LAYER THE WORLD

私たちは普段、外部からの雑多な刺激にさらされています。日々情報や想いを上書きし、消去や保存、塗りつぶしをしながら自分

というレイヤーを重ねてると言っていいでしょう。また時間とともに忘れたり、突然閃いたりすることで、それまで確固たるも

のとしていた自分は簡単に揺らぎます。生涯譲れない価値観というのは信用しません。年齢や宗教、国籍、未来や歴史がどうあろうと、稚拙だろうと、下世話だろうと、エレガントだろうと、抽象も具象も、ハイもロウも。そこにあるものを意識したり、しなかったりも含め貼って貼って、描いて塗って、つぶして、覆って、重ねていくわけです。

光の色を重ねると無色になるように、メッセージやキャラクターなどのイメージも複層化することで、個々の意味は無力化されます。

かつて「完全な絵」というものがありました。しかし現在はそういったものを作るのは不可能だし、必要もなくなりました。完全なものが出てこなくなったことは残念ですが、一方でいろいろな所が開放されたり、ほぐれたり、溶けたりしました。

そうして様々な価値が雑に重なり、広範囲に散らかった世界になったように思います。