メジナ

Girella punctata Gray, 1835

レア度:たまに見られる

形態:成魚は標準体長で40㎝程までになる。The 魚といった感じの形態をしている。日本沿岸には近縁種のオキナメジナ G. mezina とクロメジナ G. leonina が生息するが、オキナメジナは植食性で顎や歯の形態がことなり、他2種に比べると口は幅広く上唇が厚い。クロメジナとメジナはどちらも雑食性で、系統的にも近縁のため形態は似るが、鰓蓋後縁に黒い模様があるものがクロメジナ、ないものがメジナである。ただこの黒色帯は生時のみ見られるため、死亡後の見分けは困難。稚魚では、背鰭後方の上縁の淡い水色が目立つ。北海道沿岸ではクロメジナも記録があるが、稚魚に関する記述は乏しく、茂辺地で本種の稚魚の報告がある(小林・五十嵐, 1961)ため、本項でもこれに倣った。

生息域:葛登支ではやや水深があるところならどこでも、20匹程度の群れになって見られる。外からの水が入る沖側や水路のガラモ場には特に多い。

生態:北海道では夏に見られる季節来遊魚である。日本海側の瀬棚では大人を見たが、函館周辺では大人は見ない。雑食性で、主に海藻を食べるが、補助的に甲殻類などの小動物も捕食する。本州などではクロメジナと同所的に分布するが、はっきりした遺伝的分化が知られている(Itoi et al., 2007)。

その他:関西などでは、地方名「グレ」と呼ばれる。南蛮漬けがおいしい。色覚を確かめる行動実験から、赤と青は見分けられることがわかっている(吉田ら, 2005)。

2020年7月@茂辺地 大友
2020年7月@茂辺地 大友「ねえちょっとそこどいて」の顔

引用文献:

  1. Itoi, S., Saito, T., Washio, S., Shimojo, M., Takai, N., Yoshihara, K., & Sugita, H., 2007. Speciation of two sympatric coastal fish species, Girella punctata and Girella leonina (Perciformes, Kyphosidae). Organisms, Diversity and Evolution 7: 12-19.

  2. 小林喜雄・五十嵐傑, 1961. 北海道函館附近に於けるメジナGIRELLA PUNCTATA GRAY の幼稚魚に就いて. 北海道大學水産學部研究彙報 12(2): 121-127.

  3. 吉田将之・森吉健太・黒田昭仁・藤本隆俊・国吉久人・海野徹也, 2005. メジナにおける色覚に関する電気生理学的・行動学的検討. 魚類学雑誌 52: 141-145.