金沢トポロジーセミナー
Kanazawa Topology Seminar
金沢にて数学のセミナーを開催しています.題名の通りトポロジーの話題が中心ですが,その時々によって,基礎,応用を問わずセミナーの世話役の興味に基づいて様々な話題の講演を企画したいと思っています.基本的に1,2ヶ月に一度開催するようにしています.
金沢トポロジーセミナーでは講演者を募集しております.ご興味のおありの方は,世話役までお気軽にご連絡ください.
世話役:門上晃久,滝岡英雄,丸山修平,宮地秀樹
過去の世話役の皆様(敬称略):中村伊南沙(佐賀大,2021年度〜2022年度)
お問い合わせ先:宮地秀樹(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)
2024年度
2025年1月15日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに門上(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:調整中
Speaker : 河内明夫 (大阪公立大学数学研究所)
Title : Ribbon Surface-Link Overview
Abstract : An overview of ribbon surface-links that have been studied by the speaker to date will be presented. Ribbon surface-links are identified with chord graphs, and are a relaxed version of virtual graphs including virtual knotoids that preserves the fundamental groups. If a stabilization of a surface-link is a ribbon surface-link, then any handle-irreducible summand of the stabilized surface-link is a ribbon surface-link which is determined uniquely from the surface-link up to equivalences and stabilizations. Many results are obtained by using this result together with several other results. A surface-link is a trivial surface-link if the fundamental group is a meridian-based free group. A connected sum of surface-links is a ribbon surface-link if and only if both the connected summands are ribbon surface-links. A surface-link of trivial components is a ribbon surface-link if the components are sphere-components except for at most one component. Every sphere-link with free fundamental group, not necessarily meridian-based, is a ribbon sphere-link. It is also explained how 4D and 3D Poincare conjectures, the J. H. C. Whitehead aspherical conjecture and the Kervaire conjecture on group weight are resolved in this discussion.
2024年12月18日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は12月17日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
Speaker : 伊藤哲也(京都大学)
Title : Applications of finite type invariant point of view for knot polynomials
Abstract : Jones多項式に代表される結び目多項式は、適切な変数変換によりべき級数表示すると、各係数が有限型不変量になることが知られている。逆に、元の多項式の次数の制約の下で、有限個のこれらの有限型不変量から結び目多項式が復元できることを観察し、そのいくつかの応用を述べる。特に、無限個の相異なる双曲結び目であり、それらの(p,q)-cableのHOMFLY多項式の2j番目の係数多項式が一致するような結び目の構成を与える。
拡大版 金沢トポロジーセミナー 連続講義
2024年12月3日(火),12月4日(水)
時間:
12月3日(火)
10:00 -- 12:00 スケイン代数の定義と基本的な計算
13:30 -- 15:30 正値性予想の背景等
12月4日(水)
10:00 -- 12:00 主結果等
13:30 -- 15:30 関連する話題とまとめ
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は12月2日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
Speaker : 軽尾浩晃(学習院大学)
Title : スケイン代数による量子双対写像と強正値性予想の理解
Abstract : スケイン代数とは, 有向曲面$\Sigma$に対して定まる非可換代数であり, $\pi_1(\Sigma)$の${\rm SL}(2,\mathbb{C})$指標多様体の変形量子化であることが知られている. その一般化は量子団代数や量子タイヒミュラー空間と関わっており, スケイン代数を通して図的理解を与えてくれる.
1日目はスケイン代数の定義と基本的な図的計算を説明し, ブレスレット基底の構造定数の正値性予想(強正値性予想)について解説する. 特に, 2次元トーラスのスケイン代数において, ブレスレット基底が強正値性予想を満たすことを紹介する.
2日目はスケイン代数の一般化が量子団代数や量子タイヒミュラー空間と関係することを概観し, (量子)タイヒミュラー理論の文脈における双対写像の量子化がスケイン代数を用いて理解できることを紹介する. さらに, 簡単な曲面に対しては, 量子双対写像の像として得られる量子テータ基底(=ブレスレット基底)が強正値性予想を満たすことを具体的計算で示せることをみる. 2日目の内容は石橋典氏(東北大学)との共同研究
DOI: https://doi.org/10.1007/s00220-024-05119-y
に基づく.
2024年11月20日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は11月19日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
Speaker : 大家佳奈子(奈良女子大学)
Title : On the finiteness of the geodesics joining a pair of points in curve complexes - upper bounds
Abstract : 向き付け可能曲面S上の単純閉曲線のisotopy類がなす単体複体をSのcurve complex C(S)という. C(S)は局所無限であるなど, それ自体の性質を調べることが困難であるためまだ知られていないことが多い. 一般にはC(S)上の2点を結ぶgeodesicの個数は無限個存在し, uniquenessについてはIdo-Jang-Kobayashiの結果がある. 有限性については長さが2のgeodesicに関して, geodesicの個数が2または3となるような2点が存在することを講演者は示した. さらに, 曲面の種数を大きくとれば任意の自然数n個で実現されることが H. Shiga氏の結果により知られている. 本講演では, 曲面の種数を固定した場合に2点を結ぶgeodesicの個数が有限の数となる場合の上限を紹介する.
2024年10月16日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は10月15日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
Speaker : Mihalache Serban Matei(佐賀大学)
Title : 特定のHopf代数を用いた場合のKuperberg不変量とCGPT不変量の同値性について
Abstract : Kuperberg不変量は1997年に G. Kuperbergによって導入された, Hopf代数を用いたフレーミング付き3次元多様体の不変量である. 一方でCGPT不変量は2018年にF. Costantino, N. Geer, B. Patureau-Mirand, V. Turaevらによって導入された3次元多様体の位相不変量であり,圏上のmodified traceを用いて不変量が構成される. またunibalanced unimodular pivotal Hopf代数と呼ばれるクラスの代数からmodified traceを持った圏が得られることが証明されており, Costantinoらはこの場合にCGPT不変量とKuperberg不変量の関係について予想を立てた.
本発表ではこれらの不変量の同値性に関する発表者の結果について紹介する.
2024年8月1日(木)
時間:13:00〜14:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は7月31日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
Speaker : Hwa Jeong Lee (Dongguk University WISE)
Title : Knot mosaics and signed mosaic graphs
Abstract : A {\em knot $n$-mosaic} is an $n\times n$ matrix of 11 kinds of specific mosaic tiles representing a knot or a link. In this talk, we consider the {\em alternating mosaic number} of an alternating knot $K$ which is defined as the smallest integer $n$ for which $K$ is representable as a reduced alternating knot $n$-mosaic. We define a signed mosaic graph and a diagonal grid graph and construct Hamiltonian cycles derived from the diagonal grid graphs. Using the cycles, we completely determine the alternating mosaic number of torus knots of type $(2,q)$ for $q\geq 2$, which grows in an order of $q^{1/2}$.
2024年7月10日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演者:金信 泰造(大阪公立大学)
タイトル:$H(2)$-moves on links
アブストラクト:We consider an $H(2)$-move between two torus links of type $(2,2n)$, $T_{2n}$. We provide some necessary conditions for two links $T_{2n}$ and $T_{2m}$ to be related by a single $H(2)$-move. In particular, we show that $T_{2n}$ is obtained by a single $H(2)$-move from the Hopf link if and only if $n = ¥pm 1$, $¥pm 3$, and $T_{2n}$ is obtained by a single $H(2)$-move from the trivial 2-component link if and only if $n = 0$, $¥pm 2$.
2024年6月26日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は6月25日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:高橋 雄也(名古屋大学)
タイトル:Riemann面上のSU(2)-平坦接続のモジュライ空間の幾何学的量子化に現れるオペラッド構造
アブストラクト:コホモロジー類[ω]が整数係数となるシンプレクティック多様体(M,ω)が実偏極とケーラー偏極の両方を備えているとき,物理学の観点から,それぞれの偏極から定まる量子ヒルベルト空間H_reとH_Kahの次元の一致が期待されており,これまで様々な人々によって色々な例で証明されてきた.本講演ではシンプレクティック多様体がRiemann面上のSU(2)-平坦接続のモジュライ空間の場合において,等式dim H_re = dim H_Kahの背後にオペラッド構造が現れることを紹介したい.具体的には,それぞれの量子ヒルベルト空間H_KahとH_reからモジュラーオペラッドの射f_Kahとf_reを構成し,それらを比較した帰結としてJeffrey-Weitsman(1994)の結果が得られることを紹介したい.
2024年5月29日(水)
時間:15:30〜16:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は5月28日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:松田 凌(京都大学)
タイトル:一点穴あきトーラスのBers境界の自己写像と表現空間での様子
アブストラクト:Sullivanの辞書によれば, Mandelbrot集合の自己相似性とタイヒミュラー空間のBers境界の自己相似性が対応するようである. 宍倉がMandelbrot集合の自己相似性を, Hausdorff次元が2であることを証明することで解決したことに倣って, タイヒミュラー空間のBers境界のHausdorff次元を評価したい.
そのために, Bers境界上の, cuspに対応する点の近傍から他のcuspに対応する点への正則写像を構成し, その微分の評価の議論を紹介する. また時間があれば, このような操作が基本群の表現空間でどのような意味を持つのかについて考えたことを話す.
2024年5月29日(水)
時間:14:30〜15:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は5月28日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:坂井 健人(大阪大学)
タイトル:Degeneration of general hyperbolic surfaces along harmonic map rays
アブストラクト:双曲曲面間の調和写像を用いると,タイヒミュラー空間を正則2次微分の空間でパラメータ付けすることができる.ここでは,クラウン状の境界や閉測地境界をもつ双曲曲面をターゲットにするような調和写像を考える.近年,このような調和写像の存在性や一意性が整備され,対応するタイヒミュラー空間は,有理型2次微分の空間によりパラメータ付けされる.
本講演では,有理型2次微分の空間における半直線にそった双曲曲面の退化をGromov-Hausdorff収束の枠組みで記述する.またその応用として,半直線に沿った双曲曲面はThurston境界に収束することについて話す.
2024年4月17日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は4月16日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:軽尾 浩晃(学習院大学)
タイトル:スケイン代数と正値性予想
アブストラクト:量子タイヒミュラー理論の文脈において, タイヒミュラー空間のトレース写像の量子化の存在といくつかの性質が予想された. そのような量子化(量子双対写像)が穴あき曲面[Allegretti--Kim]とマーク付き円盤[Allegretti]に対して構成されている. Allegretti--Kimの構成法はスケイン代数におけるBonahon--Wongの量子トレース写像を用いており, 見通しの良い構成になっている. この量子化に対して期待される性質の1つは, 量子双対写像の像の構造定数の正値性, いわゆる正値性予想である. Mandel--Qinはテータ基底とそれらの量子双対写像が一致すること, その帰結として正値性予想が従うことを示したが,スケイン代数を用いた図式的な正値性の理解は未だ残された重要な問題である.本講演では, 被約状態付きスケイン代数を用いて構造定数の正値性の理解を試みる. 本講演は, 石橋典氏(東北大学)との共同研究に基づく.
2024年4月10日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:ZOOM(オンラインセミナー)
講演者:伊藤昇(信州大学工学部)
タイトル:Lifting link invariants by nanophrases
アブストラクト:ナノワードとは,文字列(ワード)の組によって射影構造をもったワードであり,成分数を一般化するとナノフレーズと呼ぶ.これらはワードに対して,ある種のホモトピー構造を入れたものであり,ナノフレーズのホモトピー構造は無限個の圏を生み出す装置となっている.2005年頃にTuraevは,ナノフレーズ理論を導入するとともに,Jones多項式の定式化に必要な圏(pseudolinks)と標準的なlink quandleを定義する圏(quasilinks)それぞれを,統一的な視点から「より一般的なナノフレーズ(general nanophrases)の部分圏の一種」としてそれぞれ実現させた.Turaevは写像類群やTQFTへの寄与を念頭においていたと考えられ,Gauss phrases またはfree linksという「情報の少ないナノフレーズ」も導入しており,これについては「1成分のGauss phraseが非自明である」というGibson, Manturovの同時期の独立な結果がある.我々は,上に登場した圏たちを並べた列に注目した:
general nanophrases —> virtual links —> pseudolinks / quasilinks / virtual strings —> Gauss phrases
この射影列における圏の関係に着目すると,ある圏(例えばpseudolinks)で不変量を構成できれば,それをカバーする圏(例えばgeneral nanophrases)へと不変量を持ち上げられる(lifting).今回,liftingの非自明な方法を2つ見つけたので紹介する.このような道具は調べたい対象を被覆する対象の検出や,調べたい対象の射影による特徴付けに有効だと考えられる.講演では構成についてなるべく平易な説明を心がける.
内容は福永知則氏(福岡工業大学) との共同研究(arXiv:2401.04506)に基づく.
2023年度
2024年1月24日(水)
時間:14:30〜15:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は1月23日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:足立 真訓 (静岡大学)
タイトル:Harmonic measures and rigidity for surface group actions on the circle
アブストラクト:有向双曲閉曲面上の平坦円周束について、その Euler 数の絶対値は底空間の Euler 標数により bound され (Milnor 1958、Wood 1971)、Euler 数が極値を取る時、平坦円周束のホロノミー表現は底空間の一意化より得られる標準的な表現と半共役となる(松元 1987)。Burger-Iozzi-Wienhard (2014) は、ホロノミー表現の有界Euler数を用いることで、これらの結果を有限型の双曲曲面に対して定式化・一般化した。
一方、オリジナルの Milnor-Wood の不等式・松元の剛性定理に関して、1990年代に Frankel と Thurston が葉層調和測度を用いた解析的な証明を提案した。この証明手法を精査することで、Burger-Iozzi-Wienhard の定理に対して解析的な別証明を与えられたので、本講演ではその解説をしたい。
本講演の内容は、松田能文氏、野澤啓氏との共同研究であり、プレプリント(arXiv:2207.08411)に基づく。
2023年12月6日(水)
時間:13:30〜14:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は12月5日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:四ッ谷直仁(香川大学)
タイトル:Bott Manifolds with the Strong Calabi Dream Structure
アブストラクト:We prove that if the Futaki invariant of a polarized Bott manifold (X,L) for any ample line bundle L vanishes, then the Bott manifold X is isomorphic to the products of the projective lines. This talk is based on a work joint with Kento Fujita (algebro-geometrical approach), and another independent work joint with Hajime Ono and Yuji Sano (convex geometrical approach).
2023年10月25日(水)
時間:14:50〜15:50
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は10月24日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:佐々木東容(学習院大学)
タイトル:Counting subgroups and subset currents
アブストラクト:種数gの閉双曲曲面上の閉測地線を写像類群の作用で動かしたもの全体において,長さL以下のものの個数はcL^{6g-6}(c>0)に漸近することが知られている(Mirzakhaniの結果).閉測地線は基本群の元の共役類に対応するので,一般化して"基本群の有限生成部分群の共役類"の個数の数え上げ問題を考える.この場合,有限生成部分群の共役類に対してその"長さ"の測り方が問題だが,重み付き有限生成部分群の共役類の完備化であるサブセットカレントを利用することで,ある種自然な測り方でMirzakhaniと同様の漸近公式が得られることが分かった.本講演では当該分野の専門知識をあまり仮定せず,上記結果を解説したい.
2023年9月13日(水)
時間:13:30〜14:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は9月12日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:熊谷 駿(東北大学)
タイトル:Voronoi decompositions of flat surfaces and origamis
アブストラクト:平坦曲面上の点を錘点に関する一意最短性で分けて得られるセル分解をボロノイ分解という。平坦曲面の``自己アフィン相似性の群"であるVeech群の計算においては、ボロノイ分解に付随する組合せ構造を用いて基本領域を近似・特定するEdwards-Sanderson-Schmidt(2022)の結果が最近の進展として知られている。
この組合せ構造はサドル接続のベクトル・結ぶ錘点・通過するシートの情報からなる圏としてアフィン不変量になっており、これにはHaiden-Katzarkov-Kontsevich(2017)の結果による(平坦曲面 対 三角圏の安定性条件)の対応に基づきVeech群に対するアプローチの改善とより一般の設定への展開を期待する。
折り紙はシートとベクトルの情報を揃えて扱える特別な平坦曲面である。その組合せ構造について、アフィン変形・切り貼り操作に対応する変換式と圏としての具体的な構成方法を得た。これらのことについて紹介する。
2023年9月13日(水)
時間:14:45〜15:45
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は9月12日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:雪田 友成 (足利大学)
タイトル:コクセター系の増大度とナーブの位相型について
アブストラクト:有限生成群の増大度とは、与えられた有限生成系に関する語距離について、単位元を中心とする距離球が半径に関して増大する早さを表す量である。Cannon,Floyd, Parry, Wagreichらにより、双曲平面の離散鏡映群の増大度がSalem数, Pisot数と呼ばれる実代数的整数となることが示された。
双曲空間の離散鏡映群はコクセター群の例であり、生成系である鏡映を定めている超平面により囲まれる領域はコクセター多面体と呼ばれる。
コクセター多面体の境界の双対多面体はコクセター群のナーブと呼ばれる単体複体に対応している。
本講演では、ナーブが2次元球面と同相であるコクセター群の増大度に関する結果を紹介する。
2023年7月12日(水)
時間:14:00〜15:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は7月11日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:野坂 武史 (東京工業大学 理学院数学系)
タイトル:3次元多様体の輪状ライデマイスタートーション
アブストラクト:ライデマイスタートーションとは、おおよそ複体の交代積で定義される。ここで複体は閉多様体Mのある局所系係数の胞体複体とする事がよくある。但しその複体が非輪状となる条件下での研究が多く、実際トーションの定義は容易である。輪状に関してはMの次元が偶数の場合にWittenやSozen等によりトーションが定義され研究されていた。
本研究はMの次元が奇数かつ輪状の場合に、トーションの定義の一案を紹介する。この定義とTuraev-Farberによる試みとの比較もする。応用例として、輪状アーベルトーション、絡み目のアレクサンダー多項式の拡張、SU(n)指標代数上の体積要素などが定義できる。Mが3次元の時には輪状トーションが具体的に計算できることも多々ある。
本講演では、輪状トーションの定義の難点と、その克服案としての定義を紹介する。また応用例も紹介する。なお本研究は柳田幸輝氏と脇條奈生子氏(東工大)との共同研究である。
2023年6月28日(水)
時間:14:45〜15:45
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は6月27日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:松田 凌(京都大学理学研究科)
タイトル:Maximal cusps are not dense
アブストラクト:双曲的Riemann面SのTeichmüller空間T(S)は, S上の有界正則二次微分が成すBanach空間B(S)の有界領域に双正則に埋め込める. これをBers埋め込みといい, このとき得られるT(S)の境界はBers境界と呼ばれる. T(S)の境界は, Sの複素構造の退化したものが存在しているから, その意味で重要である.
Bers-Maskitは, Sがcompacの場合, Bers境界には全退化かCuspのいずれかに限ることを示した. これは, 複素構造の退化は, Sの位相的な退化を引き起こしていることを意味する. (Sが有限型の場合も同様のことは示されている.) 一方で, Sが無限型の場合, Bers境界には,全退化でもcuspでもない, Sと同相な曲面が存在することを, 具体的な構成方法によって証明した. これを擬Fuchs b群と呼ぶことにする.
本講演では. まず擬Fuchs b群の構成について紹介する. 次に, Sの部分領域 S’ から離れると漸近的等角になるBeltrami係数によって代表される点 X ¥in T(S)を考える. XをBers埋め込みした時に得られる正則二次微分のS^¥ast ¥setminus S’ ^¥ast における双曲L^inftyノルムは, 減衰していくことを証明する. (^¥ast は共軛Riemann面を表す)
この二つを用いることで, ある無限型Riemann面Sにおいては, 擬Fuchs b群の近傍には, Maximal cusp (Sのパンツ分解を与える本質的単純閉曲線を全てpinchしたもの)が存在しないことを証明する. これは, “Maximal cusps are not dense” であることを意味する. このことは, 有限次元におけるMcMullenの結果 “Maximal cusps are dense” とは相反する結果である.
2023年6月28日(水)
時間:13:30〜14:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は6月27日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:坂井 健人(大阪大学大学院理学研究科)
タイトル:Thurston's compactification and harmonic maps
アブストラクト:Teichmüller空間の研究において扱う曲面上の極値的写像にはいくつか種類がある.ここではエネルギーに対する極値的写像である調和写像を考える.このとき,Teichmüller空間上の大域座標を,各点にHopf微分と呼ばれる2次微分を与えることで構成できる.Wolfは,曲面がコンパクトな場合に,この座標を通じてTeichmüller空間のThurstonコンパクト化が復元できることを示した.本講演では,コンパクト性を外した有限型曲面の場合でも,同様の結果が成り立つことを話す.
2023年6月7日(水)
時間:14:00〜15:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は6月6日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:田島慎一(新潟大学名誉教授)
タイトル:多項式函数のbifurcation setとtameness
アブストラクト:本講演では, 計算機代数の手法を用いて, 多項式函数がtameであるか否かを判定する方法とbifurcation setを求める計算法を紹介する。
Broughton(1983年)はbifurcation setの概念を導入し, 多変数多項式が定める複素函数のトポロジーの研究を行った。多項式がtameであれば, そのbifurcation setはcritical valuesのなす集合と一致することを示している(1988年)。本講演では, comprehensive Groebner systemを用いることで, 多項式がtameであるか否かを判定するアルゴリズムを構成できることを紹介する。
Parusinski(1995年)は多項式が無限遠孤立特異点を持つ場合, そのbifurcation setを特徴付ける方法を与えている。パラメータ付きのlocal cohomologyを用いることで, Parusinskiの結果をアルゴリズムとして実現する方法について議論する。準素イデアルに対するNoether operatorsを用いることで, bifurcation setを求めるアルゴリズムを構成できることを紹介する。
2022年度
2023年2月24日(金)
時間:14:30〜15:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:金沢大学自然科学3号館3B532セミナー室(入室にカードキーが必要です。対面での参加を希望の方は前日2月23日までに門上(kadokamiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:舘野荘平(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
タイトル:The Iwasawa invariants of $\mathbb{Z}_p^d$-covers of links
アブストラクト:It is known that there are deep analogies between algebraic number theory and low dimensional topology. Hillman-Matei-Morishita and Kadokami-Mizusawa proved an analogous theorem for links corresponding to Iwasawa’s class number formula. In this talk, as Cuoco-Monsky generalized Iwasawa’s formula to $\mathbb{Z}_p^d$-extensions, we will give two asymptotic formulae for the first homology groups of $\mathbb{Z}_p^d$-covers of links in rational homology $3$-spheres. Moreover, when $d=2$, we will explain that Iwasawa $\mu$-invariants can be arbitrary non-negative integers by giving the invariants of twisted Whitehead links. This is a joint work with Jun Ueki.
2023年2月1日(水)
時間:15:30〜16:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:金沢大学自然科学3号館3B532セミナー室(入室にカードキーが必要です。対面での参加を希望の方は前日1月31日までに中村(inasaあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:中村伊南沙(金沢大学 理工研究域電子情報通信学系)
タイトル:Torus-covering knot groups and their irreducible metabelian SU(2)-representations
アブストラクト:トーラス被覆結び目は、2つの可換なブレイドから定まるトーラス型の曲面結び目である。トーラス被覆結び目$F$について、$F$の結び目群の既約なメタベリアン$SU(2)$表現を考え、その個数を$F$のknot determinantを用いて表す。これは1次元の結び目の結び目群に対するLinの結果のアナローグである。
2023年1月24日(火)
時間:14:00〜15:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:金沢大学自然科学3号館3B532セミナー室(入室にカードキーが必要です。対面での参加を希望の方は前日1月23日までに中村(inasaあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:山﨑晃司氏(金沢大学 理工研究域電子情報通信学系)
タイトル:Condensed Sets on Compact Hausdorff Spaces
アブストラクト:ストーン空間と連続写像の圏はグロタンディーク位相を持ち,その上で定義される層のことをcondensed setと呼ぶ.一方,コンパクトハウスドルフ空間の圏も同様にグロタンディーク位相を持ち,その上で定義される層は,基礎論的な若干の修正を加えればpyknotic setと呼ばれる.BarwickとHaineが公開している文献では,condensed setのことをpyknotic setに対する``essentially the same notion"と述べている.実際,condensed setがコンパクトハウスドルフ空間の圏上の層を同型を除いてただ一つ定めることが証明できる.応用としてcondensed setの圏がモデル構造を持つことが示せる.
2022年11月1日(火)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演者:栗原大武氏(山口大学)
タイトル:有限一般化アレキサンダーカンドルと群論
アブストラクト:本講演は東谷章弘氏(大阪大学)との共同研究に基づくものである。カンドルは結び目の操作や空間の点対称を公理化したような二項演算をもつ集合のことである。一方で我々のなじみのある二項演算といえば、群の演算が挙げられる。そのようななじみのある群(とその群の自己同型写像)から一般化アレキサンダーカンドルとよばれるカンドル演算を作ることができる。我々は有限群から得られる一般化アレキサンダーカンドルのカンドル構造が群の言葉でどのくらい翻訳できるかという視点で研究をすすめてきた。その結果、有限一般化アレキサンダーカンドルのある特別なクラスの中では、群の言葉でカンドル同型性の必要十分条件を得ることができた。
本講演では、上記の結果の解説および、その結果から得られるいくつかの系について紹介する。
2022年10月19日(水)
時間:11:00〜12:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は10月18日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:田所勇樹氏(木更津工業高等専門学校)
タイトル:離散複素解析における非線形O(3)シグマ模型
アブストラクト:本講演は関口 昌由,鎌田 勝(国立木更津工業高等専門学校)との共同研究に基づくものである.
Mercatは閉曲面上の4角形分割に離散複素構造を導入し,離散リーマン面を定義し,周期行列を導出するアルゴリズムを与えた.この離散複素構造は通常の複素構造と類似性があり,セル分割を細かくしていくと,閉曲面の複素構造に近づいていくものである.さらに,BobenkoとGüntherは,Mercatの離散リーマン面をより精密に扱い,新たな離散複素構造を定義した.O(3)シグマ模型とは,球面からそれ自身へのなめらかな写像から定まる汎関数によって記述され,この汎関数はエネルギーともみなせる.
平面4角形グラフ上の離散リーマン面を考える.その頂点上の複素数値関数およびO(3)シグマ模型から定まる,重み付き離散ディリクレエネルギー(以降,離散エネルギー)と重み付き離散面積(以降,離散面積)を定義し,それらの間の不等式の導出について説明する.これはBelavinとPolyakovの不等式の離散版とも言える.対角線が直交する一般の4角形グラフに対して,離散(反)正則関数が,離散エネルギーから導かれるオイラー-ラグランジュ方程式を満たすことについても述べる.
また,特別なひし形格子上において,離散面積は離散べき関数の写像度とみなすことができる.さらに,格子間隔を0に近づけた際に,離散エネルギー,離散面積,オイラー-ラグランジュ方程式がそれぞれ連続な対応物に近づくことについても紹介したい.
2022年8月8日(月)
時間:14:00〜15:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:金沢大学自然科学3号館3B532セミナー室(入室にカードキーが必要です。対面での参加を希望の方は前日8月7日までに中村(inasaあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:田中利史氏(岐阜大学)
タイトル:Composite symmetric unions and ribbon knots
アブストラクト:3次元球面内のリボン型特異点集合のみを持つ特異円板の境界となり得る結び目はリボン結び目と呼ばれる。Lammはリボン結び目である結び目の対称和の特徴づけをAlexander多項式や結び目群等を用いて行い,すべてのリボン結び目は対称和であるか,という問題を与えている。特に最小交点数が10以下の素なリボン結び目や2橋リボン結び目は対称和であることが知られている。本講演では,リボン結び目や対称和が合成結び目である場合に得られた結果について紹介する。
2022年7月27日(水)
時間:13:30〜14:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:金沢大学自然科学3号館3B532セミナー室(入室にカードキーが必要です。対面での参加を希望の方は前日7月26日までに中村(inasaあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:山﨑晃司氏(金沢大学)
タイトル:展開写像とEngel同相群
アブストラクト:4次元多様体上の完全不可積分な二次元分布をEngel構造と呼び,Engel構造を備えた4次元多様体をEngel多様体とよぶ.Engel多様体は,特性葉層と呼ばれる1次元葉層構造を持つ.特性葉層の葉空間は接触構造を持つ.逆に,3次元接触多様体は,Cartan延長と呼ばれるEngel多様体を持つ.これら双方向の構成はそれぞれ関手を与える.さらに,Engel多様体は,特性葉層の葉空間のCartan延長に値を持つ自然な局所Engel同相写像を備えている.これを展開写像と呼ぶ.
葉層構造の葉空間は一般に多様体とは限らないが,今回は展開写像の値域が多様体の場合を考える.上記の関手は,Engel同相群から接触同相群への群準同型を導く.今回の講演では,もしも展開写像が被覆写像でないならば,この群準同型は単射であることを示す.
展開写像を用いたEngel多様体の研究は,先駆者であるMontgomeryの研究にも既に現れている.MontgomeryはEngel同相群がある意味で``小さい"ようなEngel多様体を構成した.一方,Engel同相群が自明群であるようなEngel多様体の存在は未解決であった.最後に,主結果の応用として,Engel同相群が自明群となる例を構成する.
2022年7月11日(月)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学5号館数学・管理棟4階471号室(コロキウム3)(対面での参加を希望の方は7月7日までに宮地(miyachiあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:小森洋平氏(早稲田大学)
タイトル:超楕円的リーマン面の角度パラメータについて
アブストラクト:2以上の自然数gに対し双曲4g角形P(g)をZieschang, Vogt, Coldeweyによる標準多角形とする。P(g)の向かい合う辺どうしを貼り合わせることで、種数gの標識付きリーマン面が得られ、標準多角形全体の集合は種数gの標識付きリーマン面の変形空間、つまりタイヒミュラー空間と同一視できる。SchmutzはP(g)から定まる6g-5(=6g-6+1)個の測地線の長さ関数を用いて、タイヒミュラー空間の大域的座標を構成した。また超楕円的リーマン面に対応するP(g)の特徴付けを与えた。 今回の講演では超楕円的リーマン面に対応するP(g)から定まる4g-2個の角度関数を用いて、超楕円的リーマン面がパラメータ付けできることを示す。ここで角度関数の個数4g-2は6g-6次元のタイヒミュラー空間における超楕円的リーマン面の変形空間の次元である。特にg=2の場合、6(=4×2-2)個の角度関数はタイヒミュラー空間の次元6(=6×2-6)に等しい個数の大域的座標になっている。7(=6+1)個の角度関数によるタイヒミュラー空間の大域的座標は奥村により構成されている。
2022年6月28日(火)
時間:10:30〜11:30
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学3号館3B532セミナー室(入室にカードキーが必要です。対面での参加を希望の方は前日6月27日までに中村(inasaあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:安部哲哉氏(立命館大学)
タイトル:Annulus twistを用いたamphichiral knotの構成
アブストラクト:二つの内容について講演する。
前半:ある強い条件下では、与えられたannulus presemtaion を持つamphichiral knotにannulus twistを施したものは、再び、amphichiral knotになることを示す。
後半:最近、Agolはリボンコンコーダントが(向きづけられた)3次元球面内の結び目全体の集合に半順序を定めることを証明した。この半順序集合に関して、tight fibered knotが極小元となることを紹介する。特に、自明な結び目を含むトーラス結び目が極小元であることを紹介する。後半の研究は、田神慶士氏(広島修道大学)との共同研究である。
2022年5月18日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用(
ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください
講演場所:自然科学3号館3B532セミナー室(入室にカードキーが必要です。対面での参加を希望の方は前日5月17日までに中村(inasaあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:滝岡英雄氏(金沢大学)
タイトル:任意の絡み目のHOMFLYPT多項式とKauffman多項式の任意の次数までの係数多項式が一致する絡み目の無限族
アブストラクト:2変数多項式不変量のHOMFLYPT多項式が一致する結び目の無限族は金信泰造氏によって発見されている。しかし、同じく2変数多項式不変量のKauffman多項式が一致する結び目の無限族は未だ知られていない。本研究では、これら2変数多項式不変量の一方の変数で整理したときの係数多項式に注目する。河内明夫氏の結果やそれとは異なる手法での宮澤康行氏の結果で、HOMFLYPT多項式に関しては、任意の絡み目の任意の次数までの係数多項式が一致する絡み目の無限族が構成されている。本講演では、HOMFLYPT多項式とKauffman多項式の両方の場合に、そのような絡み目の無限族が存在することを示す。
2022年4月21日(木)
時間:9:00〜10:00
場所:ZOOMによる遠隔講演と対面の講演の併用(ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください)
講演場所:自然科学3号館3B532セミナー室(入室にカードキーが必要です。対面での参加を希望の方は前日4月20日までに中村(inasaあっとse.kanazawa-u.ac.jp)までお名前、所属等の情報をお知らせ下さい)
講演者:浅野知紘氏(金沢大学)
タイトル:層の間の距離と余接束における分離エネルギー
アブストラクト:多様体上の層に対し、その層の特異性を記述する超局所台とよばれるものが余接束の部分集合として定義される。この超局所台を介して余接束のシンプレクティック幾何を層を用いて研究することができる。本講演では、余接束の部分集合に対する分離エネルギーの評価を層理論的に与える方法について概説する。このために層の間の距離を導入するが、この距離は位相的データ解析の分野で重要な役割を果たすinterleaving距離から着想を得ているので、このことについても解説したい。本講演は池祐一氏との共同研究に基づく。
2021年度
2021年9月21日(火)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演(ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください)
講演者:矢口義朗氏(前橋工科大学)
タイトル:ブレイド群による4次対称群の直積へのHurwitz作用について
アブストラクト:Hurwitz 作用とは,群の直積への組みひも群による自然な作用であり,幾何的には例えば曲面を「ひねる」操作としても説明できる。自然数 $n$ を固定するとき,群 $G$ の $n$ 個の直積の元のうち,第 $1$ 成分から第 $n$ 成分までの積が単位元になるものを,$G$ のシステムとよぶことにする。組みひも群のシステム全体を Hurwitz 同値で分類する(Hurwitz 作用で軌道分解する)ことは,曲面組みひも(分岐被覆を用いて定義される 4 次元球体内の曲面)の完全不変量を与えることが S. Kamada によって示されている。組みひも群のシステム全体を Hurwitz 同値で完全に分類することは現段階では難しい。19世紀末,Hurwitz は対称群の互換のみからなるシステム全体を Hurwitz 同値で完全に分類した。これは(単純分岐被覆を用いて定義される)単純曲面組みひもの不変量を与える。この先,非単純な曲面組みひもの不変量を得るためには,対称群の互換以外の置換も混合したシステム全体における Hurwitz 作用も扱う必要がある。2010年頃,C. Sia と E. Beger は独立に,3 次の対称群(もっと広く二面体群)のシステム全体を Hurwitz 同値で完全に分類した。本講演では,組みひも群・Hurwitz 作用の定義,および基本的性質を紹介し,4 次の対称群の純粋システム(同じ長さの置換を並べたシステム)全体における Hurwitz 同値類の完全代表系を求めた結果を報告する。
2021年7月7日(水)
時間:14:00〜15:00
場所:ZOOMによる遠隔講演(ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください)
講演者:金英子氏(大阪大学)
タイトル:平面三体周期運動とリサージュ組ひも
アブストラクト:平面上の閉曲線を動く3体(3点)の周期運動を考えます. 運動の途中で衝突が起こらない場合, 3体の軌道から3次の組ひも型が定まります. このような周期運動の例としては, 3-rod taffy machine や平面三体問題の種々の周期解があります. 講演では, リサージュ曲線の上を動く3体の周期運動が定める3次の組ひも型 (リサージュ組ひも)について考察します. リサージュ組ひもは pseudo-Anosov 型であり, 従って stretch factor という不変量が定まります. リサージュ組ひもの stretch factor 全体は, Stern-Brocot 木を経由するとよく理解できることが面白いと思っています. この研究は, 中村博昭氏と小川裕之氏との共同研究です.
2021年5月12日(水)
時間:15:00〜16:00
場所:ZOOMによる遠隔講演(ZOOMのアドレスの取得について:講演日前日までに宮地(金沢大学)まで連絡してください)
講演者:小林竜馬氏(石川高専)
タイトル:Infinite presentations for the mapping class group of a compact nonorientable surface and its twist subgroup
アブストラクト:向き付け可能曲面の写像類群の無限表示はGervaisにより与えられ,さらにLuoによってよりシンプルなものが与えられた.これらの結果を用いて,境界の数が1以下の向き付け不可能曲面の写像類群の無限表示が大森氏(東京理科大学)により与えられた.また,境界の数が2以上のものについては大森氏と講演者によって与えられた.本講演では,まず向き付け不可能曲面の写像類群のツイスト部分群の無限表示を紹介する.次に,向き付け不可能曲面の写像類群について,大森氏と講演者が与えたものを改良したよりシンプルな無限表示を紹介する.本研究は大森氏との共同研究を含む.