能登半島沖地震の被災者の方々へ

           ~肺塞栓症(エコノミークラス症候群)の予防に関するお願い~

能登半島沖地震の被災者の方々へ

~肺塞栓症(エコノミークラス症候群)の予防に関するお願い~

 

     このたびの能登半島沖地震は大きな余震が続いており、避難所生活や車中泊をされる方も少なくないと思います。

    ご存知のように、先の新潟中越地震の被災者、特に車中泊をされた方々には「肺塞栓症」が多発しており、避難生活の際には十分な肺塞栓症予防を行うことが大切です。


以下に詳しい解説を記載しますが、肺塞栓症の予防の要点は;


①車中泊の場合は、可能ならばワゴン車など広い車を利用し、やむを得ず小さい車の場合でもなるべく足を伸ばして休む。


②定期的に車外や避難所外に出て、散歩などの運動を行う。


③脱水にならないように水分摂取をこまめに行い、トイレ回数を減らすために水分を控えるようなことはしない。

 


【肺塞栓症について】


1.      狭い避難所(特に車中)での寝泊りが続いた場合、脚の静脈血の流れが悪くなり、そこに血の固まり(深部静脈血栓症)が発生します。この血栓が剥がれて肺に流れていき、肺の血管につまって呼吸困難やショック状態となる病気を、肺塞栓症と呼びます。肺塞栓症は種々の状況で発症しますが、車中や飛行機旅行中に発生した場合にエコノミークラス症候群と呼ばれたりします。


2.      肺塞栓症は、脱水、高齢、肥満、妊娠、下肢骨折・外傷、下肢麻痺、癌、心不全、深部静脈血栓症や肺塞栓症の既往、血栓性素因(血が固まりやすい体質)などの要因で、より発症しやすくなります。


3.      この病気の予防には、歩行や足首の運動、脱水を避けることなどが有効です。いくつかの因子が重なり危険性が高い場合には、弾性ストッキングの装着が勧められます。


4.      災害やその避難生活による種々の環境で、この病気はより発生しやすくなります。また、寒冷地域では避難場所での窮屈な姿勢を強いられたり運動不足になることが多く、さらに注意が必要です。

 


【災害緊急避難をされた方々へ】


1.      歩行時の息切れ、胸の痛み、一時的な意識消失、あるいは片側の足のむくみや痛みなどが出現した場合には、早急に医療機関を受診して下さい。特に、車中寝泊りなど長時間同じ姿勢を続けた後にこれらの症状が出た場合には、この病気を疑って下さい。


2.      身体を自由に動かせない状態で長時間過ごしたり寝泊りすることは避けて下さい。特に、脚の運動がこの病気を起こさせないために重要であり、座った姿勢を長時間続けることは脚の血行を悪くします。止むを得ず車中で寝泊りされる場合にはゆったりした服装を着用し、脚を少しでも伸ばせる姿勢をとり、日中はできるだけ歩行などの足を使った活動を行って下さい。また、室内乾燥を避け十分な水分摂取を行い、血液が固まりやすくならないようにして下さい。