ミサキヒモムシ

Notospermus geniculatus
(Delle Chiaje, 1822)

レア度:よくわからない

形態:体長30~60 cmで、体幅は5~10 mm。頭部はへら状で、頚部がくびれている。体色は変化に富み、暗褐色、紫褐色、暗紫色、青緑色などで、そこに白色の輪っかが等間隔に体全体に入る。頭部直後の白色帯は、背面正中線上で前方に向かって「Λ」の形に突出する。

生息域:南方性の種で黒潮域に広く分布しており、日本では東北以南、または佐渡以南に分布するが、葛登支でも転石帯にて1個体採集された (2021/12/5)

生態:体から常にネバネバの粘液を出している。わりと簡単に自切してしまうため、取り扱いには注意。

その他:分子系統解析などの結果から、従来ミサキヒモムシと呼ばれていたものは、つい最近2種類に分けられた。もう一方はヒシミサキヒモムシ N. mitellatus で、頭部直後の白色帯の突出部が「Λ」ではなく、「▲」または「♦」型に見えることで識別できる (Kajihara et al., 2022)。粘液を舐めると舌がピリピリするらしい (https://www.outdoorfoodgathering.jp/insect/himomushi/)。

2022年3月 五十嵐


2022年3月 五十嵐横から見ると頭側溝がわかる
2022年3月 五十嵐


引用文献:

  1. Kajihara, H., Ganaha, I. and Kohtsuka, H. (2022) Lineid heteronemerteans (Nemertea: Pilidiophora) from Sagami Bay, Japan, with some proposals for the family-level classification system. Zoological Science 39: 62-80.