第45回KG CAPS研究会 3/12 松井大 先生(北海道大学)

講演者:松井大 先生


日時:2021312日()15:00-17:00

場所:Zoom開催


タイトル:比較認知科学は何が比較可能か? 

発表概要:比較認知科学とは、動物の行動比較を通じてその心理学的メカニズムの多様性と普遍性を描出し、ひいては行動・認知の進化の解明を目指す分野である。当然、種間比較は、比較認知科学の研究指針において中核となる方法である。それにも関わらず、表題の問いは比較に携わる研究者が100年以上直面し続け、コンセンサスに至っているとは言い難い。本研究会では、発表者が関わってきた鳥類の運動学習、知覚的意思決定、あるいはより一般的な学習の比較研究を紹介する。これらの研究では「ついばみ」という微細な動作から、報酬に基づく選択行動まで、異なるレベルから動物の行動を特徴付ける。その帰結として、マルチスケールな単位に基づいた行動評価という、概念的な枠組みの重要性を議論する。物言わぬ動物の「こころ」の描像を得る試みは、客観科学としての心理学の根幹に関わると発表者は信じている。そこで、研究紹介は当該分野の知識は仮定せず、平易に行うので、広く心理科学に取り組む方々と議論できれば幸いに思う。