武田 雄大(兵庫県)
本研究は、疼痛部位における振動覚の変化と、振動刺激が疼痛に与える影響を検討したものである。
音叉(128Hz)を用いて患側と健側の振動感知時間を比較し、さらに疼痛誘発動作前後で振動刺激を加え、NRSの変化を評価した。
運動時の疼痛は、固有感覚(関節位置覚・運動覚・振動覚)の低下と関連することが知られている。
振動覚の低下は高齢者の転倒リスク増加と関連するが、疼痛との関係は十分に研究されていない。
本研究では、
①受傷後の疼痛部位に振動覚低下があるか
②振動刺激が疼痛に影響するか
を明らかにすることを目的とした。
当院来院患者 15 名(男性 9 名、女性 6 名、平均年齢 30.4 ± 15.7 歳)
振動覚評価
アルミ合金製音叉(128Hz)を使用
患側疼痛点と健側同部位に音叉を当て、振動感知時間を 3 回測定
平均値を比較
疼痛評価(NRS)
最も疼痛の強い動作を実施
その後、患側に音叉振動刺激を入力
再度同じ動作を行い、NRS の変化を記録
患側は健側より 平均 1.5 秒短い振動感知時間だったが、
統計的有意差はなし
振動刺激前後で NRS が平均 1.9(±0.91)減少
有意差あり(P < 0.05)
患側と健側の振動覚に有意差がなかった理由として、
受傷後日が浅い
慢性疼痛に移行していない
若年層が多い
などが考えられる。
振動刺激により疼痛が減少した理由は、
振動覚の賦活 → 関節位置覚の向上 → 感覚入力の改善 → 知覚‐運動協応の活性化
によるものと推察される。
慢性痛や長期非荷重症例では、振動覚低下がより顕著に現れる可能性がある。
本研究では患側の振動覚低下は認められなかった。
しかし、振動刺激は疼痛軽減に有効であることが示された。
振動刺激は簡便で安全性が高く、疼痛管理の一助となる可能性がある。