第63回KG CAPSセミナー 2/16 太田陽先生(名古屋大学)

講演者: 太田陽先生(名古屋大学)

日 時: 2024年2月16日(金)15:00~17:00

場 所: 関西学院大学上ケ原キャンパス F号館104教室

講演タイトル: 感情が構成されるとはどういうことか

要旨: 「喜び」「悲しみ」あるいは「感情」と私たちが呼ぶ現象はいったい何なのか。これまで多くの心理学者たちがこの問いに対してさまざまな答えを用意してきた。そのなかで近年注目を集めているのが、リサ・フェルドマン・バレットらの提案する構成主義理論である。構成主義理論によれば、感情は個人個人が外界の知覚と身体状態の知覚とを文脈に応じてカテゴライズするプロセスから構成される。バレットらは、「喜び」「悲しみ」あるいは「感情」といったカテゴリーは共通のメカニズムをもたない不均一な実例の寄せ集めであると考える。そして、そのようなカテゴリーを指す用語は科学的な心理学の役に立たないため、使用するのをやめるべきだと主張している。本セミナーでは、身体化・概念化・予測符号化といったバレットが感情の説明に用いる道具に注目しながら構成主義理論について概説する。また、従来強い影響力を持ってきたポール・エクマンらの基本感情理論や、クラウス・シェーラーらの評価理論との比較を通して、他の理論との共通点・対立点について明らかにする。