縦走装備篇
この記事について
この記事は縦走を行いたい方向けに,装備についての話を主にネットの情報やモンベルのカタログや経験則などをもとにまとめたものである(過去に書かれた記事から商品紹介を分離し内容を加筆したもの).
装備についての考え方(特に定量的な部分について)にはさまざまな意見があるようなので,この記事の内容は参考程度に見てください.この記事は個人研究のようなものなので,将来のKUWV部員によってこの記事が叩き直されより良いものにしてくれることを願っています(そして沢装備篇も…).
商品紹介
先輩T氏によって書かれた商品紹介ページ→こちら.参考にしてください.
三種の神器
これがないと山には行けない
登山靴
次の記事に詳しく書かれている.
要約するとハイカットを買え・ケチるな・試着しろ
登山ザック
ワンゲルで用いるザックは縦走用のメインザック,ピストン行程などで用いるサブザックの2種類となる.
それぞれザックにつける雨具であるザックカバーも必要となる.ザックカバーは容量に合わせて購入する.ザックにセットでついてくる場合もある.
登山ザックの選び方
最重要パラメータは次の2つ.
容量
背面寸法
容量
ザックの容量には20Lや100L,2.5Lとかいうものまで様々あるが,縦走で用いるものは60L以上,目安としては80Lくらいのものである.
また,日帰りハイクなどでは20Lくらいのものを用いる.このあたりの容量のザックには折りたたみ式の物があり,折りたたみ式であれば縦走時のサブザックとして持っていくことができる.
多くのブランドではザックの名称に数字がついており,それが容量を表していることが多い.
背面寸法
背面寸法は軽視されがちだが超重要パラメータである.体に対して背面寸法が大きすぎると脚を曲げた時に干渉し,逆に小さすぎると腰で体重を支えられずベルトが肩に食い込む.
背面寸法は第7頚椎と腰骨の最上部ラインとの距離で定義されるので自分に合った寸法を把握することはできるが,初心者は特にネットで購入せずに店舗でフィッティングして購入した方が良い.
背面寸法が調整可能のものもある.
また,他の重要な要素としては,
重量
機能性
価格
デザイン
などがある.
重量
もちろん他が何も変わらないなら軽い方が良いが,基本的には丈夫さや機能面とのトレードオフになる.そのため重量については
下位モデル >> 上位モデル > 中位モデル
のようになっていることが多い.
機能性
購入した後,他の人のザックを見て「その機能いいな」みたいな話になったりする.そのような「気になるポイント」は
腰ベルトのポケット (気になる度☆☆☆)
ザック横面ポケット(気になる度☆☆☆)
底面チャック(気になる度☆☆)
肩ベルトのカラビナ装着部(気になる度☆)
表面(背中から遠い側)のポケット(気になる度☆)
などだろうか(主観).
「ザック横面ポケットは背中に近い側の方が下がっていると取り出しやすい」など,こだわり出すとキリがなくなり,該当のザックが存在しなくなるかもしれないが.
価格
中華製のような安いものはピンキリで難しい上,大抵ネット上でしか情報が得られないので,そういうものを買って安物買いの銭失いにならないように.
デザイン
登山用品店でかっこいいと思ったものであっても,街に出れば異彩しか放たない.
登山ザックの使い方
パッキング
パッキングの基本は体の軸に荷物の重心を近づけること.
つまり,荷物の左右バランスを均等にし,水などの密度の大きなものは背中や肩に近い位置に詰める.逆にシュラフなどの嵩張るものは底のほうに詰める.
荷物を詰める時には物をバラバラに入れるのではなく,ある程度袋にまとめ,階層構造を作ってパッキングをする.このようにすると,物の探索が楽になり,テント内でも一々ザックから取り出す必要はなく,朝の撤収時に物をしまう時にも1からパッキングをやり直す必要がなくなる.
ただしこの時,水・行動食や雨具,防寒着等の山行中に取り出す頻度の高いものは取り出しやすいところに入れること.
パッキングをする時には防水も重要である.特にダウンのシュラフなどは浸水すると使い物にならなくなり,縦走では致命的となる.着替えなども濡れた服を着たくはないでしょう?
防水するにあたって便利なものはジップロック(的なもの)である.何でもかんでもジップロックに入れるワンゲラーは多い.
背負い方
普通に背負うだけでしょ?と思うかもしれないが,背負っているものは15kgとか20kgとかなのでそう簡単な話ではない.それを表すかのように,ザックにはたくさんの調節可能な紐がついている.
背負う前
ザック側面の紐をしっかり絞る.こうすることでザックの重心がより背中側に近くなり,ザックの中で物が動きづらくなる.
また,上面や底面などの紐の留め具を止める.ブラブラした状態だと木の枝などに引っかかったりして危ない.
2. 背負った後
肩ベルトや腰ベルト,胸前の紐を調節する.肩ベルトには基本的に左右それぞれ上と下の2箇所調節する部分がある.
胸前の紐はザックの背面が体にフィットするように調整する.また腰ベルトについても腰周りにフィットするように調整する.
肩ベルトの下側の紐は肩ベルトの長さを調節するものである.これは通常のリュックにも存在するものでイメージしやすいだろう.肩と腰,背中に"いい感じ"に荷重がかかるように調節する.
肩ベルトの上部の紐は,引っ張ると肩ベルト頂点部がザック上部側に引き寄せられる.肩ベルト頂点部の曲率を調整していると言えばイメージしやすいだろうか.引っ張りすぎると肩ベルトが肩から浮き,緩めすぎるとザックが背中から離れてしまう.これも肩にフィットする"いい感じ"に調整する.
では,何が"フィット"で何が"いい感じ"なのだろうか.これはパッキングの具合や登山道の登り下りによって変わってしまい,初めから完璧に調整することは難しい.歩きながらも調整しよう.
雨具
雨具はジャケットとパンツに分離しているものを買う.KUWVでは「セパレート式雨具」,略して「セパ」と呼ばれる.
雨具の重要なパラメータは耐水圧と透湿性である.登山で使うのであれば以下のスペックのある雨具が推奨される.
耐水圧20000 mm以上が良い.最低でも10000 mm.
透湿性10000 g/m²・24hrs以上のものが良い.最低でも5000 g/m²・24hrs.
雨具は雨の時だけではなく,風よけや寒さ対策にも使う「全天候型登山服」であるため,意外と着る機会は多い.後悔はしない買い物をしよう.
なおGORE-TEX(ゴアテックスと読む.ゴアテフとは読まない)という最高峰素材の参考値は耐水圧50000 mm以上,透湿性25000〜98000 g/m²・24hrsとのこと(モンベルカタログより).
衣食住の衣
「もう全部ユニクロでええやろ」
登山服
登山服の基本は重ね着である.のぼっている最中や休憩中,山の上と下,宿泊中などでそれぞれ適切な服装が異なるが,いちいち裸になって着替えていてはアホらしいので着脱容易な複数種類の服を持っていくことになる.
アンダーウェア・インナー
登山では夏でも冬でも汗をかくため,速乾性のあるものでないと汗冷えしてしまう.冬とかは特に顕著で,「冬だからいいや」などと思っていると低体温症になる.
基本的には吸湿速乾のもので良い.有名どころで安いものはユニクロのエアリズムだろう.モンベルだとジオラインシリーズになる.それなりの値段はするが性能は良い.無印ジオラインは保温性能も有するので夏山登山ではジオラインクールメッシュを使おう.
逆転の発想で,全く吸水しない素材でできた網目状のインナーも存在する.このインナーの一枚上に吸水性の高い服を着ることによって肌に触れる部分は快適に保たれる.見た目が全身網タイツというなんとも言えないアレだが,冬山登山をする人には人気らしい.
Tシャツ
インナーの一枚外に着るもの.水分がインナーを通してTシャツに吸われることによって肌に触れる部分が快適になるため,吸水速乾性に優れるものが良い.
ユニクロのドライexやモンベルのウィックロンなどになるだろうか.モンベルの「山男T」はやたら人気.
なお,昔はよく着られていたらしいチェック柄シャツだが,イマドキのワンゲラーはあまり着ていない.京大構内だとよく見かける.
ミドルウェア
風避けになるようなウィンドブレーカー的な物を持ってくると良い.夏山とかだとこれをアウターとして用いたりもする.
アウター
防寒着のうち山行中に着るもの.風や雨や傷に強いものが良い.セパをアウター代わりにしたりもする.
本気の冬山装備だとアウターに関して札束の殴り合いになるが,KUWVでは本格的な冬山には行かない.
防寒着
秋や春などでは山行中に着ている服だけでは夜寒かったりするので防寒着を十分持ってくる必要がある.フリースやダウンがある.
フリース
それなりに嵩張るダウン
コンパクトになるが浸水したら終わり
パンツ(ズボン)
モンベル勢が多い.丈の長さが合うものを選ぼう.
ストレッチ性や速乾性,保温性などの違いが色々あり,季節によって使い分けるのが吉.
サポートタイツを使うパターンもあるがワンゲルではあまりいない.なおスパッツという呼称は登山では違うものを指す.
軍手・手袋
滑り止め付きのものが良い.また冬から初春にかけては,凍傷を防ぐため防水の手袋をお勧めする.
ちなみに讃岐弁と北海道弁では手袋は「履く」ものである.なお香川県は国内産手袋のシェア9割を誇るため,きっと「手袋を履く」のが正しい日本語である.ちなみに筆者が持っていたモンベルの手袋はカンボジア製だった.なおカンボジアの首都プノンペンにおける超有名讃岐うどんチェーン店○亀製麺の人口あたり店舗数は香川県より多い.
靴下
登山はじめたての頃は,山歩きに慣れておらず靴も足に馴染んでいないため靴擦れを起こしがちである.
そのため,冬山用くらいの分厚い靴下を用いることをお勧めする.本来は靴慣らしのための練習登山を十分積むべきなのだが,大学登山はシステム上そうのんびりでは成り立たない.KUWVでも5〜6月くらいにいきなり1泊2日の縦走をすることになってしまうので靴下の分厚さによるゴリ押しでなんとかしよう.
スパッツ
スパッツで画像検索すると別物に混ざって所々登山用品っぽいものが出てくるが,それのことである.ゲイターとも呼ばれるが,大抵商品名はスパッツである.
スパッツはパンツの裾と靴の開口部を雨や泥,雪などから守るものである.雪山などではこれを装着しないと靴の中に雪が入り足が死ぬ.
衣食住の食
「食事とは戦いである」
武器
箸やスプーン,フォークなど食品を口へ運ぶ器具を総称して「武器」と呼ぶ(呼ばない).「カトラリー」なる表現もあるが,山行レジュメ上では単に「箸」と書かれることが多い.
折り畳み式のものが便利.
盾
ワンゲルにおける集団登山では食当係がみんなの分ご飯を作ることになっている。そのときに配給品を保持するのがコッヘル、或いはクッカーである。でかい器ほどより多くの食料をいれることができるので食料争奪戦に置いて有利である(まあもちろん冗談で実際は残念ながら平等であるが)。
ワンゲルではコッヘルやシェラカップ,タッパーなどが用いられる。
コッヘル
いろんなキャンプメーカーなどが2000円くらいで出している.1人用のものは半径の小さい鍋のようなもの.4人用くらいの大きいものもあり,もうそれに関しては普通に鍋.
火にかけることができるため,自分でお湯を沸かしたい時や食当が部のコッヘルを所持し忘れたときなどに有用.アルミ製やチタン製がある.チタン製は高い.
シェラカップ
いろんなキャンプメーカーなどが1000円くらいで出している.金属製の器.
火にかけることができる.アルミ製やステンレス製,チタン製がある.チタン製は高い.
メスティン
弁当箱型のコッヘル.最近人気のあるキャンプ用品.
火にかけることができる.基本的にアルミ製.
タッパー
値段が安くスタッキング製にも優れ,本来の器としての機能だけではなく食品の保管の機能も有する.電子レンジや冷凍庫(山にそんなものはない)に対応しているものもあり,機能性も抜群なゆえ,当然タッパー派のワンゲラーは多い.
なお火にかけることはできない.プラスチック製.
紙皿
盾の本質だけを抽出したような器.
あえて利点を挙げるなら,山では食器は洗えないため使い捨てできる紙皿は衛生面で優れる.
食品
どれだけ武器と盾を揃えようとも食品が無ければ戰はできない.
食当の人は食品を忘れないことはもちろん,レタスを発酵させたりすることが無いよう十分気をつける必要がある.
ペミ
「ペミカン」という,食品をラードで固め空気から遮断をした保存食がある.
KUWVではこれを略して「ペミ」と呼んでおり,肉などをペミにすることを「ペミする」と言っている.
本来のペミは,食品を容器の中に入れ,ラードを食品が完全に浸るくらいまで入れて作る.しかしこれでは出来上がる料理が全てギトギトの油まみれになってしまう.
近年はジップロックのような外界から遮断できる保存袋があるので,ラードはその補助というイメージで用いることによってペミをする.
【ペミの仕方】
食品に火を通す.この時,食品の中の水分をしっかり飛ばしておくことが重要.肉を炒めている場合には水分がしっかり飛んだ時音が変わる.
ラードを入れて溶かす.この時入れすぎると後々キッチンと胃の中が大変なことになる.足りなければ後から足せるので様子を見ながら入れよう.
ジップロックの中に食品とラードを入れる.
食品はできるだけ均して入れるとうまくいく.空気が中に残らないようにしっかりと押し出す.キッチンをベタベタにするぐらいの気合いで空気を押し出せばラード少量でもペミできる.冷凍庫で固める.山には保冷しながら持ってくると良い.
予備食
山行計画には「予備日」というものがついているが,その日の食糧のことを予備食という.
普通に調理できる前提で良いため予備食としては本来様々なものが考えられるのだが,使用されない食品を持っていくのも面倒だし無駄になるかもしれないので,保存の効くカロリーメイトなどがよく用いられる.
非常食
予備食とは別物で,こちらは非常時の食糧である.2000kcal以上が目安となる.加熱等の調理なしで摂取できるものである必要があり,基本的にQOLは考えず持っていく.
カロリーメイト5箱とか,氷砂糖とか,コンデンスミルクとかの喉が渇きそうな非常食を持ってくる人が多い.
行動食
その名の通り行動中に食べるものである.いわゆるおやつ.
登山は消費カロリーの激しい運動であるため,シャリバテ(ハンガーノック)を防ぐためにも,チョコレートやグラノーラなどの十分な糖質を含む行動食を持ってくる方が良い.
また,水分摂取の際に電解質(よくミネラルと呼ばれる)も一緒に摂取しないと体内の電解質濃度が小さくなり自発的脱水を引き起こしてしまうので,行動食の中に電解質の補給源を含めることが望ましい.
秘密兵器
テン場等で食べる行動食外のおやつ.カロリー補給の意味もある.
コロナ禍の1人1テンの状況のせいで「上回生は秘密兵器」の文字がレジュメから消えた….
衣食住の住
「ADLをIoTしてQOL向上!」
テント
登山で用いられるテントの多くは「ドーム型」で,テントのポールを本体底面の隅にあるグロメットに挿し,たわませることによって居住空間を形成する.
設営方法による分類
スリーブ式
ポールをテント本体のスリーブに通すことによって設営する.ポールを抜き差しするのに時間がかかる.
吊り下げ式に比べて,本体への荷重のかかり方が均等で,ポールと本体とが外れることもなく,風などへの耐久性が高い,と言われていた.
部の所有する一昔前のモンベルのステラリッジテントがこれである.
吊り下げ式
現在の主流.ポールをグロメットに挿して立ち上げた後から本体をポールに引っ掛けることによって設営する.
現在のモンベルのテントはこれである.また,コロナ禍に対応するためにKUWVで購入したMOBI GARDEN(中華製)も吊り下げ式.
設営の仕方
(スリーブ型)ポールを差し込む.複数人で行うとスムーズだが,ポールを差し込む人と反対側にいる人はポールを引っ張ってはならない.ポールを引っ張るとスリーブ内でポールが抜けてしまい面倒である.基本的にはポールは押し込むのみ,テント本体の方を押し込んだり引っ張ったりする.なお,ポールは伸ばした状態で扱うのは危険なので,周囲に人がいるときや狭いところではポールを伸ばしながらスリーブに差し込む.
ポール先端をグロメットに挿し込み,ポールをたわませ立ち上げる.
(吊り下げ型)テント本体にあるフックやベルクロなどをポールにつける.
フライをつける.この時,フライ側のベルクロをポールにつけ忘れないようにする.
ペグを打つ.グラウンドシートがある場合にはそれも併せて打つ.張り綱のペグは打たないことも多いが,強風が予想される場合には打ったほうがよい.
テントの袋などを地面に散らかしながら設営していると風で飛ぶのでポケットに入れるなど対策をする.
また,これらをテントの中に雑に放り込んでいると撤収の際に誤ってザックの中に仕舞ってしまったりする(経験談)ので,テント内部にあるポケット部分に入れておくと良い.
ペグの打ち方
地面から45度くらいに傾けて打つ.このとき向きに注意する.
ペグに紐を掛けた状態で叩くと,ペグを叩いている石などが紐を傷つけてしまうことがある.そのため,紐はペグを打った後にかける.ペグを打ち始める時には,しっかり紐の長さや力のかかり方を試した上で位置を決める.
シュラフ
寝袋のこと.KUWVでは3シーズンに対応したものとして,多くの人がモンベルの#3を購入している.
対応温度
一番重要なパラメータ.使用目的にあわせたものを買う.
モンベルの場合,基本的には「リミット温度」を見れば良い.「コンフォート温度」以上だと快適に寝られる.「リミット温度」以上だと着衣を工夫することで快適に睡眠できたりできなかったりする.それ以下の温度での使用はモンベル曰く「非常に危険です」.
KUWVの山行では#3(緑色)を購入すれば良い.これは3シーズン対応のバランスの取れたもの.しかし,問題なく使えはするが実際のところは夏は暑く冬は寒い.そのためQOLを上げたいなら#1と#5の2つを購入すれば良いと思われる.
中綿
ダウンか化学繊維.ダウンは軽くてコンパクトで高価で濡れに弱い.
化繊はダウンより倍重くて倍嵩張りおよそ半額で濡れ耐性は高い.
お財布事情にもよるが,嵩張るのが厄介なので65Lくらいのザックだとダウン一択になるかも.
FP(フィルパワー)
中綿がどれくらい膨らむかを表すパラメータ.数字が大きいほどよく膨らむ.よく膨らむダウンのものはコンパクトで軽量なシュラフ.
900FPのものは値段がすごく高い.
テントマット
よく旅人がザックに付けているあのロールケーキみたいなやつ。
テント内で床に敷くことで断熱したり底からの浸水をふせいだりする。
100円ショップでうっすいシート買う人もいれば、3000円ぐらいだしてそれなりの厚さのものを買う人、8000円ぐらいだしてエアーマットを買う人などその人がどれぐらい睡眠の質を求めているかが如実に現れる。
よく「銀マット」と呼ばれ,レジュメにも「銀マット」と書かれることがあるが銀である必要はない.最近はエアータイプ使用者の増加もあり,レジュメにも「テントマット」と書かれることが多くなってきた.
フォームタイプ(ロール型)
価格:1000円~3000円
よく見るやつ1。かさばるが保温性や快適性は十分。ロール型はザック内の外周に沿って筒状にしまうことができ、きれいなパッキングができる。旅人のように外に取り付けるとぼろぼろになるのでやめよう。しばらく使っていると丸まったくせがついてしまい少し面倒。
フォームタイプ(蛇腹型)
価格:1000円~3000円
よく見るやつ2。基本的にはロール型と同様だが、撤収の際にいちいち巻き直したりしなくていいので楽。しかしザック内に入れるときは荷重のバランスを取るのがすこし面倒。また、よく折り目の部分からちぎれたりする。
シートタイプ
価格:100円~1000円
睡眠の質とかどうでもいい、とにかく水に濡れなければいい、という人が好んで使う、100均で売っているようなめっちゃ薄いシート。当然保温性は皆無だが、超コンパクトにしまえる。玄人向け……といっていいのだろうか。
なお一般的に銀マットと言ったらこれを指すらしく、キャンパーがよく使う。
エアータイプ
価格:8000円~
高級品。コンパクトで快適性も保温性も高い。空気を入れなければならないのが難点ではあるが、栓を開くと自動で膨らむやつも多いのでそういうのを使えば特に問題にならない。ただし、傷がついて穴が空いたりするととたんにしぼんでしまうのでテント外で使うのは控えたほうがいい。修理用具(補修パッチ等)は必携。大抵買った時についてくる。
エアータイプにも浮き輪のようなシンプルに空気で支えるものや,中にフォームが入っているハイブリッド型がある.
サイズについて
全身がマットに入るサイズからやたら小さいものまである.やたら小さいものはどうやら足をザックの上に乗せたり枕にしたりすることを想定しているようである.要するに,サイズは体格ではなくどのように寝るか,どのくらいコンパクトな装備を目指すかで選ぶべし.90cmとかは玄人向けな気がするが.
その他登山ギア
「山をなめるな」
コンパス
方位を知るための道具.読図の際に地形図とセットで使う.基本的な使い方は「整置」.
また,プレート付きのコンパスの場合は「直進」を行うことができる他,地形図上で距離を測る目盛がついていたりする.
なお,地形図上での北とコンパスの指す北(磁北)は異なっており,磁北は大体西に7度とかそれくらい傾いている.磁北線を地形図上に書くことは読図にあたって非常に重要となる.
整置
山行中における普通の使い方.見ている方向の景色と地図の向きを合わせる.
やり方は簡単で,コンパスを持ったまま,地形図を回してコンパスの北と磁北線とを合わせる.
直進
なだらかで踏み跡がない場所などでは,逐次現在位置を把握することが困難になることがある(日本では地形的にそのような状況は少ないが).
そのような状況では,地形的に特徴のあり地点が点で把握できるような場所を直線で結ぶようにして進行することがある.その時には常に同じ方角へ進む必要があり,整置では対応できない.そこでプレート付きコンパスの「123システム」を用いる.
地形図上の進みたい方向とプレートコンパスの長辺方向の矢印とを丁寧に合わせる.
コンパスのリングを回転させ,北の方向を地形図上の磁北線に合わせる.
プレートコンパスの矢印が体の前方に来るように構え,体を回転させてコンパスの針の北がプレートの北と一致するようにする.その時の体の前方が進むべき方向となる.その方向の目標物を定め,そこに向かって進む.それを繰り返すことによって一定の方角へ直進することができる.
ヘッドライト(リヒト)
KUWVではヘッドライトのことをリヒトと呼んだりする.ヘッドライトを用いた行動を「リヒト山行」などと呼ぶ.
これは一般的には使われていないようで,ググったら旧京大ワンゲル用語辞典しか関係のある項目がヒットしないくらいには使われていない.
ルーメン
光源自体の性能を表す.そのため,広い範囲を照らすものはルーメンが同じでも暗くなる.100Lmはあったほうが良い.
照射距離
歩行のできる最低限度の明るさで照らすことのできる距離.50mくらいが目安か.
電源
乾電池式や充電式がある.
乾電池式で単三1本とかのものは安かったりするが,そんなものではリヒト山行はできない.使用目的の違うものなので避けましょう.
照射モード
明るい・暗いがあればとりあえずはOK.登山用だと大抵あるが100均レベルではなかったりする.
ちゃんとしたものは赤色灯や点滅灯があり,救助を待つときなどに有用.
非常用品
サバイバルシート
低体温症対策として使う.もっと平時でも使っていいもののような気はするが,一度使うとシワシワになるので躊躇ってしまう.非常時には躊躇ってはならない.
笛
パーティ内で意思疎通を行うためのもの.縦走ではあまり使われない.
現在地特定のための偵察を行う際などに合図として用いられる.
携帯燃料
非常時などに焚き火や軽い調理のために用いるもの,なのだと思う.
軽アイゼン
アイゼンは雪の上を歩くときに靴につけるトゲトゲのこと。ワンゲルでは年に1回アイゼン講習という雪の上を歩く練習をするのでそのときに使ったりとか、3000m級の山では初夏でもまだ雪が残っているのでそういう山を登るときに使ったりする。基本的に6本爪のものを推奨しており、大体¥3,000ぐらい。Amazonで安い4本爪などがたくさん売っているが、変なのを買うと靴に合わなかったりそもそも全く効果を発揮しなかったりするので注意。
その他 ~STEP UP~
「そういうのは『無駄遣い』って言うんだよ」
ハイドレーション
皆さん誰しも歩きながら何も考えずに水飲みたいなー、ってときがあると思う。それを叶えてくれるのがこのハイドレーションシステム。ザクの中のポリタンクからチューブを口元まで伸ばすことであなたの水分補給を支えてくれます。
ザックを降ろさずに水を飲めるのが便利だが、旗から見ているとちょっとま抜けなのが残念。時々ザックの中で爆発する。あとメンテが面倒
防水スタッフバッグ
防水は基本的にビニール袋でいいのだが、物足りなくなったあなたにお勧めうるのがモンベルのアクアペルスタッフバッグ。特に3Lは一日分の着替え一式を入れるのに本当に丁度いいサイズだし、シュラフもダウンなら3L、化繊なら5Lにいい感じに圧縮されて入ってくれる。適度に無駄遣いしたくなったら買うと良い。
シュラフカバー
特にダウンのシュラフに置いて、テント内の結露などでシュラフが濡れると保温性が著しく低下する。それを防ぐためにつけるのがシュラフカバーで、要はザックカバーのシュラフ版。大体¥10,000ぐらいと高め。テント内なのにそんなに濡れるわけ無いじゃんと思っている人はテントの気温差を舐めている。世の中にはとにかく軽量化を目指す人もいるようで、夏場はシュラフカバーだけで眠るやつもいる。自分がいいと思ったなら止めはしない。
ちなみに、シュラフ関連では他にも内側に入れるインナーシーツというものもある。汚れを防げる。
サンダル
テン場や車道歩きが快適になる.以上.
トースター・ホットサンドメーカー
トースターは実際に使われたことがある.
人数の多い山行の時には不向きだが,食当のQOLは上がる.ちゃんと整理したパッキングができるなら,そしてコッヘルを持ってき忘れないのなら,使用してみてもいいのではないだろうか.
ランタン
暗いテント内が快適になる.
スマホのランプの上にスポーツドリンクの入ったペットボトルを置くだけでもランタン代わりになる.
焚き火台
沢メンには焚き火文化があるが,縦走メンには無い.
縦走メンが使うようなテン場では直火ができないことの方が多いので,焚き火文化を持ち込みたいなら焚き火台が必要になる.
ぬいぐるみ
ふぇるでぃなんどを筆頭とした愛玩動物たち.モンベルにもモンタベアが居る.
ザック内の荷物が少ない時に嵩を調節する機能も有する…?