応用可能性」曽我部知広(名古屋大学)

電磁場解析に対する領域分割法(DDM法)では,複雑な内部構造を持つSchur補元が現れる.本発表では,この内部構造を活用したSchur補元の逆行列表現を与える.そして,Schur補元を係数に持つ線形方程式に対する前処理への応用可能性について述べる.


11:20~12:00 「ハイパフォーマンス・デザインパターンを用いた高効率コード開発」河合浩志(東洋大学)

近年のスカラープロセッサの高速化、高性能化が進む一方で、実際のシミュレーションにおいてその高い性能を発揮するための技術的な敷居が高くなりつつある。これに対して本研究では、数値計算においてよく使われる抽象データ型、例えば複素数、多倍長精度、ベクトル、テンソルなどを実装するためのコーディングおよび設計指針となる、ハイパフォーマンス・デザインパターンを提案する。


12:00〜13:00 ランチミーティング(科研費研究に関する研究打合せ)


セッション2 座長: 荻野正雄(名古屋大学)

13:00~13:30 「並列マイクロ波解析」武居周(宮崎大学)

これまでFDTD法が多用されてきた1GHz超のマイクロ波帯域において,我々が開発を推進している領域分割法に基づく並列Full-wave電磁界解析の有効性について,アンテナ解析を中心とした数値例を提示しながら述べる.


13:30~14:10 「複素対称線形方程式における高精度演算を用いた反復法の収束性の性能評価」桝井晃基(名古屋大学)

複素対称線形方程式の求解において,高精度演算を用いる事で収束性改善に成功した.一方で,真の解との誤差が残差ノルムに比べて精度が出ていなかった.そこで今回は解の誤差に着目し,倍々精度演算を用いた反復法を実装し,性能評価を行った


14:10~14:50 「渦電流解析における部分領域問題の直接解法に関する検討」水間健仁(宮崎大学)

領域分割法に基づく渦電流解析における部分領域問題の解法として、一般逆行列法に基づく直接法を適用することに関する検討を進めている。発表では、収束性や最適な部分領域サイズ等の検討結果に関して報告する。


14:50~15:10 休憩


セッション3 座長: 武居周(宮崎大学)

15:10〜15:30 「トポロジー最適化を用いた誘電体レンズアンテナの設計と試作,評価」 伊藤桂一(秋田工業高等専門学校)

アンテナ用誘電体レンズの形状を自在に設計する方法としてトポロジー最適化が注目されている。本研究ではレンズアンテナが所望の性能を満たすようにレンズ形状の3次元設計を試みた。試作と測定による評価を行い,設計手法の実用性について報告する。


15:30~16:00 「階層型領域分割法による大規模並列電磁界解析」杉本振一郎(諏訪東京理科大学)

階層型領域分割法を用いた大規模な並列電磁界解析について現状を概説するとともに,今後の展望について述べる.


16:00~16:40 「静磁場領域分割解析のマルチパート化に向けて」金山寛(日本女子大学)

これまでBDD-DIAG法を1パートについて調べてきたが、解析規模の拡大のために、マルチパート化が必要になっている。ここでは2パートの場合を中心にその試みについて述べる。


16:40~17:20 「仮想要素を用いた静磁場問題に対するBDD法」田上大助(九州大学)

我々が従来提案していた静磁場問題に対するBDD法では領域分割に関する適合性条件が必要となるため, 実用問題への適用に困難があった.

この困難を回避するための一手法として, 仮想要素を用いた計算アルゴリズムを紹介する.


17:20~17:30 「閉会の挨拶」 武居周(宮崎大学)


3月18日(日)

エクスカーション

平成29年7月九州北部豪雨からの復興支援を目的とし,朝倉市周辺の自然,農産品,特産品など魅力に触れるツアーを予定しています.

09:30 ホテル発

09:50〜13:00 三連水車の里あさくらなどを見学,昼食

13:00 解散

技術交流会:

日時: 3月17日(土) 18:00〜20:00

場所: 原鶴温泉・泰泉閣

実行委員会:

  • 荻野正雄(名古屋大学)※実行委員長
  • 武居周(宮崎大学)
  • 杉本振一郎(諏訪東京理科大学)

問い合わせ先:

LSCEM2018実行委員会 荻野正雄