この記事は旧KUWV-BLOGから移植したものです。

2017年09月13日

O柳です。9/9,10で完成編の川浦谷銚子洞の遡下降に行ってきました。ペーターの足の状況が望ましくなく、直前まで決行が危ぶまれていましたが、本人から、ギリギリ持つかどうかだが最後の沢も覚悟して行ってみるという回答を得たので、ペーターの荷物を超軽量化して、また無理だと思ったらすぐに撤退するつもりで決行されました。完成編は無事最後まで終わりましたが、やはり合宿を行えるコンディションではないので、今季の沢メンの山行はここまでとなります。

山行については、泳ぎ、登攀、巻き、三回の懸垂下降などの沢の要素すべて詰め込んだハードな遡行と下降で、完成編の中ではかなり高いレベルでした。懸垂下降は空中懸垂、滝に打たれながらの下降、マルチピッチと三回ともハードで、沢中の懸垂下降が初めての一回生達は懸垂下降マスターになれたと思います。一回生三人を含むパーティーだったこともあり、二日間ともコースタイムオーバーし、10時間以上行動となりました。詳しくは追記にて。※二日目の朝にメモを紛失したので時間などは多少曖昧です。

写真:http://photozou.jp/photo/list/2619556/9090383

金曜日の18時過ぎを集合としたが、結局19時頃BOXを出発した。レンタカーはvitzかなんかが来たので、トランクはテトリス状態だった。20時半頃栗東の8号線あたりで「ラーメン関所」なる店に入って夕食。店主のおっちゃんが横浜出身だったらしく、下村が川崎出身と知ると嬉々として話し始めたが、下村の余りの地元愛の無さに呆れ、下村のことを猛烈にdisり始めた。「お前だけ会話のテンポが一つ遅い」「関東出身はお前ひとりなんだから関西人に負けないようにもっとしっかりしろ」とかいろいろ言われていた。他にも結構言っていたと思うので気になる人は下村に聞いてください。下村は「あそこが今回の核心でした」と言っていた。日付が変わって1時半頃第一ゲート。バイオのトイレで用を足しつつ出発し、2時頃第二ゲートで物品援助された新品の6テンで0付。三時間後に起床することにした。


9/9 土 晴れ

5:00~5:30 起床、出発

6:30 林道終了、遊歩道スタート

7:00~7:30 銚子滝下、ランビレ開始

9:25 銚子滝上

9:30 12m滝 フリー直登

10:05 7m滝 泳ぎ、直登

10:40 2条5m 滝の裏から

11:20~13:20 15m美瀑、ランビレ

15:10 ゴルジュ内8m 右岸巻き

16:30 CS1

21時頃就寝

起床。知床でかぶれた皮膚が朝のガスに刺激され拷問の様に痒かった。2日前までの雨で心配していたが、水量はそこまで多くないようだ。ペーターの足の調子を聞きつつ行動開始。林道歩き中はトップ装備やシュラフ、ハーネスなどのペーターの荷物をメンバーで分担し、ペーターの膝の負担を減らした。まずは立ち入り禁止と書かれている第二ゲートを直登して林道歩き。途中工事現場や石門を見つつトンネルへ突入。トンネルでも立ち入り禁止と書かれたロープを乗り越える。トンネルを越えると林道終点。開いていないトイレを見送って橋を渡って遊歩道を歩く。日河原洞から銚子洞に入った辺りで、遊歩道が荒れていたので一応メットを被った。荒れてはいるが基本歩きやすい。橋は一つ無くなっていて、もう一つが欄干が崩壊している。今のところ現存している橋は通行に支障は無かった。しばらくして銚子滝下へ。ここでも吹き付ける霧でCLが立ち止まっていられない痒みに襲われた。銚子滝は非常に迫力のある滝だった。滝壺はヒルが大量にいた。試行錯誤して集合写真を撮った後、しばらくペーターに入渓して大丈夫そうか悩んでもらう。まだ行けそうとのことだったので、左岸の草付きからランビレ。沢装備を付け、メインザイルのみペーターに持ってもらうことにした。トップ装備は、ランビレの時のみCLがペーターに渡せば問題ないという判断をした。最悪ザイルとハーネスさえあればボディビレーは可能なので、大きな問題にはならないと考えた。銚子滝は、草付きから岩に変わる辺りがなかなかいやらしく、バーボンがプルージックのお世話になりかけていた。岩が終わって樹林になると特に言うことはない。中間支点は非常に取りづらく、立木を多用した。銚子滝を越えるとすぐに12m滝で、左岸をフリーで直登した。登る分には特に難しくはない。その後、淵を泳いで滝を直登したりして5mから10mの滝を越えていく。泳ぎの度に一回生が渋滞を起こしていて面白かったが、流石にかわいそうだったので、何回か笑ってから、次の人が滝に取り付くまで泳ぎ始めない方がいいよとアドバイスした。滝の裏から登る5m滝は、流木の下に滝に打たれながら入る必要があり、なかなかきつかった。ペーターが最初右からは行きづらいと判断したので、CLが他の場所を試したが結局滝に猛烈に打たれただけだったので、右へ行ってみると、水流の中に歩ける場所があり、滝の裏に入れた。上で待っていると、一回生が滝の裏で渋滞を起こして奇声をあげていた。モダンが一度滑落したので心配したが、特に問題はなかったらしい。しばらくして15m美瀑に着き、ここは左岸からランビレ。ペーターはハーケンで支点を取り水流際を行ったが、もう少し外側の方が一回生には簡単だった。高度はあるが難易度はそこまででは無かった。この後はしばらくゴーロ帯の処理になり、慣れていない一回生は少し苦労していた。更に行くと沢が一旦穏やかになり、その後最後のゴルジュになる。1m滝は手前の淵をがっつり泳いで突破。その後のゴルジュ内8mは右岸巻きだが、最後に降りる部分がなかなかきつく、一回生はまあまあ怖がっていた。この後、16時ごろに一度天気図レストを試みるが、電波がうまく入らず断念。コースタイムを大幅に越えてCS1到着。既に遅かったので、ハッピーさんの意思を継ぐことはできなかった。この後焚火の着火に手間取り、やけくそになってモダンと新聞紙を燃やしまくるという愚行に出てしまったが、最終的に盛大な焚火になった。食当下村の八宝菜を食べ、焚火にCLが持ってきた生しいたけとバーボンが実家きら持ってきた鮭とばをかざしながら酒を飲んだ。


9/10 日 晴れ

4:00~5:30 起床、出発

6:10~7:20 ゴルジュ内8m 懸垂下降

8:30~9:45 15m美瀑 懸垂下降

11:10 12m クライムダウン

11:50~13:30 銚子滝 懸垂下降1ピッチ目

~14:30 銚子滝下

15:05 林道

16:00 第二ゲート


起床。朝食はチキンラーメン。ザイルの連結がまだだったのでメインザイルとサブザイルをダブルフィッシャーマンで連結した。下降ではむしろ周りより高いところにいるCLがザイルを持っている方が安全であるので、ペーターの荷物の軽量化の為にザイルはCLが持った。トップ装備はハンマーとヌンチャクのみ下村に持ってもらい、カムとハーケンはCLが持った。最初はそこまで重く感じ無かったが、やはり体が思う様に動きにくかった。ペーターの足は何とか持ちそうとのことだった。(ここまで来たら最早持たなかった場合も計画を貫徹する以外の選択肢は無いのだが…) しばらく明け待ちをして出発。まずはゴルジュ内8m滝の懸垂下降。左岸をCLとペーターでトラバースしてみて、良さそうな場所があったのでペーターに工作をしてもらいつつ一回生を迎えに行く。ここの巻きはなかなか高度感があった。淵の終わったところに降りられるいい位置だったが、何となく降りて行くと思いっきり空中懸垂だった。一回生は沢中初の懸垂下降が空中懸垂になってしまった。直後に1m滝を滑り降りて淵を泳いだ。既に朝っぱらから泳いだ後だったので個人的にはそこまできつくなく、むしろ楽しかった。この後モダンがつまづいて顔から前に突っ込んだので落ち着く為に少し止まった。次のゴルジュのゴーロ帯の下降は、下降慣れしていないパーティーだったのでなかなか時間が掛かった。クライムダウンしたり泳いだりしながら下降し、コースタイムをまあまあオーバーしながら15m美瀑に到着。落ち口より一段上の左岸の立木から懸垂下降をした。ここも下降中に滝の水をもろに受けるハードコースだった。ザイルの長さはそれなりにギリギリだった。その後また5m滝を裏に周って降り、釜を持った7mのクライムダウン。一段降りた後、そのまま左岸を降りたが、時間が掛かったので、正解は一段降りたところから飛び込んで泳ぎだったのだろう。12m滝は行きの感じから行けそうだと踏んで懸垂下降ではなくクライムダウンにしたが、なかなか厳しくて残置ロープをがっつり掴んで降りる情けない下降をしてしまった部分もあった。降りるとすぐに銚子滝。左岸の踏み跡を少し降りて懸垂下降をすることにしたが、かなり高くてワンピッチで行ける確信が持てない。ペーターにマルチの可能性もあるのでその場合は笛を長く二回吹いてくれと伝え、下降を開始。声が届く範囲にギリギリのテラスがあり、良さそうな支点もあったらしく、そこから2ピッチ目をすることになった。降りてみると、人がすれ違うのも困難なかなり狭いスペースではあるが、マルチにするならここしかないという場所だった。一回生は初めての沢の下降でマルチピッチ懸垂下降まで体験してしまったので懸垂下降マスターを名乗っていいでしょう。何とかテラスで支点を構築し、下降。下降終了間近に見る銚子滝は、遡行開始時に見た時より遥かに美しく見えた。単に日が当たっていたというだけの理由ではなさそうだった。降りてみて、マルチにしたペーターの判断はやはり正しかったと思った。ギリギリ届いたかも知れないが、今回の行程に関してはギリギリを狙って速く降りるより、多少時間が掛かっても確実に降りる方が優先すべきなので。後で調べたら、13年にワンピッチで降りた先輩のパーティーはサブザイルが40mで、今回は30mなので、だいぶ感覚は違うはずだ。下降終了して、何とか膝が持ち堪えたペーターと喜びの言葉を交わして、遊歩道を歩いた。林道に入ってから荷物の重さがかなりきつく感じるようになった。下降の際余裕があったら石門を泳ぎたいと思っていたが、時間が全然無いので林道を歩いて第二ゲートへ。腹が減っていた下村は早く飯が食いたかったらしくかなりのハイペースで下山していた。第二ゲートまでは何故か観光客が結構来ており、交通量はまあまああった。空腹を主張する下村を黙らせて、有名な本流ゴルジュと海ノ溝ゴルジュを見た。人を寄せ付けない見た目をしていて、自分はやはりこういうゴルジュを突破する沢ヤになるのはきついなと思った。板取川温泉に入り、岐阜市のかつやで飯を食って、日付が変わってから京大に着いた。次の日に4回生二人を連行してさとのやで打ち上げをした。


非常に骨のある山行でした。パーティーメンバーは半期お疲れ様でした。特にペーターにはいろいろと負担を掛けてしまったので感謝したいです。合宿に連れて行けないのは残念ですが、上回生を適当に煽れば個人山行に連れて行って貰えるので多用しましょう。また来季もよろしく。