塩内 諒 松本 和久 (明治国際医療大学)
本研究は、背筋運動(上体反らし50回)を行う前後で、
①最長筋の剪断波エラストグラフィ(SWE)
②腰椎前彎角度
③背臥位時の仙骨部圧力
を測定し、腰椎前彎角度と仙骨部圧力の関係を明らかにすることを目的とした。
結果として、
腰椎前彎角度が増加すると仙骨部圧力が増加する ことが示され、
腰痛患者に対する寝具の硬さ選択には 腰椎前彎角度の評価が不可欠 であることが示唆された。
腰痛患者には「硬いマット」が推奨されることが多い。
しかし、硬い寝具で腰痛が悪化するケースもあり、その理由は 仙骨部への圧力増加 と考えられる。
これまで、腰椎前彎角度と仙骨部圧力の関係 を検証した研究は少ない。
本研究では、背筋運動前後でSWE・前彎角度・仙骨部圧力を測定し、
寝具の硬さ選択に必要な指標を明らかにする。
成人男性10名
(平均年齢31.0±12.9歳、身長168.3±4.4cm、体重63.6±4.0kg)
SWE(剪断波エラストグラフィ)
最長筋の筋膜部・筋部を測定
腰椎前彎角度
垂直跳びの最高到達点で三次元動作解析
仙骨部圧力
背臥位30分間、5分ごとに体圧測定
腹臥位で上体反らし50回(休息を入れつつ可能範囲で実施)
Spearman順位相関
2元配置分散分析
Bonferroni多重比較
有意水準5%
筋膜部:運動前 92.0 → 運動後 115.5 kPa
筋部:運動前 92.5 → 運動後 108.1 kPa
全体:運動前 24.5° → 運動後 23.7°
前彎角度増加群(5名):24.5° → 26.5°
前彎角度減少群(5名):24.6° → 20.8°
運動前の筋膜部SWEと前彎角度に強い負の相関(r = -0.77, p = 0.01)
前彎角度増加群:運動後に圧力が有意に増加
前彎角度減少群:運動後に圧力が減少(有意差なし)
腰椎前彎角度が増加すると仙骨部の一部に強い圧力が集中する。
これは、硬い寝具で腰痛が悪化する患者がいる理由の一つと考えられる。
前彎角度減少群では圧力が減少し、柔らかい寝具で腰痛が改善する理由と一致する。
SWEと前彎角度の関係から、最長筋の緊張は前彎角度増加の主要因ではない可能性がある。
寝具の硬さを選ぶ際には、
「腰椎前彎角度の評価」 が不可欠である。
腰椎前彎角度が増加すると仙骨部圧力が増加する。
腰痛患者に硬い寝具を推奨する際には、前彎角度を考慮しないと逆効果になる可能性がある。
寝具選択は 個々の腰椎前彎角度に合わせて行うべき である。