第41回KG CAPS研究会 11/28 池田賢司 先生(東海学院大学)

講演者:池田賢司 先生


日時:2020年11月28日(土)10:00-13:00

場所:Zoom開催


タイトル:達成目標とメタ認知的判断

発表概要:私たちが学習する際には,例えば「自分のスキルを向上させる」や「他の人よりもテストで高い点数を取る」というように何らかの目標を持ちながら学習に臨む。達成目標理論では,達成目標の質的違いが学習過程に影響することが想定されている。特に,達成目標は学習者自身の能動的学習活動(自己制御学習)に影響することが示唆されている。自己制御学習においては,自分自身の学習状況を評価し,その結果に応じて学習方略をコントロールしていく過程が重要である。そのため,適切なコントロールを行うには,自身の学習状況を正確に判断(学習判断)することが重要であり,もし学習判断を誤れば効果的な学習は実現しない。例えば,学習判断を誤り,学習が完了していない項目ではなく,本来は学習が十分に完了している項目に多くの学習時間を費やすと学習は非効率なものになるだろう。しかしながら,従来の研究では達成目標とメタ認知的方略の利用の関係性に焦点が当てられており,学習判断の正確さなどの質的な側面はあまり注目されてこなかった。本研究会では達成目標の質的違いが学習判断に与える影響に関する研究結果を報告し,その背景にあるプロセスについて議論したい。