講師:田島裕康(電通大)

日時:1月16日(月)、17日(火)

場所:12棟202C (変更したので気をつけて下さい。)

講義タイトルと概要:「resource theory of asymmetryの基礎と応用」

近年の量子科学技術の発展に伴い、量子状態が持つ性質が様々なデバイスの性能を向上させることが明らかになりつつある。こうした性質を「資源」とみなすとき、その資源をどのように量るか、そしてどのように無駄なく使うかを考えることは、非常に重要な問題と言える。リソース理論はこのような考えに基づき量子的な「資源」を扱う理論であり、様々な物理的設定に合わせて様々な理論が構築されてきた。

本講義では、このリソース理論の概要を、最近急速に発展しつつあるResource theory of asymmetry (RTA)の基礎および応用に特に焦点を当てて紹介する。RTAはダイナミクスが対称性を持つ状況において成立するリソース理論であり、Fisher情報量をリソース指標とすることでエンタングルメント理論と並列な枠組みを構築することが出来る。応用範囲も広く、誤り訂正符号・測定・量子ゲート実装・熱力学的過程・ブラックホールなど、様々な対象に統一的なアプローチを行うことが可能である。 

講義は2日間6コマで、初日に量子情報の基礎とリソース理論の基本的な構造の簡単なレビューを行い、二日目にRTAの基礎を説明する構成を予定している。最終コマでは、RTAの応用として最近得られた結果について、スライド形式でセミナーを行う。より具体的な内容は以下の通り:


講義スケジュール:

1日目

11:15- 12:45,  14:30-16:00, 16:15-17:45

2日目

11:15- 12:45, 14:30-16:00, 16:15-17:45


講義内容: 

・    量子情報基礎:量子操作・測定・量子状態間距離など

・    リソース理論の概論:簡単な全体像と具体例の紹介(量子熱力学・エンタングルメント理論)

・    Resource theory of asymmetryの基礎:定式化とその物理的意味・量子Fisher情報量の導入とリソース指標としての意味・iidにおけるconvertibility

・    Resource theory of asymmetryの応用例(セミナー):測定・誤り訂正符号・量子計算ゲート実装に対する統一的制限


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