マダラウロコムシ
Harmothoe imbricata Linnaeus, 1767
レア度:いつでも見られる?
形態:体長は2~3㎝くらい。体の背面は15対の背鱗(つまりウロコ)で覆われるが、後端付近が露出する個体もいる。背鱗は前から1枚目が円形、以降はそら豆形。表面に微小な突起や短い毛が密集するとされるが、変異に富む。体色変異もとてもはげしく、葛登支には背面中央がブルーベリージャムのような濃い赤紫色で、両脇がベージュ色になるものが多い。ウロコからちら見えする前口葉はピンク色が多く、二葉に分かれていて「山」の字の形になる。頭部には3本の斑模様の感触手を持つ。副感触手は中央の感触手より長い。疣足の背触糸に茶色の縞模様がある。眼は背面と腹面に1対ずつ持つ。
生息域:地中海を含み、ほぼ汎北半球的に分布する。生息域も潮間帯から水深300mまでと非常に広い。葛登支では、平磯にて石をひっくり返すとついている。模様が周囲の環境に溶け込んでいて見つけづらいが、驚いた拍子にがんばって逃げようとするので、動きによってわかりやすい。
生態:北大西洋では、繁殖期は3~5月頃。メスはウロコの下に卵を抱えて保護を行い、浮遊幼生(プロトトロコフォア期)を産する(Daly, 1972)。
その他:ほかのウロコムシと比べて、ウロコが簡単に脱落する。mtDNAのCOI領域の解析から、色は違えど同種であることが確かめられている(Nygren et al., 2011)。
引用文献:
Daly, M. J., 1972. The maturation and breeding biology of Harmothoë imbricata (Polychaeta: Polynoidae). Marine Biology 12: 53-66.
Nygren, A., Norlinder, E., Panova, M. & Pleijel, F., 2011. Colour polymorphism in the polychaete Harmothoe imbricata (Linnaeus, 1767). Marine Biology Research 7: 54-62.