岡山理科大学 理学部基礎理学科 主催イベント

教科書から現実への架け橋

~教科書に書いてある式や法則、現象を実際に体験してみよう~

高校生の皆さんは数学や理科の教科書を通して、多くの式や現象を勉強していると思います。この式はどんな意味があるのだろうか?何の役に立つのだろうか?ミクロな粒子は本当に存在するのだろうか?様々な疑問を日々抱いていると思います。教科書から一歩踏み出して、実際の現象を直接目で見て手で触りながら、皆さんの疑問を解決してみませんか?岡山理科大学理学部基礎理学科では、2024年8月4日(日)に、複素数、素粒子、オームの法則と電力の3つの内容について、体験教室を実施します。教科書の裏側を知ることで、皆さんが勉強していることが将来何に役に立つのか考えてみませんか?

日時 8月4日(日)
定員 複素数を使ってきれいにケーキを切ってみよう 10 名
   霧箱を使って素粒子を見てみよう   10 名
   超伝導を使って消費電力ゼロを体験しよう 5 名
3つの課題のうち1つにお申込みいただけます。
対象 高校生・中学生、学校関係者と保護者の同伴も歓迎します。
費用 無料


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複素数を使ってきれいにケーキを切り分けよう

荒谷 督司 (あらや とくじ)
岡山理科大学理学部基礎理学科 教授 博士(理学)


二乗して-1になる数を虚数単位といい、iと表します。そして、実数x,yを用いてx+yiと表す数のことを複素数といいます。

さて、みなさんは複素数なんて数学で必要だから考えられた数であって、現実にはなじみがない数だと思っていませんか?

でも実際には身の回りの様々なところで活躍してくれています。

例えば丸いホールケーキを5等分や6等分するときに非常に役に立ってくれます。

今回は定木(定規ではない、直線を引くための道具で長さは測れない)とコンパスを用いて円の5等分を作図してもらいます。

それを利用して、ホールケーキを5等分、6等分する方法を紹介します。

霧箱を使って素粒子を見てみよう

伊代野 淳 (いよの あつし)
岡山理科大学理学部基礎理学科 教授 博士(理学)

人間の体のやく60%が水分でできています。水の化学式はH₂Oであり、水素原子2個と酸素原子1個が結合しています。水素原子は、水素の原子核である陽子と電子が結びついた状態です。陽子は電子よりも2000倍も重たいので、水素原子1個の重さは要旨の重さとほぼ等しいです。陽子の電荷プラスですが、ほぼ同じ重さで中性の粒子を中性子と呼びます。これらの陽子2個と中性子2個が集まった粒子をヘリウムHeと呼びます。陽子の重さ(正確には質量)は、1.7×10^(-24)gです。つまり1.7ヨクトグラムです。大きさは、10^(-15)m(1フェムトメートル)です。陽子やヘリウムなどの原子核や電子などの粒子が集まって原子や分子、化合物をつくって私たちや地球更に宇宙ができています。原子核や基本的な粒子を研究し、更に宇宙の現象を解き明かそうとする学問が素粒子物理、宇宙物理、天文学などです。
 今回のこの実験では、荷電粒子を飛跡としてとらえる霧箱という検出器を使って、α線(ヘリウムの原子核)、β線(電子)、宇宙線を観測してみましょう。宇宙線は、宇宙船ではなく、宇宙空間をほぼ光の速さで飛び交っている原子核や素粒子のことです。手のひらの面積を、毎秒1個の宇宙線(二次宇宙線)が降り注いで、私たちの体を通過しています。
 霧箱を使って、素粒子や原子核、宇宙線を捉えて、ミクロの世界と宇宙の繋がりを考えてみましょう。

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霧箱の動画 (画像をクリック):

大きさ直径10cm、高さ5㎝の円筒状の容器の底に、ランタンの心(マントル)を置いています。エタノールの過冷却は、粉砕したドライアイスで行っています。上記の動画は、Clahe処理で画像のコントラストを強調しています。

超伝導を使って消費電力ゼロを体験しよう

田邉 洋一 (たなべ よういち)
岡山理科大学理学部基礎理学科 准教授 博士(工学)

金属に電圧Vを加えると電気抵抗Rに比例して電流Iが流れるオームの法則を中学校の理科で勉強したと思います。物質中を電気が流れる際、物質中の欠陥や不純物、原子や電子などの電荷の間に働く力を通して、電流に摩擦が働くことで電気抵抗Rが発生し、これによりエネルギーの一部が熱として失われます。一方で、超伝導という特殊な電子状態を使うと、電気抵抗Rがゼロになるために、エネルギーの損失なしに電気を自由に運ぶことができます。イベントでは、金属と超伝導体の電気抵抗を直接測定します。摩擦のない電子を体験してみましょう。

本イベントに関する問い合わせ先

岡山理科大学理学部基礎理学科 広報委員 荒谷 督司  連絡はこちら

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