ニセツノヒラムシの一種

Pseudoceros sp.

レア度:たまに見られる

形態:比較的横幅の広いヒラムシで、周縁はフリルを付けたように波打つ。特に、体の前端部では、2本の角を立てているようにみえることから、この名前がある。背面に突起をもたない。葛登支で見られるものは褐色の地に白色の小斑をもっており、マダラニセツノヒラムシ P. exoptatus Katô, 1938 に似ている。しかし、外見にもとづいてヒラムシ類を同定することは困難であるため、ここではニセツノヒラムシの一種とした。

生息域:葛登支では、タイドプールを這っている個体や石の下に張り付いている個体を見かける。フリルを使って遊泳していることもある。

生態:本科は群体ボヤなどの固着性ベントスを食べる捕食者である。カラフルな体色をした種が多く、警告色として捕食回避に機能すると考えられている (Ang & Newman 1998)。雌雄同体であり、交尾前に「ペニスフェンシング」という闘争行動を示すことで知られている (Michiels & Newman 1998; Chim et al. 2015)。

その他:棟方(1982)は木古内から2種のニセツノヒラムシ(どちらもPseudoceros sp. として)を報告している。

2018年11月 山上
2020年8月 山上正面顔。角を立てている

引用文献:

  1. 棟方明陽. 1982. 北海道教育大学木古内臨海実験所附近海浜の動物相. 生物教材, 17: 23–29.

  2. Ang, H. P., & Newman, L. J. 1998. Warning colouration in pseudocerotid flatworms (Platyhelminthes, Polycladida). A preliminary study. Hydrobiologia, 383: 29–33.

  3. Michiels, N. K. & Newman, L. J. 1998. Sex and violence in hermaphrodites. Nature, 391: 647.

  4. Chim, C. K., Ong, R. S. L., & Gan, B. Q. 2015. Penis fencing, spawning, parental care and embryonic development in the cotylean flatworm Pseudoceros indicus (Platyhelminthes: Polycladida: Pseudocerotidae) from Singapore. Raffles Bulletin of Zoology, 31: 60–67.