向後雄二先生最終講義のご案内

*重要* 最終講義は無事終了いたしました.ありがとうございました.

趣意書

残暑の候、皆様にはコロナ禍にも一層ご活躍のこととお喜び申し上げます。

さて、東京農工大学大学院教授、向後雄二先生におかれましては、2020年3月31日を持ちまして定年退職されました。

先生は、1978年に東京農工大学農学部をご卒業後、農林省農業土木試験場に研究官として採用され、その後主任研究官等を経て、1994年から国際農林水産業研究センターの主任研究官となり、その間にアジア工科大学大学院(タイ国・バンコク)の講師を2年間務められました。その後1999年から2007年まで農業工学研究所(のちの農村工学研究所)の室長としてダムを中心とした農業水利施設の整備に係る研究開発・指導助言に取り組まれました。2007年に東京農工大学大学院に着任され、13年間にわたり教育・研究にも尽力してこられました。

先生は、農業に欠かせない水源を確保するためのダム、特に土と岩を締め固めて造られたフィルダムを対象として、その安全性を向上するための研究に40年以上に亘って取り組まれてきました。そのために不飽和土の力学特性を研究し、その特性のモデル化を世界に先駆けて行い、実際に計算できる解析方法を開発しました。その結果として土質力学分野において困難とされてきた不飽和土の力学特性の定量化を可能とし、不飽和土質力学分野を地盤工学の中に定着させ、現在広く世界で研究されている不飽和土質力学研究の魁となりました。それらの成果により、土質工学会論文賞、地盤工学会研究業績賞、文部科学大臣賞等の多くの賞を受賞されています。先生の研究成果により、従来予測不可能であった建設時、貯水時および地震時を含む長期におけるフィルダムの挙動と安定性を解析できるようになり、実ダムでの検証等を通して、その有効性を示してきました。またフィルダムの建設時だけでなく、その後の管理・改修において、これらの技術を用いることによって、より安全な構造や対策を検討できるようになっています。また、これら開発した技術は、農林水産省ダム設計基準に盛り込まれるとともに、先生が委員を務めるダムの安全性を検討する多くの委員会で提言され、農業農村整備事業の推進に役立っています。さらにこれら技術は、地盤工学分野で地震や豪雨に対するダムを含む斜面の防災・減災対応に応用されつつあります。

学内においては、国際環境農学専攻長をはじめ多くの要職に就かれ、大学の発展に寄与されました。また学外では、ダムの安全性評価の第一人者として、日本の農業に欠かせない水の安定的供給源であるダムの建設、維持、管理に多大なる貢献をしてこられました。

これまでの42年のご在任の期間、数多くの農業土木技術者および学生の教育にあたられるとともに、我が国の農業農村工学・地盤工学の発展に多大な貢献をなさった先生が退職されるにあたり、永年のご功績をたたえ、平素のご指導に対し感謝の意を表したく、定年退職記念講演を開催したいと存じます。

ご多忙のところ誠に恐れ入りますが、万障お繰り合わせの上、是非ともご出席くださいますようお願い申し上げます。

令和2年8月吉日

向後雄二先生御定年退職記念事業実行委員会 発起人一同

記念品の贈呈

2020年10月29日東京農工大学農学部にて,向後先生へ記念品を贈呈いたしました.記念品は,実行委員で協議をした結果,向後先生ご本人の希望もあり,ラップトップPCおよびギフトカードといたしました.多くの皆さまからご寄付をいただきました.実行委員一同心より感謝いたします.

せっかくですので,その場にて開封していただきました.

世界一軽いといわれているラップトップを手に,その軽さに驚いております.

ちょうど学生実験をやっておりましたので,学生とパチリ.

最終講義および記念祝賀会詳細

1.最終講義「不飽和地盤工学の体系化」 無事終了いたしました.多くの方に参加いただきありがとうございました.

    • 日時:2020年9月22日(祝)午後1時~

    • 場所:学士会館(東京都千代田区神田錦町3-28 )


Zoomのライブ配信の録画および当日のビデオや写真はこちらからご覧になれます.IDとパスワードが必要です.登録いただいた方がには別途メールにてお送ります.

2.会計報告(準備中)

すでに振り込んでいただきました記念祝賀会参加費については原則返金いたします.個別に連絡させていただきますので,よろしくお願いいたします


最終講義のご案内(2020.08.24版)

向後雄二先生御略歴

1978 東京農工大学農学部卒業

1978-1988 農林省 農業土木試験場 研究官

1989-1994 農林水産省 農業工学研究所 主任研究官

1994-1999 国際農林水産業研究センター生産利用部 主任研究官

1995-1997 アジア工科大学大学院 講師

1999-2001 農業工学研究所造工部構造研究室 室長

2001-2006 (独)農業工学研究所造工部構造研究室 室長

2006-2007 (独)農業・⾷品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 施設資源部構造研究室・室⻑

2007-2011 東京農工大学大学院農学府 准教授

2011-2020 東京農工大学大学院農学 教授

2020-現在 東京農工大学名誉教授

受賞歴

1995年 土質工学会賞(論文賞)(土質工学会[現地盤工学会])

2004年 文部科学大臣賞(研究功績者)(文部科学省)

2005年 ダム工学会賞(技術開発賞)(ダム工学会)

2011年 地盤工学会賞(研究業績賞)(地盤工学会)

2015年 地盤工学会誌年間優秀賞(地盤工学会)

2020年 日本農業工学会フェロー

実行委員会事務局・・・東京農工大学農学部地域生態システム学科 斎藤広隆(地水環境工学研究室)

電話 042-367-5584,電子メールアドレス hiros<@>cc.tuat.ac.jp (<@>を@と置き換えてください)