第42回KG CAPS研究会 12/17 大上渉 先生(福岡大学)

講演者:大上渉 先生


日時:2020年1217日(15:10-16:40

場所:Zoom開催


タイトル:心理学的知見に基づくテロ捜査の支援 

発表概要:これまでのテロリズム研究は,政治学や国際関係,法学の研究者らが中心になって,テロリズム(以降,テロと称します)による国内外の政治変化,また法制度や政策に基づいたテロへの対策などが議論されてきました。しかし,テロには人が行う犯罪行動という側面もあり,その防止や取り締まりには心理学が寄与できると考えられます。今回の発表では,心理学的知見がテロの捜査支援にどのように貢献できるのかをお話しします。まず,テロの定義や,一般的犯罪とテロとの決定的な相違点,テロの事前防止・事後捜査の意義などについて解説した後,心理学的知見に基づいたテロ捜査支援を3つの側面から,すなわち(1)組織形成モデルの諜報捜査への応用,(2)テロリストの典型的人物像推定,(3)組織固有の犯行パタンに基づいたテロ組織の推定などについて,発表者の研究も交えて紹介します。さらに発表者の研究スタイルが抱える問題点とともに,今後の展開として,欧米諸国で多発しているローン・アクター型テロや日本で相次ぐ無差別殺傷事件に対する研究課題も述べ,心理学がテロリズム研究に貢献できる可能性について示します。