縦走山域紹介

南アルプス

 北アルプス同様前期の予備合宿の完成編や合宿が行われることの多い山域です。ここでは広く身延山地まで含めて紹介します。当部では昔は良く入っていた記録が残っていますが、最近はそうでもないかもしれません。1つ1つの山が大きく、中南部に行こうとすると長い合宿になる傾向があります。また、南部から深南部にかけては遡行対象となる沢が多いことも特徴です。

南アルプスの山行記録(縦走・2016~2019)

主な山・見どころ

<甲斐駒山脈>

鋸岳(2685m)

 甲斐駒ヶ岳の西に聳える岩峰。日本二百名山と山梨百名山に選ばれているが、かなり登頂難易度が高い。アプローチしにくいとかではなく、純粋に登るのが難しいのである。ある程度岩登りの素養が必要となる。そのうち行ってみたいなあ。

甲斐駒ヶ岳(2967m)

 南アルプスの有名どころでは最北端の山。花崗岩からなるため白く見える。左の写真ではその白さが目立っていないが、手前の岩と比べると白いことが分かっていただけるかもしれない。北沢峠からお手軽ハイキングで登頂するも良し、黒戸尾根でガッツリ行くも良し、仙水峠経由で登って宇多田ヒカルの真似をするも良しの名峰である。間違っても初心者だけで鋸岳の方に踏み出さないこと。

アサヨ峰(2799.4m)

 日本三百名山に選ばれているが存在感のない山。名前が特徴的。実際行ってみるととても良い山だった。山梨百名山にも選ばれていて、こっちの方が似合っている感じがした。アサヨ峰と甲斐駒ヶ岳の間にある栗沢山は宇多田ヒカルがCM撮影をした山として有名。是非縦走してみては?

鳳凰三山(観音岳、2840.7m)

 鳳凰山として日本百名山に選ばれている。地蔵岳、観音岳、薬師岳の総称。地蔵岳にはオベリスクという特徴的な岩がある。左の写真の右上でガスに隠れそうになっている尖塔である。これのおかげでどこから見ても鳳凰三山の場所はわかりやすい。甲斐駒ヶ岳と同じく花崗岩の山で白い。高山植物が豊富で、場所によっては登山道の真ん中でも生育していることがあるので踏まないように注意する必要がある。

<白峰山脈>

北岳(3193m)

 南アルプス最高峰にして日本第2位の高峰。南に位置する間ノ岳、農鳥岳とあわせて白峰三山(しらねさんざん)と呼ばれる。白峰三山は2泊3日で縦走できる。南下にしろ北上にしろ、この北岳と中腹の白根御池小屋や広河原の標高差が大きいことは1つポイントになってくる。クラシックルートは池山吊尾根。こちらは静かな山旅が楽しめるのだとか。

 北岳は高山植物が多いことでも有名で、それも名前に「キタダケ」と付くものが多い。また、南アルプスでは個体数が少なくなったライチョウの生息域でもある。貴重な自然を長く楽しみたいものだ。

間ノ岳(3189.5m)

 北岳の陰に隠れてちょっと地味な印象があるが、実は日本百名山にも選ばれていて、標高も北アルプスの奥穂高岳とほぼ同じという山。「間ノ岳に登る」という人は少ないかもしれないが、単なる通過点にしてしまうには惜しい山である。かく言う筆者はまだ登ったことがないので今度登りに行かなくてはならないですね。

農鳥岳(3025.9m)

 西農鳥岳と農鳥岳の二峰からなり、西農鳥岳の方が高いのになぜか農鳥岳の方が本峰とされることが多い。日本二百名山の1つ。左の写真では夜叉神峠の看板の左上に写っている2つの高いピークである。隣の間ノ岳が大きく見える。間ノ岳の紹介に使った写真は西農鳥岳から撮影したものだそうだ。

広河内岳(2895m)

 白峰三山の南にあるピーク。結構展望が良いとの噂。広河内岳より南の山々を白峰南嶺という。

笊ヶ岳(2629.4m)

 白峰南嶺の中では有名な山だと思う。残雪期に日帰り10時間とかが一番快適に登れるらしい。関東に住んでいないと難しそう。双耳峰が特徴的な二百名山です。

青薙山(2406.3m)

 山梨百名山の1峰。畑薙からのpistonが一般的な登山ルートということになるが、渋い山なのでよくわからない周回ルートで登った記録が良く出てくる。山頂近くの青薙崩は写真を見るだけでも危険そうなので通行はしたくないが、山腹の赤崩とあわせて見に行きたいところである。左の写真ではどれが青薙山かよくわからないが、おそらく真ん中やや左のなだらかなピークだと思われる。

<赤石山脈>

仙丈ヶ岳(3032.9m)

 北沢峠を挟んで甲斐駒ヶ岳と対峙する、南アルプスの女王。左の写真は北岳の北側から見たもので東斜面が写っているが、北の甲斐駒ヶ岳の方から見る姿もおススメ。カールといい、高山植物といい、名山感あふれる山である。南アルプスの中では初心者でも入りやすい山であり、南アルプスデビューには良く使われる。

塩見岳(西峰、3047.3m)

 南アルプス中部の名山。鳥倉林道終点から入れば比較的アプローチしやすいが、縦走で行くとなると急に難易度が上がってしまう。左の写真では右側の少し飛び出た兜みたいな山だと思われる。最近部員による登頂がないのでそろそろ行きたいところ。

荒川岳(悪沢岳、3141m)

 荒川三山とも言う。一番東のピークである悪沢岳が最も高く、日本の標高第6位を誇る。ちょっと微妙な順位。

 アプローチとして一般的なのは静岡県側から。これが意外とネックだと思う人には是非鳥倉登山口からの縦走をおススメする。

赤石岳(3120.5m)

 南アルプスの盟主的存在。日本で7番目に高い山。

聖岳(3013m)

 南アルプス南部の名峰。日本百名山に選ばれている。写真では右側の白い山。当部では長い間行っていない。いつか行ってみたいなあ。

光岳(2591.5m)

 一般的な南アルプス最南端の山。光岳より南は深南部と呼ばれるディープな世界が広がっている。山名の読み方は「てかりだけ」である。「ひかる」ではない。ハイマツ帯や高山帯などの最南端の地であり、その自然環境は非常に貴重である。日帰りで行くのは危ないので止めましょう。

<深南部>

池口岳(北峰、2392m)

 光岳よりもさらに南に位置する山。恐ろしいことに日本二百名山の1つ。最近登山道が整備されたのか、山と高原地図にも登山道が載るようになった。光岳から縦走することもできるが、おそらくそれなりに気合のいる道のりになるだろう。鳥倉登山口から縦走してくると、計算上は9泊10日くらいで歩き通せると思います。

大無間山(2329.6m)

 池口岳と同じく、こちらも光岳よりも南に位置する山。途中の尾根は藪に覆われているとのこと。大無間山周辺では藪は大したことなく、むしろ山体が崩壊していることに注意が必要である。大井川沿いの田代から登る場合、「鋸歯」と呼ばれるナイフリッジを通過せざるを得ないが、最近崩壊が進みすぎて冗談じゃなく危なくなってきている感じがする。この「一般」ルートよりは登れる尾根を見定めて登る方が賢いと思われる。沢メンも詰め上がりで鋸歯に出ないように注意が必要だ。

黒法師岳(2068.1m)

 南国・静岡が誇る2000m級の山。2017年度後期のNF期間に身延山地で予備合宿完成編を行うことが可能であったことから、天気の移り変わり次第では、春休みに2泊3日の合宿を組めるのではないかとひそかに思っている。後期の合宿を南アルプスで行えるとカッコイイのでいつか確かめなければ。

<身延山地>

七面山(1983.1m)

 山頂直下に身延山久遠寺に属する敬慎院というお寺がある。神聖な雰囲気といい、大崩れといい、とても良い山である。特に敬慎院山門から見る富士山はオススメ。お金がある人は是非敬慎院で1泊してみては。

大谷崩

 静岡の安倍川源流に存在する崩壊地。日本三大崩れの1つ。ちなみに残りの二つは立山の鳶山崩れ(立山カルデラ)と長野県の北西部の稗田山崩れ。この大谷崩は崩壊土砂量が1.2億㎥とされる。元々あった崩壊地が江戸時代の宝永地震の際に大きく崩れたという。現在も崩壊は続いていて、歩くと人為的な崩壊も発生する。ヘルメットを持っていくのが良い。崩壊直下から砂防施設・治山施設が大量にある。

 山行ついでに訪れるなら、我々のように山梨県の七面山からの縦走か、西側に位置する山伏方面からの縦走になる。入下山に大谷嶺登山口を組み込んで、迫力のある崩壊地を歩くのは楽しい。登山口と国道が少々離れているので車があると便利だろう。

山伏(2013.2m)

 日本三百名山の1つで、「やんぶし」と読む。特に何があるわけでもないと思うが行きたかったなあ……。