ヒメケハダヒザラガイ
Acanthochitona rubrolineata
(Lischke, 1873)
レア度:いつでも見られる
形態:体長3~4㎝程度のヒザラガイ類。肉帯の表面は先の尖った小棘に覆われ、さらに、明瞭な棘束が殻板をはさんで9対ある。毛虫に似ているが無毒であり、素手で触っても問題ない。色彩の個体間変異は激しい。
生息域:北海道南部から九州、朝鮮半島、中国に分布し、潮間帯および潮下帯上部の岩礁に生息する。葛登支では沖合の平磯で最もよく目にするヒザラガイ類。
生態:排泄物中に岩の剥離片と付着珪藻(Chaetoceros, Coscinodiscus, Navicula)を含むため (Arakawa 1963)、本種は植食性のgrazerであると思われる。干潮時には岩の窪みにぴったりはまっていることが多く、摂餌等の活動は水没時に起こると考えられる(本種は"家"をもつのかもしれない)。
その他:本種とよく似たコケハダヒザラガイ A. achates (Gould, 1859) も生息している可能性があるが、まだ発見されていない。コケハダヒザラガイは体表の小棘の形態から識別可能で、本種とは遺伝的にも異なる (Eernisse et al. 2018)。
引用文献:
Arakawa, K.Y. 1963. Studies on the molluscan faeces (I). Publications of the Seto Marine Biological Laboratory, 11: 185–208.
Eernisse, D. J., Draeger, A. & Pilgrim, E. M. 2018. Chitons (Mollusca: Polyplacophora) rafted on tsunami debris from Japan to the shores of Washington, Oregon, and Hawai'i. Aquatic Invasions, 13: 71–86.