見納め熊本城天守閣

昨年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本城の天守閣と飯田丸五階櫓の復旧工事が本格化するのを前に4月5日,城内の加藤神社で安全祈願祭が行われた.天守閣は今月中旬から工事用の足場が設けられ,5月の連休後から工事用シートで覆われる.大天守の復旧工事は,1960(昭和35)年天守閣再建の施工を担当した大林組が行い,2019年の工事完了を目指すという.今回の天守閣の復旧工事では,耐震性の強化,身体障害者や高齢者のためのバリアフリー化,エレベーターの設置などが計画されている.

一方,隅角の「一本石垣」で倒壊を免れ,現在は倒壊防止のための緊急工事により鉄骨のアームで櫓を下から支えられ修理を待っている飯田丸五階櫓については,崩落した石垣の復旧工事が本格化する.注)飯田丸五階櫓は,西南戦争前に陸軍により破却されたが,2005 年(平成 17 年)に木造復元によって再建.

4月6日,KKR ホテルに行ったついでに修復工事着工前の大小天守の姿を写真に収めておいた.あいにくの菜種梅雨のため,天守閣は霞がかって,遅咲きの桜も映えない状態であった.天守閣を次に見ることができるのは 2019 年 3 月,小天守は21 年 3 月になる.熊本市は,同市で 2019 年 9 月に開催されるラグビーワールドカップ,同年12月に開催される世界女子ハンドボール選手権を控え,天守閣の復旧を優先させた(完成予想図).なお,熊本城全体の完全修復には 20 年の歳月が必要とのことである.

ズームで見ると遠目では分からない損傷が見えてくる.

大天守の鯱鉾や避雷針が地震の揺れで振り落とされる程の力が加わったことが分かる.

建物だけではなく,基礎となる石垣の損傷が認められる.工事業者の姿が見える.

KKRの庭からの眺め.左上に大小天守,右上は加藤神社の神殿裏側,櫨方三階櫓跡

上の写真は次図(Google 航空写真)の右上端(KKRホテル)から左下端に向かって対角線にそって眺めた風景である.

KKRホテル前庭

宇土櫓と大小天守(キマロク提供の画像)

菜種梅雨に濡れる熊本城(4月8日,RKK中継画像)

掲載写真について 曇天日撮影ため,霧,もや等のかすみの除去を目的とした色調補正を行っています.