金沢代数セミナー
Kanazawa Algebra Seminar
代数学および応用分野に関するセミナーです。金沢大学にて不定期で開催されております。金沢大学における研究グループ【数学・数理科学連携研究グループ】「新たな数理科学研究の創出」の重点強化分野「応用数論」の研究を推進するために本セミナーを開始しました。
世話人
杉山真吾 (金沢大学)
若槻聡 (金沢大学)
2023年度講演者
【第1回】2024年2月1日(木) 15:00--16:00
講演者: 工藤 桃成(福岡工業大学)
タイトル: 超特別曲線の存在性と数え上げについて
アブストラクト:
正標数の体上の非特異既約代数曲線はそのJacobi多様体が超特異楕円曲線の直積に同種、同型のときそれぞれ超特異曲線、超特別曲線と呼ばれる。これらの曲線は、種数に比して多くの有理点をもつ有限体上の曲線に同型となり得ることから代数幾何符号への応用可能性が指摘されている。また、低種数の場合には同種写像暗号の構成にも応用されている。
超特別曲線は種数と標数を固定すると同型を除き高々有限個しか存在せず、当該分野ではその存在・非存在の決定と数え上げが重要な問題となっている。種数3以下の場合、Deuring, 伊吹山, 桂, Oort, Serreらの先行研究によってこの問題は全ての標数に対して解決済みである。一方で、種数4以上では一般の標数に対し超特別曲線が存在するか否かは不明であり、多くの未解決問題が残されている。ただし種数4、5については、最近の講演者らによる計算機を用いた研究によって、小標数での非存在および数え上げの結果や、特定の自己同型群をもつ超特別曲線の存在性に関する結果などが得られている。
本講演では、超特別曲線の存在性と数え上げについて、その動機付けをはじめ、上記の先行研究と最近の話題を非専門家向けに概説する。