文山楓月
「ひとり」という音に対し「独り」という漢字をあてたのは誰か
この小さなワンルームで呼吸するものは僕とサボテンの鉢植えだけ
このまま老いれば、ひとは僕を独り身と憐れむだろうか
昨日はサボテンと晩酌し、飲みすぎてグラスを落とした
散らばってしまったグラスだったものを僕は自分の手で拾い上げた
薄汚れた軍手の中に光る硝子片はダイアモンドによく似ている
どうか僕を憐れまず、明日もひとりでいさせてください
愛なんてどうせ透き通った絶望なのだから
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