この曲は、歌謡曲シリーズの第二弾になります。
第一弾「タイムラグ」が思っていた以上にたくさんの方に好評をいただき、自分でも“歌謡っぽい”歌詞が思っていたより得意かもしれない…と気づきました。
そういう流れもあって、この「アイライン」は、より強気で皮肉めいた言葉を前面に押し出した一曲に仕上がっています。
ゆくゆくは、こういったテイストの曲たちを集めた“歌謡曲ミニアルバム”なんかも作れたらとひそかに思っています。
私と友人の間で、「今日は強気で行く」という意味を「今日はアイライン長めに引いてる」と比喩をすることがよくあり、そこからイメージが広がって形になったのがこの楽曲です。
主人公が別れを告げるには「今日なら言える」と思えるだけの材料が必要でした。
赤く濃く引いたリップも、いつもより長く引いたアイラインも、「好き」とはもう言わないための武装であり、自分の心を守るための鎧でした。
今更「愛してる」と言われたいわけではない。
それでも、どこかで気づいてほしかった——そんな未練や後悔をすべて、強い言葉に変えてぶつけたのがこの歌です。
相手のプライドの高さを責める“プライドの高い主人公” が、どこか歌謡曲らしい匂いと共に漂ってくれたら嬉しいです。
この曲は、一方的な優しさや、見せかけの愛にうんざりした主人公が、ついに口火を切るような楽曲です。
「愛してみたわ」「聞き飽きたわ」——
その言葉の裏には、かつて確かに存在していた好意や、どこかで期待してしまっていた自分の気持ちも、静かに滲んでいます。けれど今となってはそれすらも無く、最後にはもう演じることすらできなくなってしまった。
歌詞のその後は描かれていませんが、主人公が本当に伝えたかったことは、もしかすると別のところにあったのかもしれません。
一見すると思いの丈をぶつけているように見えて、その実、相手を負かそうとしている。つまりは、“わかってくれなかったあなたが悪い”という構図の中でしか、自分の感情を整理できなくなっているのです。
だから、言葉は届かないし、伝わるはずもない。
会話のようでいて、戦いのようで、そしてどこまでもすれ違っている。
きっとこの主人公は、自分の中のプライドと、まだ少し残る未練のどちらにも折り合いがつけられなくなって、最終的には感情が散らかったまま、綺麗には終われなかったのだと思います。
でもそれは、きっと誰にでも一度はあること。
伝えたいのにうまく言えず、強く出てしまった結果、戻れなくなる。
そんな“不器用な別れ”の一幕を、この楽曲に閉じ込めました。
いかがでしょうか。
「アイライン」は張りつめたテンションの中に、プライドと未練が交差する一曲です。
淡々と切り捨てるような言葉の裏に、伝わらなかった愛や、届かなかった期待がにじみ出ています。綺麗に終わることを諦めた、少しだけ大人びた子どもの別れの歌。
うまく言えなかった日の代わりに、ぜひ聞いて下さい。
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