Tomomi's Testimonial
奥津 朋巳
奥津 朋巳
学士3年に上がる直前の春休み中。一年早期卒業することを決め、研究室探しをしている最中に、時松研究室について初めて知ることになりました。時松先生は学士課程の講義を担当されていなかったがゆえに、どんな先生で、どんな雰囲気の研究室なのか、全く想像がつかず、メールを出すだけでもとても緊張しました。しかし、いざメールでのやり取りをさせていただくと、親身になって研究室探しの相談にのってくださりました。
こうして時松先生とのやり取りを続けるなかで、「先生自身の研究室に引き込むのではなく、一人一人の学生にとってのベストな選択を"一緒に考える"」ことをモットーされている時松先生のスタンスを目の当たりにし、深い感銘を受けました。そして、時松研究室以外の他の5つの研究室にも実際に訪問させていただき、本当に時松研究室で後悔しないか、じっくりと時間をかけて悩んで考え抜いた末に、時松研究室に所属希望を出すことに決めました。
もちろん、私の興味のある研究テーマに近いことや、様々なバックグラウンドを持つ留学生達と一緒に勉強できる環境があることも時松研究室を選んだ理由に含まれますが、それ以上に大きかった理由は、「時松先生のもとで頑張っていきたい」と強く感じたことにあります。現に、時松先生は研究室探しの際だけでなく、卒論のテーマを決める際にも、留学の応募をする際にも、私にとってのベストな選択を探るべく、"一緒になって"色々な策を模索し、あらゆる提案を投げかけて下さりました。
時松先生は毎週生徒一人当たり約一時間半、一人一人の生徒に対して個別ミーティングの時間を取ってくださります。分からないことを聞いたり、相談に乗っていただいたりすることに加えて、次の面談までに自分で進めておくべきことの方針等を一緒になって丁寧に確認してくださりました。これは、心配症の私にとって大変心強いものでした。
また、特に議題がない時でも、希望すれば個別ミーティングの時間を設けてくださります。このように、生徒との対話から生徒の個性や性格を見出し、信頼関係を築いていこうと常に思ってくださる時松先生には、感謝の気持ちでいっぱいです。
そのような時松先生からの常日頃からのサポートのお陰もあって、私は無事に一年の早期卒業を遂行することができたと思っています。さらに、「ヴルカヌス・イン・ヨーロッパプログラム」にも合格し、念願のドイツ留学の機会も手にすることもできました。なお、この春からは修士に進学し、引き続き時松研究室に在籍する予定です。
今でも、時松研究室を選んだ当時の私の選択に後悔はありません。むしろ、時松研究室を選んで本当によかったと心から思うばかりです。これからも時松研究室にて、大学院での学びをより深いものにしていきたい所存です。
Tokimatsu sensei's response(教員からのコメント)
ファーストコンタクトメールは、1年前2021年3月24日。学部2年生?早期卒業?6月には院試出願で希望研究室を決めるために研究室訪問?事前送付メモには英検1級、独検3級?とんでもなく出来る学生さん、道を誤って来る場所、間違ったんじゃない? 事前メモには、途上国が抱える課題を日頃から出身国留学生と話せる研究室環境、優れた環境技術の普及を通じた国際開発、異分野間の相互理解などなど。この内容だと、私より別の適任の先生が思い当たる。勝手に男性だと思い込み、オンラインで女性の声を聴き慌てる。そのオンラインの2,3日後には、私の方から図々しく、系で作成する研究室紹介ウェブサイトと授業「融合理工学基礎(TSE. C201)」につき、何を記して・伝えると良いか、学生さん目線で教えて、とお願い。的確なアドバイスを寄せてくれた、その内容とメール文面、伝え方に、社会人と交信しているかのような錯覚に陥る。メール交信を重ねるにつれて、テンポ良く返信を返してくれ、いつも丁寧に謝意を伝える礼儀良さにも好感◎。こんな学生さんが我々をお選び頂き、メンバーになってくれたら。一方の彼女は、研究室選びでストレスを溜め体調を崩すほど、と。出願直前の5月末~6月頭に、我々のところを第一志望にして出願したい、と。告られた気分と、私で本当に良いの??の入り混じり。
ところで、どうして彼女は上述の事前メモの内容に興味を持って融合系に来られたのだろう?これを私が理解しないと、彼女が研究室見学通じて潜在的に探している「今後得たいもの」は、恐らく見つからないのでは、と。この疑問に対して、思い当たる節を閃くまでには1ヶ月、私の理解が深まり腑に落ちるまでは、相当時間を要した。そして、これこそが、ご本人が自問自答し続けた融合系での学びとは?という難題の、コインの表裏。この難題に対してご自身で見出した解答が、教養卒論と特定課題研究の双子の報告書。この2つが本格化した4Qの頃から、何かにつけて「教養卒論を書けずに必修の単位を落とす」「特定課題研究が不合格になる」と不安を口にし続けていた。それは、この難題に対する自分なりの解答を見いだすのに苦悩していたことの現れだったはず。それに朧気ながら感じながらも、彼女のことをまだ理解不十分で、もっと寄り添った言葉をかけてあげるべきだった、と大いに反省。今後の彼女とのコミュニケーションにフィードバックすることが私の課題。
7月1日から正式に研究室メンバー。それから毎週90分オンラインでお話し。お喋り好き、と彼女。ディズニーや美術(造形・絵画)、英検1級の勉強兼ねた映画等々、興奮気味に話してくれる。美術と語学は単に好きではなく、DNAレベルと理解。造形や絵画では、1か所修正すると配色バランスのため、徹夜して全てやり直し。「完全無欠を目指す性格」が、成績トップの学業、美術作品、マインドマップ作製、提出物を5回は確認、「開封通知返信要求」メールにも現れていると次第に理解。A日程で無事合格。特定課題研究(半年先なのに)と海外派遣の調べものを一緒に見て考えるだけ9月に。複数見つけた派遣プログラムからブルカヌスを進め、3Qが終わる頃に難なく採択。英検1級、1年短縮修了の一流大学の超優秀リケジョを企業が受け取らないわけがない。1つ目標達成。4Qになって卒業に必修の2つに(教養卒論、特定課題)。
展覧会で知ったワリシーチェアを生み出したバウハウスを題材に、芸術・技術・社会の橋渡しについて考察したい、と秋頃には決めていた。バウハウスに関する本も膨大に読んでいて、知らぬ私に色々とレクしてくれる。文章読解にも強いことを知る。学術論文にもあるか調べて教えて、と。200本程の論文も探して全て読もうとするから、タイトルとアブストラクトだけ眺めて、と。各論ばかりで全体像を把握可能なものがないことに気づく。定性的なマインドマップと、それを補強する程度に定量分析で、貴女なりの全体像を描いてみては?と。このように方向性は少しずつ固まった。
「教養卒論のように何月何日は何をやる、このレベルの提出物を提出する、というものは、特定課題研究には無いのですか?」と。教養卒論なるものは、プログラム化されていることを初めて知り、学部生教育は迷子にならぬよう相当な労力を割いていることに驚愕。研究とは本質的に手探り探索的であり、プログラム化されて出来る研究は本質的に相反する、と。満点目指して「出される」課題をこなし続けた習性と、この「完全無欠を目指す」性格から、特定課題研究は最後まで不安を抱え続けることに。必修のこの2つで「発狂しそう」「不合格の夢で目が覚めた」。何とまぁ可哀そうな。年休は2つを忘れて、アタマの中を趣味の映画やディズニー漬けにしてね、と。
年明けてからは、ご自身の頭の中での咀嚼と整理が深まったからか、落ち着いたペースに。報告書には心を打つ名文を記している。「バウハウスをはじめとした人文的分野が社会に新たな価値観を拡げる上で大いに貢献していることに気づかされた。」「技術と社会の橋渡しの役割を担う人材の必要性を感じていた私は、現代社会における科学的側面と人文的側面の両面からのアプローチの重要性を益々見出すようになっていた。」「特に芸術分野では、1+1=2のような明確な答えが存在しないものも多数存在する。」彼女の頭の中は気宇壮大で指導教員の想像力を超え、力量不足を常に痛感。事前メモでの問題意識から随分引き離してしまった、とやや懸念。このような高い問題意識を更に深め・拡げ、次の探索を行い掴もうとする、唯一無二の彼女に乞うご期待。