キタワレカラ
Caprella bispinosa Mayer, 1890
レア度:いつでも見られる?
形態:体長は2~3㎝ほど。第1触覚は長く、オスでは体長の半分を超える。頭部にトゲはない。体節の中では、第2胸節(第2胸脚が付属する節)が最も長い。オス・メスともに、第2胸節背面の最後部に、前向きに反り返った1対のトゲがあることが特徴。第3胸節以降の背面にも同様のトゲが2~3対ほど並ぶが、老齢の個体ほどトゲが多くなる。またオスよりもメスの方がトゲは多い。第3・4胸節から伸びるエラは、とても長くて直線的で、ほとんど長方形にも見える。
おそらくだが、形態には大きな表現型可塑性がある。オスはエラや第2咬脚、メスはエラや背面のトゲに注目すると種判別しやすい。雌雄ともに頭部にトゲは持たない。
生息域:寒海性の種で、北海道やサハリンでは多くみられる。葛登支では、平磯で採集した海藻の中から出現。
生態:端脚目の例にもれず、直達発生の様式を持ち、メスは産した幼体を体に付けて保護を行う。葛登支ではマクサ上に個体数が多いが、ガラモ場にも多いらしい。オスでは、第2咬脚の前節と指節に毒腺があり、主にオス間闘争に使われると考えられている(Takeshita & Wada, 2012)。
その他:Arimoto (1976) がとても参考になる。
引用文献:
Arimoto, I., 1976. Taxonomic studies of Caprellids (Crustacea, Amphipoda, Caprellidae) found in the Japanese and adjacent waters. Special Publications from the Seto Marine Biological Laboratory Series III pp. 1-229.
Takeshita, F., & Wada, S., 2012. Morphological comparison of the second gnathopod in males of four Caprellid species (Amphipoda: Caprellidae). Journal of Crustacean Biology 32 (4): 673-676.