2019年度 個人山行

北ア   新穂高ロープウェイ~ 西穂高岳~奥穂高岳~新穂高温泉

<メンバー>

S木

<コースタイム>

9/6

13:30 新穂高温泉

14:00  西穂高口

14:40  西穂山荘

7/24 

3:15  山荘発

4:10‐4:15  西穂独標

4:35  ピラミッドピーク

5:30‐5:40  西穂高岳

6:30‐6:40  間ノ岳

7:05 天狗ノ頭

8:05‐8:15  ジャンダルム手前のコル

8:40‐9:30   ジャンダルム

10:40‐10:45  奥穂高岳

11:10‐11:20  穂高岳山荘

13:35  白出大滝

14:25  右俣林道

15:40  下山

 S木です。色々な事情で京都大学穂高砂防観測所にしばらく滞在しているので,その間に縦走に行ってきました。なめてかかったら意外と厳しかったです。おそらくKUWVにはまだ記録がないので詳しめに書いておきます。


9/6

 本当は朝発で焼岳経由で西穂山荘まで行きたかったのだが,午前中まで授業があったので新穂高ロープウェー入山になった。途中1回乗換えで合計30分弱で1000mちょっと登ることができる。片道1600(往復なら2900)円+荷物代300円。客はたくさんいた。

  到着が遅いと小屋の人にボコボコにされるという恐怖心から西穂高口から山荘まではかなり飛ばして歩いた。結局全く怒られないどころか後からどんどん他の客が来てなんとなく悲しい気分になった。ちなみにテン場はほとんどいっぱいだった。

  当初は沢上谷に行く予定なのを天気予報が非常に良かったため直前に縦走に変更したのだが,調理は焚き火でするつもりだったのでガスを持ってきておらず,夕食は食パンにせざるを得なかった。先の東北個人山行でも活躍した3個入りハンバーグを食パン2枚で挟んで食べたがQOLのあまりの低さに悲しくなった。電波が通るのでスマホを弄っていたら突然電源が切れ(おそらく気温が低かったため),モバイルバッテリーも気づいたら充電がなくなっていたので目覚ましがかけられなくなったが気にせず寝た。星がきれいだったが酔っぱらいが騒いでいたので全体としては印象は良くない。


9/7

   2時半くらいから周りでガサガサ音がし出したので目覚めた。朝食も夕食と同じパンで肉を挟んだやつ。もう飽きた。翌日は台風が来るかもしれない&翌日に消化試合を残したくないということでこの日のうちに下山予定としたのだが,コースタイムがエアリアで16時間ということだったので3:15には出発した。

  出発から西穂の手前くらいまではリヒト山行になったが,ルートがわかりにくくて何度も道を間違えて尾根に上がってしまった。実際は多くのピークは飛騨側から巻いているようだ。あまりこの区間のリヒト山行はお勧めしないが,コースタイム的に穂高岳山荘ストップでも多少のリヒト山行は発生すると思う(ルートの難易度を考えると4時には出発した方が良い)。むしろここで困難するようであれば西穂より先には進まないほうが良い。西穂山頂はもはやあまり記憶がないが,なかなかきれいなところだった。

  ここから先はエアリアでも点線区間となる。一般の縦走コースの中では国内最難とされているらしい。確かに微妙にクライミング的な要素は強く、慣れていない人に勧められる場所ではない。難しいかというとそんなことはないのだが、縦走に慣れていないので稜線の高度感がそこそこ怖い。多少緊張感があるので腕が実際の難易度以上に疲れる。まあ言うなれば高度感を増したYケン尾根といった感じか。はしごや鎖はあるべきところにある。不要なところにもややある。間ノ岳手前には逆層スラブという文字通りの場所があり,遠目に見た感じ結構難しそうだったが実際は傾斜が緩いので大したことはない。間ノ岳山頂には看板すらなく(少し手前にあるらしい)寂しい感じ。

   間ノ岳から先は鎖場がかなり多くなる。慣れていないので多少手間取った。間ノ岳で単独の人に追いつかれたのだが,向こうもほぼ同じペースで抜こうとしないのでずっと追われているような急かされているような感じがあった。後で聞いたところどこかの山岳会に所属していたりはしないそうだが,このペースで普通に着いてくるのはただ者ではなさそうな感がある。結局この人はジャンダルムまでずっと後ろについていた。天狗岩には看板があるが柱と本体が分離していてどこか哀愁が漂っている。

  天狗岩からコルに降りるところに長めの鎖があり,難しくはないのだが印象に残っている。このあたりで奥穂から縦走してきた人と初めてすれ違った。アップダウンの多さにそろそろ我慢の限界が近づいてきたのもだいたいこのあたりである。地形図があまりにごちゃごちゃしていたのであまりよく見ていなかったのだが,この稜線は岩峰が多く距離の割にアップダウンはかなり激しい。最初はジャンダルムまで一気に行こうかと思っていたが,諦めて手前のコルでレストを取った。手元のメモに手前のコルと書いてあるが,厳密にどこだったかまでは思い出せない(Co3100mあたりだと思う)。

  ジャンダルムの山頂は地形通り大変景色が良い。特筆すべきは笠ヶ岳から伸びる稜線と西鎌尾根がぶつかる北側で,尾根がきれいに二等辺三角形をなしている所がとりわけ良い。あとは巨大な奥穂が間近で見えるのもインパクトがある。もっと静かならなお良かったのだが,山頂は奥穂から次々に人が来て結構騒がしかった。ピストンの人も多いようだ。セルフタイマーで集合写真(ひとり)を取ろうとして失敗したが,虚しかったので撮りなおしするのはやめた。なぜかザックに高山の朝市で買ったシナノレッドが入っていたので食べる。そんなこんなしているうちに50分ほど経った。

  もう終わった気分だったのだが,実はここから奥穂までもう一回大きなアップダウンがある。もうええわ。この区間はすれ違いが多く,かなり時間を食ってしまった。とりわけ馬の背のところで向こうから来た二人組が苦戦しており10分くらい待たされた(最終的に見ていられなくなったので助けに行った)。やはりそれほど難しくないとは言っても最低限必要なクライミング能力というものがある。奥穂の山頂は人で溢れかえっていたので写真だけ撮ってスルー。ここからもっとひどい鎖場の渋滞に巻き込まれながら奥穂山荘へ。

西穂のあたりから。ヤマケイの表紙に使えそう。

確かに西穂だけでも来る価値はある

 間ノ岳から先は鎖場がかなり多くなる。慣れていないので多少手間取った。間ノ岳で単独の人に追いつかれたのだが,向こうもほぼ同じペースで抜こうとしないのでずっと追われているような急かされているような感じがあった。後で聞いたところどこかの山岳会に所属していたりはしないそうだが,このペースで普通に着いてくるのはただ者ではなさそうな感がある。結局この人はジャンダルムまでずっと後ろについていた。天狗岩には看板があるが柱と本体が分離していてどこか哀愁が漂っている。

  天狗岩からコルに降りるところに長めの鎖があり,難しくはないのだが印象に残っている。このあたりで奥穂から縦走してきた人と初めてすれ違った。アップダウンの多さにそろそろ我慢の限界が近づいてきたのもだいたいこのあたりである。地形図があまりにごちゃごちゃしていたのであまりよく見ていなかったのだが,この稜線は岩峰が多く距離の割にアップダウンはかなり激しい。最初はジャンダルムまで一気に行こうかと思っていたが,諦めて手前のコルでレストを取った。手元のメモに手前のコルと書いてあるが,厳密にどこだったかまでは思い出せない(Co3100mあたりだと思う)。そこからもう少し歩いてジャンダルムへ。

逆層スラブ

天狗ノ頭の抜け落ちた看板

  山頂は地形通り大変景色が良い。特筆すべきは笠ヶ岳から伸びる稜線と西鎌尾根がぶつかる北側で,尾根がきれいに二等辺三角形をなしている所がとりわけ良い。あとは巨大な奥穂が間近で見えるのもインパクトがある。もっと静かならなお良かったのだが,山頂は奥穂から次々に人が来て結構騒がしかった。ピストンの人も多いようだ。セルフタイマーで集合写真(ひとり)を取ろうとして失敗したが,虚しかったので撮りなおしするのはやめた。なぜかザックに高山の朝市で買ったシナノレッドが入っていたので食べる。そんなこんなしているうちに50分ほど経った。

  ジャンダルムから奥穂へは一旦戻って基部から巻くことになる。もう終わった気分だったのだが,実はここから奥穂までもう一回大きなアップダウンがある。もうええわ。この区間はすれ違いが多く,かなり時間を食ってしまった。とりわけ馬の背のところで向こうから来た二人組が苦戦しており10分くらい待たされた(最終的に見ていられなくなったので助けに行った)。やはりそれほど難しくないとは言っても最低限必要なクライミング能力というものがある。奥穂の山頂は人で溢れかえっていたので写真だけ撮ってスルー。ここからもっとひどい鎖場の渋滞に巻き込まれながら奥穂山荘へ。

例の天使と奥穂

集合写真失敗

パノラマで撮影されたジャンダルム山頂からの景色(サイズの都合上左右見切れている,完全版はアルバムを見て)

  穂高岳山荘からは新穂高温泉へと白出沢を下ったが,めちゃくちゃ暑い上に単調なガレで走り下りる気力もなく力尽きること数度,ようやく樹林帯に逃げ込むという有様だった。ちなみにここのガレ場はルートを外すと浮き石が多い上に,ルートもやや分かりにくいのであまり走らないほうが良い。そのためこれ以降のコースタイムは前と比べると異常に遅くなっている。これはおそらく水分が足りていなかったのだと思われる。水は2.5L持ってきており,普通に水を飲んでも穂高岳山荘の時点で1L残っていたのでまあ行けるやろと思っていたのだが,見通しが甘かったようだ。朝夕の食事がパンで水分の摂取量が普段より少ないことを考慮すると,確かに水面下で影響は出てもおかしくなかったのかもしれない。樹林帯では靴下も脱いで寝転がって休むなど完全に疲弊していたが,沢を渡るところの水場で多少回復した。以降はイベントも何もない場所を心を無にして歩くこと数時間でようやく新穂高温泉に下山。この区間はもう二度と歩きたくない。

 その後温泉には入らずにバスでそのまま観測所に帰り,その日は夕食の後速攻で寝た。結局翌日も台風の影響は特に無かった。


<総括>

  大変疲れました。天気に問題がないなら2泊で行くことを勧めます。また初日の時間が充分にあるなら焼岳も付けるとより充実すると思います。なんならもう1,2泊足して槍,大キレット,ジャンダルムの全岳人憧れシリーズ詰め合わせセットで悦に浸るのも良いかと思います。

  難易度ですが,やはり最低限のクライミング能力は必要です。とは言えそれは決して高いレベルではなくて,荷物を背負ってYケン尾根およびYケンを上り下りできれば充分で,縦走のPWでも出せるレベル(アルプスの経験がない0期はやめておいたほうが無難)。不安なら事前に大キレットに行っておくと判断材料兼練習になるかと思います(S木は行ったことがないけれど)。念の為ハーネスと補助ロープを持っていきましたが使い所は特にない感じ。パーティーで行くならスリングが1本あればメンバーによっては重宝しそうです(軽量化のほうが大事)。ルートは西穂→奥穂の方が逆層スラブや馬の背が登りになるのでおそらく簡単。

  展望も素晴らしくて非常に良いところでした。もう二度と行きたいとは思いませんが。