九州大学 大学院システム情報科学研究院 電気システム工学部門 

制御と最適化の研究室

システム制御
システムとは相互に影響を及ぼしあう要素で構成されるひとつのまとまりのことを言います。その挙動を希望のものに近づけることが、制御の目的です。ロボットやドローン、自動車などの物理システムから、音声や画像などの信号処理まで、時間的に変化するものはすべて制御の対象です。私たちの研究室では、システム制御理論と応用に関する幅広い研究・教育を行なっています。応用として特に力を入れているのが、自動運転車の隊列走行や、複数ドローンの協調飛行など、複数の車両や移動ロボット群を制御する「自律移動ロボット群の制御」です。システムを構成するひとつひとつの要素(ロボットや車両)が、自分の近くにいる要素だけの状態など、全体の中での限られた情報だけしか得られないときに、いかに全体の挙動を制御するか、というような問題に取り組んでいます。また、建物の地震や風による揺れ対策など、機械や構造物の振動を抑える機械系の振動制御や、ディジタル制御による信号処理も研究しています。

最適化
コンピューティング能力の向上と、ここ数年における強力な(マイクロ)プロセッサの開発により、エンジニアは「最適化」に基づいて、特定の目的のためのより洗練された制御系設計をするようになりました。あらゆる工学的問題は関数最小化である(または関数最小化に帰着できる)ということができます。例えば、移動ロボットの経路計画において「最良」の経路を見つけることは、距離、時間、燃料消費などの要因の寄与であるコスト(関数)を最小化する経路を見つけることに相当します。そのため、収束速度、計算量の少なさ、解ける問題の範囲のバランスが課題となっています。私たちの研究室では、制御や信号処理をはじめとする幅広い工学分野への応用を目指して、効率的なアルゴリズムの開発を目指しています。

変形ドローン
ドローン(マルチロータ)は複数のロータが放射状に配置されたシンプルな構造でありながら、各ロータの回転数を制御するだけで上昇下降・前後左右移動・左右旋回・ホバリングができる高い機動性を持っています。しかしながら、6自由度の運動(3自由度並進運動+3自由度回転運動)に対して4自由度しか持たないため、機体の姿勢を傾けなければ並進運動できないという制約があります。そこで、機体自由度を向上させるために、従来ドローンでは固定されていたフレームに変形機構(チルトフレーム機構)を組み込んだオリジナルな「変形ドローン」の開発、および機体形状を大きく変形させても安定して飛行できる制御器の設計について取り組んでいます。フレームを変形できる機能を用いて、狭隘な災害現場の情報収集など従来のドローンにはできない複雑なタスクを効率よく達成することを目指しています。

Transformable drones with tilting mechanisms

We proposed a novel quadrotor with a tilting frame using the parallel link mechanism. By driving only one servo motor, it can tilt its frame in the  pitch direction, that is, it has 5 DoF (Degree of Freedom), so that its frame is folded vertically.

Transformable drones with tilting mechanisms

We proposed a novel quadrotor with a dual-axis tilting frame using the parallelepiped mechanism. By driving only two servo motors, it can tilt its frame in the roll and the pitch direction, that is, it has 6 DoF (Degree of Freedom), so that its frame is folded vertically in those two directions.