縦走山域紹介

屋久島

 関西以外で当部が慣れ親しんでいる山域と言えば屋久島です。雪山に登らない我々にとって、後期の合宿先はほとんどの場合屋久島になります。過去には大崩山塊、最近ではくじゅう連山という選択肢が出てきましたが、基本的には屋久島一択です。前期の合宿先が北アルプスをはじめとする中部山岳の3000m級の山々や大雪山系・朝日連峰・飯豊山系とバラけるのとは対照的です。さらに、ルートも白谷雲水峡から入山し、淀川登山口方面に抜けるという計画が多いです。それでも毎回微妙にコンディションが違うので楽しい山行になります。

屋久島の山行記録(縦走・2016~2019)

主な山・見どころ

宮之浦岳(1936m)

 屋久島最高峰で、九州最高峰でもある。ちなみに九州本土の最高峰はくじゅう連山の中岳である。日本百名山に選ばれている。屋久島は亜熱帯の島であるが、この山はとても高いので山頂付近は亜寒帯に相当する植生となっている。気温だけで言えば札幌を想像するとよい。この標高差による気候の違いやそもそもの立地によって雨がとても多い。「1ヶ月に35日雨が降る」と言われる屋久島の中でも特に多く、年間降水量は10000mmを越えるとされる。ちなみに日本の平均降水量は大体1600mmである。恐るべし、宮之浦岳。このことからもわかるように、左の写真のように晴れた姿を見れることは非常に稀である。partyの徳が試される場所であると言えよう。

永田岳(1886m)

 屋久島で宮之浦岳に次いで高い山。屋久島のメインの山並みから1つ外れた位置にあるので計画時はpistonで組み込まれることが多い。屋久島の雨の多さと相まって、当部では現地でpistonカットとなることも多く登られる回数は比較的少ない。屋久島の北西部に位置する永田集落から永田歩道(屋久島では島の中心部「奥山」に通じる登山道を歩道という)が延びており、健脚向きではあるが静かな山旅が楽しめるという噂である。

本富岳(もっちょむだけ)(940m)

 名前が特徴的な秀峰。頂上に大岩があり、名前だけでなく見た目も特徴的である。当部の写真データの中からその写真を発見できなかったのが残念だ。合宿終わりに個人山行などで登られることのある山である。日帰りで登れるが、行動時間が長くなるため、ある意味宮之浦岳などよりも登るのに疲れる山かもしれない。

白谷雲水峡

 屋久島合宿の登山口になることの多い場所。宮之浦集落からバスが通じている。かの有名な宮崎駿監督が映画「もののけ姫」のイメージを作るのに大きな影響を与えた場所として知られ、観光客も多い。散策路には楠川歩道とその他の屋久杉観察コースがあり、特に奉行杉コース沿いには二代大杉など大きな屋久杉が点在する。しかし、これを観光していると翌日の宮之浦岳登山に差し支えてしまうので、登山と観光の両方を楽しみたい人は白谷雲水峡を下山口にすることをおススメする。

大王杉・縄文杉等の屋久杉

 屋久杉は屋久島に生育するスギの内、樹齢1000年を超えるものを指す。雨や台風の多い屋久島で長い年月をかけて育ち、さらに島民から材木として伐採されることを免れた屋久杉は不思議な形をしていることが多い。また、倒れたスギの木の上に新たなスギの木が芽を出して成長するケースが見られたり、大きなスギの上に別の種類の動植物が生育して1つの屋久杉が1つの生態系を成立させていることがあったりする。有名な屋久杉としては、縄文杉を筆頭に、大王杉、弥生杉、二代大杉、奉行杉、紀元杉、夫婦杉、ウィルソン株などがある。これらは弥生杉を除くと縦走コース上から比較的簡単に見られる。