Podocerus brasiliensis
(Dana, 1853)

レア度:いつでも見られる

形態:体長は1㎝前後。底節板がとても小さく、他のヨコエビ類と比べてかなりほっそりして見える。体色は淡い褐色から赤まで変異がある。第1触覚には1節のみの短い副鞭を持ち、下面に長毛が生える。第2触角は第1触覚よりも長太く、根元に長毛、その他には短毛が生え、先端の鞭節には朱色と白色の縞がある。頭は小さく、ひし形に見える赤い眼を持つ。(オスの)第2咬脚の第4節(”ひじ”にあたるところ)は下向きに突出しない。第3~7胸脚は長く、横向きに開く。腹節の背面には短い剛毛がまばらに生える。第3尾肢は非常に小さく、ちょっとした突起のよう。尾節板は切れ込まないおにぎり型。日本沿岸に普通に見られる(?)ドロノミ Podocerus inconspicus は背面の凹凸が著しく、歯の抜けたくしのようになる。

生息域:葛登支では平磯よりも手前で少し水深がある場所で、少し砂を被るような海藻をとってくると多くついている。

生態:生きている個体は、意外と元気に泳ぎ回る。2対の触覚とはさみ脚(咬脚)を前向きに広げて、待ち伏せ?のようなポーズでじっとしている個体もよく見る。

その他:ヨコエビの中でもかなり弱く、とってくると多くは死んでしまうので注意。触角はちぎれやすく、ソーティング中には特徴を失った本種の個体がよく見つかる。ドロノミは汎世界的に分布する種が多く、人為的な移入、もしくは複数種が混在している可能性が指摘されている(Chapman, 2007)。

2020年10月 大友
2020年11月 大友
2020年11月 大友
2020年11月 大友第1触覚の様子、副鞭はとても短い
2020年11月 大友腹節背面の剛毛、だいたい1節に2~5本くらい生えている
2020年12月 大友
2020年12月 大友体の上半分が赤で、下半分はクリーム色
2020年12月 大友尾節の様子、説明つき

引用文献:

  1. Chapman, J.W., 2007. Amphipoda: Gammaridea, in Carton J. T. (Ed.), The Light and Smith Manual, Intertidal invertebrates from central California to Oregon, fourth edition, completely revised and expanded. University of California Press pp.545-618.