タカクラヒモムシ
Kulikovia alborostrata
(Takakura, 1898)

レア度:たまに見られる

形態:頭はへら状で薄く、先端に浅い切れ込みがある。体は頭よりも少し幅が狭くなるため、境界はわかりやすい。頭部の前縁が白いことが特徴。体は青っぽく、個体によっては鉄のように鈍く灰色味がかることもある。首の境界付近にオレンジの器官が透けて見えるが、何かは不明。頭部の側面には首まで続く「頭横溝」があり、はっきりとくぼんでいる。

生息域:ロシア極東から本州くらいまで分布。コンブ類の仮根に多いとされる (Chernyshev, 2020)。しかし葛登支では、沖側の石灰藻をいじっているときによく出現するような気が…?大きさは様々で、たまに驚くほど大きいものも出てくる。

生態:古くから体色に二型があるとされていた (高倉 1898) が、青いタイプはタカクラヒモムシ、褐色のタイプは K. fulva に見直された。両種は遺伝的にもはっきりと分かれ、自然条件では人工授精も殆ど成功しない。放卵放精の様式を持つ両種だが、配偶子の種認識機構が発達しており、これによって生殖前隔離が起きていると考えられている (Ikenaga et al., 2021)。

その他:

2020年12月 大友
2020年12月 大友
2020年12月 大友頭横溝はかなりはっきりしている
2021年3月 大友

引用文献:

  1. Chernyshev, A., V. 2020. Nemerteans from the far eastern seas of Russia. Russian Journal of Marine Biology 46 (3): 141-153.

  2. Ikenaga, J., Kajihara, H. and Yoshida, M. 2021. Kulikovia alborostrata and K. fulva comb. nov. (Nemertea: Heteronemertea) are sister species with prezygotic isolating barriers. Zoological Science 38: 193-202.

  3. 高倉卯三麿 1898. 三崎近傍紐蟲ノ分類. 動物学雑誌 10: 38-44, 116-120, 184-187, 331-337, 424-429.