阪神淡路大震災における

臨床心理士の被災地での
活動について考える会

1995年、阪神淡路大震災の直後から、臨床心理士はさまざまなやり方で被災地で「心のケア」の活動に取り組みました。災害発生時における心理支援を指す「こころのケア」という言葉は、今では広く社会に浸透していますが、この言葉が初めて登場したのが、阪神・淡路大震災の直後でした。その当時、臨床心理士の大半には、災害後の心理支援についての学術的な知識がなく、経験の蓄積もありませんでした。それでもなお、多くの臨床心理士が被災地に駆けつけ、平常時における心理支援の経験を背景に、ほぼ手探りでの支援活動に取り組みました。

まさにその時期のことです。1995年1月30日に、私たちは「臨床心理士の被災地での活動について考える会」を立ち上げました(代表 川畑直人)。定期的に会合を開いてそれぞれの体験を報告し合い、議論を重ねました。被災地から伝わってくる情報や、心のケアに役立つ情報を集めて共有しました。それぞれが文献を読んだり、研修会に参加したりして学んだことを、勉強会で共有しました。そしてそうした情報を集約し、ニュースレターを作って発信しました。当時はまだパソコン通信が最先端という時代ですから、ニュースレターはファックスと郵送で全国各地に届けられました。

このニュースレターは、通算20号まであり、最終号である20号は1995年の11月30日に発行されています。ページ数では96ページに及びます。当時は、情報発信の形での後方支援活動として取り組んでいましたが、2023年の現時点で改めて読み返してみると、このニュースレターは、阪神淡路大震災発生直後からの約10ヶ月間における臨床心理士の心のケア活動の悪戦苦闘を記録した貴重な歴史的資料となっています。

このウェブページは、「臨床心理士の被災地での活動について考える会」のニュースレターを広く公開するために設置されました。阪神淡路大震災における臨床心理士の活動について知らない世代が増えている現在、このニュースレターが当時の状況を伝えるとともに、振り返って検証する資料となることを期待しています。

なお、「臨床心理士の被災地での活動について考える会」においてニュースレターの発行は、河崎佳子氏が編集長としてほぼ一人で担当していました。以下に公開するニュースレターに関しては、彼女の寄与よるところが大きいことをこの場で明記しておきます。

2023年10月
杉原保史

臨床心理士の被災地での活動を考える会Newsletter Web公開版.pdf

ニュースレター

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ニュースレターのウェブ上での公開にあたって、署名記事に関しては、執筆者すべてに連絡を取り、当時のまま公開、匿名での公開、非公開など、意向を確認し、その意向に従いました。また公開研究会の報告記事については、登壇された先生方にあらためて内容をご確認いただき、ウェブ公開の許可を得ました。残念ながら連絡がつかなかった執筆者の記事については、すべて黒塗りにしています

「臨床心理士の被災地での活動について考える会」は1995年11月をもって解散しています。
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