キタフナムシ

Ligia cinerascens Budde-Lund, 1885

レア度:たまに見られる

形態:フナムシの仲間は日本からは5種がしられており、本種は北海道と東北を主として、本州にも分布する。本州~九州にはフナムシ L. exotica、沖縄にはリュウキュウフナムシ L. ryukyuensis、小笠原にはオナガフナムシ L. yamanishiiが生息する。本種とフナムシはしばしば同所的に見つかるが、本種は第2触角の鞭部が30節よりも少ないこと、第2触角全体の長さが体長よりも短いこと、フナムシに比べて尾肢が太短いことなどで識別できる(Yamanishi, 2011)。

生息域:葛登支では護岸壁の隙間で見られた。

生態:フナムシは岩礁から港の岸壁まで広くみられるのに対し、本種は傾斜の緩やかな海岸で水際からあまり離れない場所に多いとされる。このため、打ちあがった海藻などを食べている可能性がある。東京湾の干潟には本種が多いが、大阪湾の干潟にはむしろフナムシが多いというように、棲み分けの傾向は地域によってまちまちになっている(和田, 2012)。

その他:

2020年9月@砂崎海岸 大友
2020年9月 大友
2020年9月 山上

引用文献:

  1. Yamanishi, R., 2011. Morphological characters of Ligia cinerascens Budde-Lund, 1885 (Crustacea: Isopoda: Ligiidae) newly recorded from Osaka Bay, the Inland Sea of Japan, compared with those of L. cinerascens from Hokkaido and L. exotica Roux, 1828 from Osaka Bay. Bulletin of the Osaka Musium of Natural History 65: 1-8.

  2. 和田太一, 2012. 徳島県の礫浜海岸における四国初記録のキタフナムシとマメアカイソガニ. 徳島県立博物館研究報告 22: 69-78.