キイロウミシバ

Sertularella miurensis Stechow, 1921

レア度:いつでも見られる?

形態:一見して海藻のように見えるが、拡大すると「ヒドロ花」と呼ばれる各ポリプから、触手を伸ばしているのがわかる。色はややくすんだ黄色。ポリプは集まって群体を形成し、海藻の表面に張った根のような部分(「ヒドロ根」)から、高さ3㎝ほどに立ち上がる。各ポリプは枝分かれせず、左右交互に向かうため、全体としては羽のような形に見える。ポリプを覆う殻は「ヒドロ莢(きょう)」とよばれ、本種はヒドロ莢の縁に鈍い4つの歯があるとされるが、変異は大きいとの報告もある(山田, 1949)。

生息域:日本各地に分布し、「きわめて普通」とされる。ホンダワラなどの褐藻類の表面に着生する。特に本種が属すウミシバ科は北方に種数が豊富で、やや深いところに生息するものが多い(山田, 1981)。葛登支ではフシスジモクの表面にまとわりついていることが多い。

生態:

その他:ヒドロ虫綱というとクラゲ世代を持つ種もあるが、本科の種はすべてポリプ世代のみを持つ。

2020年9月 大友
2020年9月 大友フシスジモクの表面に付着
2020年9月 大友触手を伸ばしているところ
2020年12月 大友ヒドロ莢に石灰藻がついて、汚れて見える
2020年12月 大友
2020年12月 大友ヒドロ花を拡大したところ

引用文献:

  1. 山田真弓, 1949. キイロウミシバに於ける形態變異. 動物学雑誌 58(3): 70-71.

  2. 山田真弓, 1981. 付着生物の種類査定法(6)ヒドロ虫類. 付着生物研究 3(1): 97-105.