雪氷防災研究室
https://sites.google.com/view/kitamisnow/
国立大学法人北海道国立大学機構 北見工業大学
工学部社会環境系 准教授 白川龍生(気象予報士)
北見工業大学 雪氷防災研究室 のウェブサイトへようこそ.
このサイトは,担当教員自身が記事を書いています.タイムリーな情報は,公式X(旧Twitter)をご覧下さい.
現在の気温・風・等圧線(提供:Windy.com)
予報モデル:ECMWF(欧州中期予報センター)
2023.06.23 コンテンツ集約.
2022.11.05 トップページの「講演活動」を加筆.
2022.07.08 「気象ゼミ」の内容を整理統合し,積雪・冬期気象観測のツリーに統合.
2022.06.12 「北の鉄路応援」に加筆.
2022.05.06 「積雪断面観測@北見」を更新.
わたしたちの研究室が目指すこと
災害は,自然現象と人間社会が絡み合って起こります.その環境に人間活動や社会がなければ、自然現象によって被害を受ける可能性はありません.「自然現象・外力」が「施設(インフラ)の抵抗力」を上回ったときに災害が発生します(図).
雪氷環境は,地球規模の温暖化の影響により,これまで降雪が少ないとされてきた地域への大雪、局地的な豪雪など、近年その環境に変化が見られます.一方,施設(インフラ)については、今後老朽化が急速に進むことが懸念されており,施設に期待される性能を維持するための管理技術の発展・進歩が喫緊の課題になっています.
わたしたちの研究室(雪氷防災研究室)は,雪氷学(特に積雪)と土木工学(特に鉄道や道路)の境界領域を開拓し,「雪氷災害の軽減防除」に貢献することを目指しています.具体的には,過去に発生した雪氷災害の事例分析,冬期におけるフィールド観測,積雪モデル研究等を通じ,「利用者をいかに守るか」「情報共有をどうすればよいか」という点について研究しています.さらに,雪を利用し,雪に親しむための研究にも力を入れています.
担当教員より
白川龍生です.私の専門は,雪氷学と鉄道工学です.
大学では,環境防災工学コース3年後期の『雪氷防災学』(2023年度開講、2022年度までは雪氷防災工学として開講),そして社会インフラ工学コース3年後期の『鉄道とメンテナンス』(2023年度開講)の2科目をメインに、複数の科目を担当しています.特にこの2科目については,この大学でしか学べない内容が多く含まれていますので,ぜひ多くの学生さんに履修してもらえると嬉しいです.
私は本学着任前,約6年間,鉄道会社でエンジニアとして勤務していました.前半は主に鉄道線路の設計,積算,施工管理を担当しました.後半は研究所にて,軌道と車両の相互作用の研究,軌道構造設計プログラムの開発などを担当しました.
本学に転職後は,「壊れにくく・壊しやすい」交通走行路(道路・鉄道)の実現を目指した研究を10年間続けた後,2012年4月より新たに雪氷学の知見を取り入れた研究を開始しました.2014年4月からは高橋修平先生(本学名誉教授)が立ち上げた『雪氷防災研究室』の看板を受け継ぎ,現在に至ります.研究室では何よりも現場観測を大事にしており,冬場は積極的にフィールドに出て自然から多くのことを学んでいます.
さて,私は気象予報士の資格を有しています.研究室では気象予報士試験合格を目指すゼミを開講していますが,2021年3月,ついに学生の合格者が誕生しました.今後も合格者を輩出できるよう,ゼミを通じてサポートしていきます.
さて,2020年に顕在化した新型コロナウイルスの問題は,人類が有史以来進めてきた効率化・都市部への集中化のあゆみを根幹から覆し,分散型社会と呼ばれる新しい生活様式の導入やビジネス構造の変革をもたらしました.このことは,自然現象と人間活動の関わりにも大きな影響を及ぼしています.私たちはこれまで,雪氷学と土木工学の見地から調査・分析し,社会の持続的発展に必要な情報を発信するための研究を進めてきました.今後も新たな時代の要求に応じた成果を発信できるよう,努力を続けていきます.引き続きよろしくお願いします.
白川龍生(しらかわたつお)
1976年1月 北海道八雲町生まれ.
1996年3月 函館工業高等専門学校土木工学科卒業後,1996年4月 北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)入社.主に保線部門を歩み,鉄道線路の設計・積算・施工管理およびメンテナンスに従事.JR北海道の社員時代は,1997年3月の特急スーパーおおぞらデビューに合わせ,客室乗務員(ツインクルレディ)を採用するための企画書を執筆した経験もある(注1).2000年4月 財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研,現在は公益財団法人)へ出向.軌道技術研究部軌道管理研究室研究員として,鉄道車両の走行安全性確認試験等に従事.
その後大学へ転職することになり,2002年2月 北海道旅客鉄道株式会社へ復帰・退社.同年3月 株式会社片平エンジニアリング嘱託社員として交通環境部CG課業務に従事(1ヶ月).
同年4月 北見工業大学工学部技官教務職員採用(転職,このときから北見工大で勤務).同時に北見工業大学大学院工学研究科博士後期課程に社会人入学.2004年3月 博士後期課程修了(在学期間短縮修了),博士(工学)を授与される.同年4月 北見工業大学工学部助手(2007年4月より助教へ職名変更).2012年4月 北見工業大学工学部准教授となり,「雪氷防災研究室B」として白川研究室の歴史が始まる.その後,2014年4月に高橋修平先生(本学名誉教授,現: 北海道立オホーツク流氷科学センター所長)の退職に伴い,「雪氷防災研究室」の看板を引き継ぎ,現在に至る.
大学では雪氷学と鉄道工学を専門としている.また,地域と歩む防災研究センターに所属し,雪氷災害調査を担当している.
私の特徴をひと言で表現すれば,それは「ユーティリティ・プレイヤー」である.これまで異なる研究分野を渡り歩き,授業も専門外の科目含め10科目以上担当した.この経験から,一定の準備期間があれば専門外のことでもある程度の水準でこなせるスキルが身についた.しかし,それ故にこれまでオンリーワンの分野を確立できずにいた.この点を反省し,近年は自分にしかできない仕事のための時間を捻出するようにしている.
趣味はマラソンで,サロマ湖100kmウルトラマラソン 100kmの部には1999年大会から参加,21年連続で完走中(2018年6月にグランドブルーメンバー認定を受ける;注2).この他,鉄道旅行,観天望気,某ラーメンチェーン店通いなども趣味としている.2児の父.
社会活動等、その他の情報は大学の研究者総覧に記載 → こちら.
注1:客室乗務員による車内サービスは,2019年2月28日,22年の歴史に幕を下ろした.(→ 外部リンク HTB北海道テレビ YouTubeチャンネル)
注2:コロナ禍により,2020年と2021年の大会は中止となっている.
講演活動(2022年度以降)
2022.5.10 (株)早水組様 令和4年度安全衛生大会『天気図と現場』
2022.5.13 日本技術士会北海道支部地方委員会(道央)様 第31回総会・講演会『#雪どうする 2021/22札幌大雪の経験を今後に活かすには』
2022.10.4 雪氷研究大会(2022・札幌) 公開講演会『札幌都市圏大雪とその社会的影響について』
研究室のあゆみ(2012年度以降)
雪氷防災研究室は,高橋修平名誉教授(現:北海道立オホーツク流氷科学センター所長)が2006年4月に開設した研究室です.その後,白川龍生が2014年4月より研究室の看板を引き継ぎ,現在に至ります(2012年度と2013年度は「雪氷防災研究室B」として運営).
2013年度より,北海道の道央・道東32地点での広域積雪調査を開始(2018年度より道北9地点を加えた41地点に,2021年度より札幌手稲と小樽を加えた43地点に増加)しました.
2015年度からは,八久保晶弘教授とともに冬期気象観測と積雪断面観測を開始し,これは現在も継続中です.このうち2017/18年冬期と2021/22年冬期ては,長期積雪期間(根雪)の間,毎日の積雪観測を実施しました.
2020年度には,改修された情報処理センターの1F北側に雪氷実験室が入居しました(旧凍土工学実験室を移転減築).この実験室は亀田貴雄教授と共同運用で,新たな低温室(− 30℃対応,前室あり)や2つの実験室を使った各種研究を始めました.
卒業生の進路(2012年度~2020年度)
これまでの卒業生のうち,就職を希望した人については,全員,就職先が決まっています.2018年頃までは公務員を希望する人が多かったのですが,ここ数年は企業への就職を希望する人が増えています.
北見工大は北海道に立地しており,さらに研究テーマが雪氷分野ですので,学生の皆さんには北海道内への就職をぜひ考えてほしいと思っています.また指導教員が鉄道業界出身のため,鉄道分野へ就職したい人も応援しています.
研究室としては,卒業研究+修士論文の計3年間,地に足をつけて雪氷や気象,鉄道線路と向き合う学生を求めています.そのため,まずは大学院へ進学し力を付け,スキルアップをした上で就職するプランを勧めています.幸い「大学院に進学し腰を据えて研究したい」という人が少しずつ増えてきたように思います.こちらについてもぜひ検討してみてください.
また,社会人ドクターコースへの入学希望の方もお気軽にご相談下さい.特に積雪や鉄道線路に関する分野であれば,この研究室がお勧めです.