昨年の熊本地震前震から1年6か月にあたる10月14日,隣家(南側)の本格的な取り壊しが始まった.取り壊し業者を連れて挨拶に来た家主の話では半壊,公費解体というから見掛けよりかなり傷んでいたに違いない.14日から屋根瓦を剥いだり窓枠を外したり等の下準備が終わると,5本爪を持った解体用つかみ機がやってきて道路に面した入り口側から壊し始めた.一階の壁を剥ぎ取り柱だけにした後,二階を支えている中心の柱を引き払うと二階部分は簡単に崩れ落ち,二階建ての家が二日で廃材の山と化してしまった.17日には廃材を木材,金属,モルタルの三種類に分別しトラックで運び去っていった.18日,19日にはブロック,積石,樹木等を処分し,20日には,「つかみ機」を「ショベル」に取り替え,細かい石やコンクリート破片類を掘った穴に埋め込み,キャタピラーで踏み固めると平地が出現した.古い木造家屋とはいえ小型の解体作業車の「猫パンチ」によってあっという間に消滅してしまった.建てる時の苦労や住人の苦楽を見守ってきた木の精はどうなってしまったのだろう.作業はトラックの運転手を除き解体作業車の運転手と地上作業員の二人だけで完了した.1年半経って,ようやく市内のあちこちでこのような解体が進行している.
西側隣家側のブロック塀が5~6mにわたって倒れ家壁に寄り掛かっていたが,家屋の解体の際,倒壊した.ブロック塀は典型的な欠陥塀で,「よこ筋」が入っていない.
上で紹介したブロック塀は弊家の西側の塀につながっている.家を建て替える時,外構工事業者は既設のブロック塀を見て,「この塀は地震で倒れる恐れがあるから.こちら側にもブロックを積みましょう」と言った.隣家が先に作った塀があるので,こちらは塀を作る必要はないと思っていたので納得するのに時間がかかった.業者は既設の塀は手抜き工事であることを具体的に示してくれた.こちら側から見ると.隙間に埋めるべきセメントが裏側まで届いていないし,隙間から隣家の庭が見える個所がいくつもあった.さらに,鉄筋の数も足りないというので,業者の言に従いブロック塀を二重にした.最終的には,こちら側は2段低くしてプランターを置く場所にしたらという提案を受け入れた.今回の大地震では業者の予想どおりに一部は倒壊し,幣家との境は隣家側へ傾き,二面のブロック塀の間に隙間ができてしまっている.
最近の月別地震回数(熊本県内)は以下のとおりである.6月以降は増加傾向が認められ,10月は前月を上回る24回を記録したが,4~5日間地震のない日が続くこともあった.
隣家の撮影,掲載の許可は得ていないが,熊本地震復興の現状記録としてご容赦いただきたい.
追記
平成3年台風19号が襲来した時,駐車場横のブロック塀が強風で倒れ,車のボンネットが傷つき板金修理に出した経験がある.ブロック塀に関しては,昭和56年宮城県沖地震等の被害を踏まえて,建築基準法施行令が大幅に改正され,最小限守らなければならないことが規定された.それによると,ブロック塀は直径9mmの鉄筋が縦横とも最大80cm間隔に入っていて,継ぎ目にはセメントを充填し空洞を無くして全体を一体化させる必要がある.法令改正前に造られたものはかなり不完全なものが多いとのことである.業者の話では,セメントを節約するため,新聞紙を丸めて押し込み,最上部だけにセメントを載せて誤魔化しているものもあるらしい.なお,ブロック塀の鉄筋の有無は鉄筋探査機などで調べることができるとのことである.