■設立趣旨
「京都教育大学アートフォーラム」は、旧京都学芸大学を含め美術系の修了生・卒業生並びに在学生の活動の場として、展覧会はじめその他の芸術文化や教育に関わる事業を計画的に行い、発信していくアクティブなコミュニティー(会)です。
京都教育大学は、2016年(平成28年)に創立140周年を迎えました。戦後、1952年(昭和27年)、文部省政令指定、京都学芸大学に当時の美術科を母体とし、他の教育系大学の美術コースに先駆け、全国で初の特別教科教員養成課程・特集美術科が設立されました。設立時は、西の国立美術大学を想定し、講義内容はもちろんのこと、教授陣に日本を代表する日本画/西山英雄、洋画/伊谷賢蔵、彫塑/松田尚之、構成/重成 基、工芸/手塚又四郎などを擁し、他の美術大学にも類を見ないそうそうたるメンバーによる学科編成でした。そして卒業生は、高度成長社会の発展途上にあって文化、教育、経済の発展の一翼を担い、今もなお貢献しています。
1966年(昭和41年)の京都教育大学教育学部への名称変更後、ドイツのデザイン運動:バウハウスの予備課程(1919年)がモデルの共通基礎科目を導入したカリキュラム改革を1971年(昭和46年)に行い、特集美術科と美術科のカリキュラム上の区別性を解消。以後、京都教育大学美術科(美術科・特修美術科)は、高い専門性と教員養成機能を両立させ、総合的に美術を学ぶ学科として時代の要請に応えてきました。
1997年(平成9年)特修美術科は総合科学課程[造形表現/情報造形]に、その後さらに教員養成に特化した改組を重ね[総合科学課程は廃止、教員養成課程美術領域へ統合 2006年(平成18年)〜現在]美術学科としての姿は大きく変わりました。しかし、長い歴史の中で培われた専門性を積極的に追求する姿勢は伝統として受け継がれ、芸術表現のみならず、美術教育が未来を創造する子ども達の発達に資するために、今も様々な視点から教育や研究の推進を行っています。
京都は、平安建都以来1200年を越える豊かな歴史と文化に支えられた世界に誇る文化遺産都市です。京都教育大学で学んだ様々な世代の美術、デザイン、工芸のクリエイターや美術教育に携わってきた人たちが、この「京都教育大学アートフォーラム」を通じて、互いに交流、研究、研鑽を重ね、さらなる美術文化や教育の発展、普及、啓発を図るため、魅力ある京都から様々な発信をして行きたいと思います。