エダアシクラゲ
Cladonema pacificum Naumov, 1955
レア度:あまり見られない?
形態:傘高6mm未満の小さなクラゲで、胃や触手の付け根は赤みがかって見える。付着するための短い触手と、摂餌のための長い触手があり、長い触手は何重にも分岐して大きく広がる。傘が鐘型であることと、触手の分枝が本属の特徴である。
生息域:日本各地
生態:主に海藻などに付着して摂餌し、時折遊泳する。雌雄異体で、光条件に応じて放卵・放精を行うが、明条件と暗条件のどちらに反応するかは系統によって異なる (出口ら, 2008)。宮城県では5~8月にクラゲが採集され、冬季はストロン化していると考えられている (出口 & 伊藤, 2005)。葛登支でも6月にクラゲが採集された。
その他:飼育は非常に容易で、アルテミアのみで維持・増殖することができる。また上記のような特徴から、分子生物学のモデル生物として、あるいは教材として活躍している (出口 & 伊藤, 2005)。
2023年7月 深澤 真上から
2023年7月 深澤 触手は粒が連なっているようにも見える
2023年7月 深澤 胃の先に有頭状の口触手がある
2023年7月 深澤 横から。付着用の短い触手が見える
2023年7月 深澤
2023年7月 深澤 右にいるアルテミアが
2023年7月 深澤 触手に触れた瞬間
2023年7月 深澤 引っ込んで口へと運ばれた
引用文献:
出口 竜作, 伊藤 貴洋, 2005. エダアシクラゲの採集とライフサイクルの制御 : モデル動物・教材動物としての確立をめざして. 宮城教育大学紀要, 40: 107-119.
出口 竜作, 青木 瞳, 松田 聖, 佐藤 英樹, 2008. エダアシクラゲの放卵・放精の光条件. 宮城教育大学紀要, 43: 89-95.