それは、まるで砂漠に落ちた砂金を掬うような作業に思えて仕方がなかった。
姿を消した尊き御方。躍起になって捜索する同胞たちから聞こえる声は芳しくない。
自身も何か調べられぬかと、宝具を手にするも、どうしてよいかわからず途方に暮れる。
「何か、鍵となる言葉があるはずです」
全ての知識を蓄えた石板。光と共にあふれ出す文字は踊り、これでもかと知識を押し付ける。
それでも知りたいことは其れではなくて、困惑ばかりが積み重なった。
石板から知識を引き出すためには、きっかけとなる言葉が必要だというのは、早い段階で気づいたが、肝心のその言葉が分からない。
宝具を使いこなせない自分の未熟さに、ますます自信を無くして肩を落とす。
「私は何もできない……」
無力さに囚われながら、西の空に沈む夕日を眺める。
空の色を変えながら、ゆっくりと落ちていく太陽は、その一筋の光さえも西の地の向こうに消し去った。
まるで水面に浮かぶ月を掴めと言われているかのような話。
行方をくらませた尊き御方。四方八方に散っていった同胞たちは、未だ手がかりを得ることもなく。
自身に何ができるかと問われれば、眠たげに欠伸を一つ。
「隠れたのか、隠されたのかで探し方は変わるでしょう?」
全てを知り尽くした石板。そのツルリとした表面をはじいて、自分勝手に踊りだす文字群を操りだす。
光の中、軽快に動く指に合わせて流れる文字。
やがて止まった指が、石板に付いた突起を押せば、輝いていた石板はシュンと光を消した。
光の洪水が収まれば、月の優しい光が辺りを包み、墨絵のような世界を描いていた。
ポスンと寝台に横たわると、思わずふわぁっと気の抜けるような声を漏らして欠伸をする。
「見つからないときは、どんなに探したって無駄なのよぉ」
トロンと眠たげな表情を浮かべ呟くと、徐々に瞼が下りていく。
そのまま夢の世界へ誘われれば、抵抗することなく素直に誘われ、横たわったからだから力が抜けていった。