講演者:日高義将 (KEK)

日時:7月4日(火)16:00-

スタイル:zoom

タイトル:相対論的量子情報伝達における
デコヒーレンスと粒子生成

タイトル:空間的に離れた2点間の量子場を通じた情報伝達問題を考え,そこに現れる相対論的な因果律と情報伝達の間のパラドックスについて考察する.具体的な問題としてアリスの量子情報を場を通じてボブに送りボブがその場を測定することによりアリスの情報を得る問題を考える.ボブがアリスの量子状態を観測するとアリスの量子状態は壊れてしまうが,空間的に離れた点における観測では,ボブが測定したことが光速を超えてアリスに伝わらない.したがってボブが測定したという情報がアリスに伝わる前に,アリスは自分の量子状態が測定されていないかどうかを測定することができる.その結果は因果律によりボブが情報を得たかどうかに関わらないため,一見,ボブが情報を得たのに関わらずアリスの量子状態は元のままというパラドックスが生じる.このパラドックスは,量子場を操作したことによる粒子生成によるデコヒーレンスを考慮することで解決されることを議論する.また,場の不確定性関係により,デコヒーレンスとボブが得られる量子情報の間には,トレードオフ関係が存在することをみる.