『数学は暗記だ』は半分正しい
まずは、定義・公式・例題を暗記しよう
まずは、定義・公式・例題を暗記しよう
数学は、暗記科目です。
5×7 を
5+5+5+5+5+5+5
と計算する人はいません。こんなことしていたら
3874÷534
の計算にどれだけ時間がかかるでしょうか。
5×7=35
結果を丸暗記しているからできるのです。
同じことは、数学のあらゆる分野でおきます。結果を覚えていないと先に進めません。
絶壁のロッククライミングを思い浮かべて下さい。到達した壁に、杭(ハーケンと呼ばれます)を打ち込み、これを足場にして更に上に登ります。杭が不安定ではこれ以上登れませんね。数学を苦手にする人の多くは、この「グラグラした杭」をかかえています。
もう一つ、絶対に暗記しなければならないことがあります。『定義』です。定義は、数学を組み立てるにあたって最初に必要な約束です。将棋だったら、「歩」「桂」など各駒の動き方にあたるものです。「銀」は何故こう動くのか、考えても答えは出ない。約束です。おぼえなければ将棋が指せません。(こう約束しておくと将棋が面白いゲームになる、というのは上達するとだんだんわかってきます。)数学の世界で例を挙げると、
傾き: x の増加量に対する y の増加量の割合
これは、定義です。無条件におぼえなくてはいけません。なぜ?と聞かれても、「こう約束しておくと都合が良いから」以上の理由はありません。(微積分学の基礎をなす重要な約束であることが、いずれ明らかになります。)理由はありません。しかし、この約束がどういうことを言っているのかがわかり、使えるようにならないとこまります。これに対して
一次関数 y=ax+b の傾きは、a である
これは、公式です。計算で説明できます。でも結局おぼえなくてはいけません。できれば理由を含めておぼえておきたい。どちらにしても
これが、数学学習の第一歩であることは、間違いありません。
おぼえるにはどうしたらよいでしょうか。
でも、「数学は暗記」だけでもないのです。数学で習う事柄の中には、
これらを区別し、おぼえるべきことはおぼえる。理解すべきことを頭に入れる。この区別を付けるのが指導者の仕事、身につけるのは、生徒諸君の仕事です。